13話 僕は絶望する
「それじゃあ水着コーナー行きましょうか」
「そうだね」
2人きりとなった僕と加納さんはとりあえず水着を見ることになった
「わぁ!この水着可愛いですね」
そう言って加納さんが指さしたのは肌面積の広い水玉模様ついたピンク色のビキニである。
「その……ちょっとこれは肌面積広すぎないかな?」
「あ、そうですね。可愛いと思ったんですけどこれを着るのは恥ずかしいかもしれません……」
「うん、それじゃあこういう水着はどうかな」
そう言って僕は白いワンピースの様な水着を持ってきた。
白い色は清楚な印象の強い加納さんにピッタリだし、露出も少ないからいいと思う。
「それも可愛いです!……でも私に似合うでしょうか?」
「加納さんも可愛いし似合うと思うよ?」
「可愛い、ですか?……ちょっと照れますね」
そう言うと加納さんは少し恥ずかしそうにしながら微笑む。
その反応はずるいって……とてつもなく可愛い。
「それでは、ちょっと試着してみますね」
そう言うと加納さんは試着室へと入った。
というか女の子と二人で水着をって……
これ傍からみれば恋人なのでは?
そんなことを考えていると試着を終えた加納さんが姿を現した。
「着てみたのですがどうでしょうか?に合ってますかね?」
「うん、似合いすぎて天使かと思った
(うんすごい似合ってるよ)」
やばい、本音と心の声間違えた。
流石にこの反応はキモイか?
「天使だなんて……そんなにに合ってますか?」
ねぇそう格好で頬赤らめないで可愛すぎるから。惚れちゃうって……僕友達と恋愛関係でいざこざは起こしたくないって。
「うん。本当に天使と見間違えるくらい似合ってるよ」
「ふふ、それじゃあこれを買っちゃいましょうかね」
そう言って加納さんは今日一の笑顔を見せたのだった。
◇
そんなことで僕の心臓は破裂してしまったわけだが、思っていたよりも水着選びが早く終わってしまったので水町さんと別れた場所の近くで加納さんと待つことにしたのだが───
「水町さん達戻ってこないね?」
「本当ですね。詩音今何をしているんでしょうか。」
マスターと一緒に行ったことを考えると喫茶店関係の物を探してたりするのかな?
「……そういえば今日の詩音おかしくありませんか?」
突然加納さんがそんなことを言い出す。
「確かに……今の状況もそうだけど車でもなんかおかしかったよね」
「はい、なんというかこちらの様子を伺っている気がするというか……」
う〜ん……なぜ水町さんはこんなことをしているのか。何か思い当たる節は……あるかも。
「もしかしたら今日水町さんがおかしかった理由分かったかも」
「それは本当ですか?」
「うん、多分……水町さんは僕が加納さんに好意を抱いてるって勘違いしてるんじゃないかなって」
うん……水町さんに加納さんの好きな人について聞いてたから多分これのせいだ。
「え!?立花君が私を?」
加納さんが珍しく動揺している。まぁそうだよね。
「うん。実はそんな勘違いをすることに心当たりがあってさ」
「でもどうしてそんなことに?」
「ごめん……悪いんだけどそれは言えない」
「そうですか、言えないのなら仕方がありませんね」
「うん、ありがとう加納さん」
こういう時にすぐ引いてくれるあたりが加納さんは本当にはいい人だ。
「加納さんって本当にいい人だよね」
「そうですか?ありがとうございます」
「うん、今日改めて話してて、加納さん優しいし真面目だし可愛いしで……モテるわけが分かったよ」
「そんな……立花君が言う程、私は出来た人間じゃありませんよ。それに異性から好意を持たれたこともありませんから」
んん?
「ええ!?好意を持たれたことないって……もしかして告白されたことないの?」
「はい、ないですよ」
「絶対2桁くらいの人数から告白されてると思ってた……」
「ふふ、立花君は優しいんですね。お世辞でも嬉しいです」
いや、お世辞じゃないんだけどな……
もしかして高嶺の花すぎて好意を抱いても告白できないみたいなことなのかな?
◇
「二人とも待たせちゃってごめーん」
加納さんと二人で待っていると荷物を持ったマスターと水町さんがようやく戻ってきた。
「水町さん何やってたの?」
「えーとね、お父さんが前から欲しがってた物買ったり……メイク道具とか買ってたんだ」
「そういえば今まで詩音はメイクに興味なかったよね?」
「うーん、そうなんだけど……最近お洒落を少し勉強しててね?」
今日もお洒落してるもんね。
やっぱ女の子は誰でも可愛くなりたいのだろう。
「やっぱり詩音もそう言う年齢だもんな!
恋すると女の子は変わるととはよくいうしな!」
「ちょっとお父さんやめてよ!
でもそうだな……二人のことは信用してるから言ってもいいかな」
すると水町さんは少し息を整えるようにしてからその言葉を発した……
「私、神成君の事が好きなんだ───」
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