29話 僕は文化祭について話し合う

月曜日は念の為と休養を取り今日は火曜日、つまり4日ぶりの登校となるわけだ。

優太達に心配をかけてしまったが今日からまた学校生活を頑張って行こうと思う。





「おはよう涼!元気か?」

「涼、体調は大丈夫?」

「おはよ、うん元気だよ」



教室に入るなり優太と大樹の2人が心配の声をかけてくれた。

我ながら良い友達を持ったものだ。


「そういえば昨日から文化祭の準備始まったんだよね?」

「あぁ!文化祭の予定とクラスの出し物について話したんだ!」

「文化祭のスケジュールはクラスLINEに送られてるけどもう見た?」


優太にそう言われてLINEを開くと確かに画像が送られていた。

通知をoffにしていたから気が付かなかった……

予定では1日目と2日目は午前9時に文化祭が始まり、9時から12時までが午前の部、そこから12:40分までの間に昼休憩が入り、1時から4時が午後の部となっているらしい。


そして3日目は部活動に所属している生徒らによる発表がメインのため僕は完全に見る側になっているのだが、その発表が終わる時刻が昼休憩までの時間は同じで部活動事の発表15時に終わる。

そこから先はミスコンが始まると書いてある。

なお1日目は校内のみ、2日目と3日目は一般公開されるとの事。

そして一番の注目、3日目の最後に後夜祭が行われ花火があると書かれている。


「それにしてもうちの高校……ミスコンなんてあるのか」


昨今ではミスコンについての問題があーだこーだ言われて無くなった学校の話も聞くがうちの高校はそうでは無いらしい。


「そうなんだよー。でも、一年生と二年生は各クラス1人しか出れないらしくて……まだうちのクラスは決まってないんだよね」

「……え、3年生は違うの?」


優太の言い様的を考えると3年生は違うように聞こえるが。


「あぁ!確か……3年生はなんか制限がないらしい!」


なんか3年生は制限がないらしい。


「多分、3年生は今年が最後だから思い出を作れるように制限がないんじゃないかな?」

「あーそういう感じか」


まぁ理屈は分かる。

仮にミスコンで優勝すれば一生ものの思い出になり、そうでなくとも強く記憶に残るような物になるだろう。

かといってミスコンは2日目の一般公開の枠にあるということで学生に加え、一般の色々の人からの注目も浴びるのだから制限がないとは言っても大幅なタイムロスを起こすほどの人数にはならないだろう。

……多分。




あ、そういえば1番大切なものを聞き忘れていた。


「ちなみにクラスの出し物ってなに?」


そう、既に決まっているらしいクラスの出し物。

文化祭で出し物をするのならなんだろうか?

屋台系統なのか……それともお化け屋敷とか、それこそ演劇などの可能性も否定できない。


「───コスプレ喫茶だね」

「え、コスプレ喫茶?」

「うん、それぞれ好きなコスプレをして接客するんだよ」

「ちなみに俺は警察のコスプレをするぞ!」


まじか……コスプレ?

何かコスプレに使えるようなものはあったろうか?

とりあえず今日、家に帰ったら何か探してみよう。



「はい、それでは朝のホームルームを始めます」


毎度恒例、加納さんによる朝のホームルームが始まる。

今までに加納さんが欠席した事はないから加納さんによるホームルームは毎日みる光景となっている。

仮に加納さんが休みの場合は担任である影野薄井かげの うすい先生という爆発に巻き込まれたようなアフロ頭により目元が隠されているのが印象的な女性が代わりを務めるのだがそんな日はきっと来ないだろう。


「───次に、以前決めることの出来なかったミスコンの出場者について決めたいのですが、出場希望のある人はいますか」


どうやらこの時間でささっと決めてしまいたいらしい。

……が中々手は上がらない。


「……では、希望する人がいない様なのでまた次の機会に───」

「はい!」


そうして大きな声でに加納さんの声をさえぎりながら手を挙げたのは……丸眼鏡の坊主頭が印象的なクラスメイト♂︎であった。

この学校のミスコンでは出場対象は女性のみなのだが……


「ーー君、どうしましたか?」

「オラは、加納恵さんがミスコンに出るべきだと思います!」

「……え、私ですか!?」


まさかの立候補者の指名が目的だったようだ。

……加納さんは自身が指名されたことに驚いているが、加納さんがミスコンに出るのはありな気がする。

だって間違いなくクラス1の美人だし。


『加納さん可愛いしいいんじゃないのー?』

『そうだー加納さんでちゃいなよ!』

『おっおっ、加納しゃんが出るのはぼくも賛成なんだな』

『うんうん、恵さんが出れば優勝間違いないしだよー』


クラスからも賛同の声が上がっている。

そしてその多くは女子で……これ加納さんに面倒事を押し付けようとしてないか?


「えと、では私が───」

「待って!」

「安藤君……?」


……優太?


「そのミスコン……僕が出るよ!」



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