第6話 クラウド冷蔵庫

203X年、クラウド冷蔵庫が外資メーカーにより発売された。


なんかよくわからない技術を使って、どっかへ転送することによって、

通常の冷蔵庫の3倍の容量が入るらしい。


従来のスタンドアロン冷蔵庫が良いと思う人もおり、生産が継続されていたが、

見かけの価格の低いクラウド冷蔵庫に押され、スタンドアロン型は生産が

中止されてしまった。



ある家庭で…


主婦が「あれっ」と冷蔵庫の中を見て、声を出した。

どうやら入れておいた、〇×△がないらしく、仕方がないので、

メーカーに電話を入れた。


主婦「冷蔵庫へ入れておいた、〇×△がないのですが。」

メーカー「我が国では、〇×△は輸入禁止なんですよ。なので、没収させていただきました。」

そう言いながら、よく聞いていると『もぐもぐ』となにやら物を食べている音が聞こえてきた。


主婦「もぐもぐってなんですか? 何か食べているのですか?」

メーカー「いえいえ。没収されたものなんて食べてませんよ。もぐもぐ。」



続けてメーカー担当者は言った。


「それはさておき、多くの国で輸入禁止されている〇〇△△は、うちでは

輸入禁止ではないので、保存できますよ。」


主婦は透かさず言い返した。

「〇〇△△はこちらでは輸入禁止ですよ。だから保存はできないです。」


メーカーは「そうですか。それは残念です。」と言い残して、

電話を切った。


主婦はあっけにとられた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る