第3話 ウェアラブルグラス その3

202X年…


二人の夫婦が居間でテレビを観ていた。

コマーシャルに切り替わって、

おもわず、旦那が「いいところだったのに。」と口走った。


仕方なく、テレビのコマーシャルを観ていると、

どうやら新しい掃除機のCMらしい。



CMの内容はこうだった。


『あたらしい 掃除機』と大きな文字でテレビ画面を占領しながら、

「掃除機に革命が!」とナレーションが入る。


「これはすごいぞ!」のナレーションとともに、

見慣れない掃除機がテレビに映し出された。


どうやら、『VRクラウド 掃除機』というものらしい。


説明を聞いていると、この掃除機は遠隔操作で、

家庭の部屋を掃除してくれるらしく、クラウドサーバー側(企業側)で、

待機しているオペレーターが掃除機に搭載されているカメラを通じて、

操作するらしい。


これに旦那が「なんか同時接続数に制限がありそうだな」と口を漏らした。


奥さんが「クラウドゲーム機みたいなやつな感じね。」

「ゲームしている人数が多いと、プレイできないやつ。」と返した。



CMでは旦那の言葉を聞いていたかのようなタイミングで、

「同時接続数 XXXXX人」と注釈が入った。



「やっぱり人数制限があるんだ。」と旦那が口に出した途端、

「今なら、なんと! オペレーター 千人増員です!」とナレーションが入った。

この場合のオペレーターは電話受付の人なのか、遠隔で掃除機を操作する人なのかは、

よくわからなかった。


これを聞いた奥さんが「さっそく注文だ!」と電話をかけようとしていたが、

旦那さんが「ちょっと待った!」と冷静に引き留めた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る