5話 僕は見学する
夏の学校で皆が楽しみにしてることは何か。そう、それは水泳だ。
筋肉男子は合法的に筋肉を見せつける事が出来て、女子の水着姿を見ることも出来る。
そして何よりも涼しいのがいい。
まぁ今の僕の場合は水着姿を見る以外に楽しみ方はないのだが。
ということで今日から水泳の授業が始まります。
「ついにきたな!俺の
「子どもって言い方どうにかならないの?」
「優太、それは難しいんじゃないかな」
「でもまぁ鍛えた体見てもらえるのが嬉しいの今の僕ならちょっと分かるかも」
「優太も体育祭の時に筋肉を付けたからな!」
「僕も筋肉見せたいな……」
「なら俺が見てやろう!さぁ!こい!」
「無理、あと女子が来る前に早く着替えて」
はぁ、女子更衣室があって男子更衣室無いのは理不尽だよな。
「初めてこの高校のプール見たけど中学校と大差ないな」
「うん、25mプールだし普通だよね。
まぁ僕は25m泳げたことないけど」
「俺は泳げるぞ!」
『そこ!話してないで早く集まりなさい』
やべ、 喋ってたら体育の先生に注意受けた。まぁ僕は見学だから関係ないね!
とりあえず日陰スペースに移動してようかな。
おや?既に日陰スペースに人が……あれは水町さんではないか。
「やぁ、水町さんも見学?」
「あ、そうなんだよね。立花君も?」
「うん。足の都合でできないんだよね」
「そういえば最初は松葉杖ついてたもんね……あ、体育祭の時走らせちゃったけど大丈夫だった?」
「うん。一応リハビリも終えたしあれくらいならね」
「そっか、よかった」
少し微笑んでくれてる。可愛い……髪で目が隠れてても可愛いんすわ。
でも水町さんはなんで見学してるんだろう。
「水町さんは体調悪いとか?」
「えっとね、体育祭の片付けの時ちょっと足怪我しちゃって」
足を怪我……?
本当だ、長ズボンだから気づかなかったけどよく見たら右足が少し膨らんでいる。
多分ガーゼかなにかを下に貼っているのだろう。
「そうなんだ、足大丈夫?」
「うん、直ぐに男の子が保健室まで運んでくれたから」
誰か知らないけどその男子ナイス。
「そういえば初めて会った時、水町さん歌ってたけど歌うの好きなの?」
「初めて会った時じゃなくて、喫茶店で会ったときでしょ」
ちょっと頬を膨らませてる。可愛い。
「ごめんごめん」
「うん。歌うの好きなんだ。小さい頃から歌うと、声をお父さんとお母さんが褒めてくれたから」
「そっか、僕は水町さんのお母さん見たことないけどきっと水町さんに似て綺麗な声してるんだろうね」
「うん、凄い綺麗な声なんだ。だから私も大好きだったんだ。
そういえば私があの時歌ってた時の曲、立花くんも好きなの?」
「あぁ、何処かで聞いたとは思うんだけど思い出せないんだ」
「それじゃあもう1回聞いたら思い出せるかな?」
そういうと水町さんがあの時の歌を口ずさむ。
「〜〜♪」
あぁ、綺麗な歌声だ。
「ごめん思い出せないや」
「終わりなき旅って曲なんだけど思い出せないかな?」
……終わりなき旅? そういえば昔父さんの車でよく流れていた曲がそんな感じだった気がする。
いつも悲しいことがあったときにドライブに連れていったくれた父さんの車で毎回流れていた。どうして忘れていたんだろう……
「ありがとう水町さん。思い出せたよ。父さんとの思い出の曲だったんだ」
「良かった!それに私もこの曲はお父さんがキッカケで知ったから一緒だね」
「ねぇ、もし良かったら好きな曲について話さない?もしかしたら他にも趣味の合う曲があるかもしれないから」
「そうだね、いいよ!」
この後、僕と水町さんは意外と曲の趣味が合うことが分かった。もっと彼女が歌う曲を色々聞きいて見たいと思った。
それと水泳の話になって僕は昔水泳部所属しており泳ぐのも早いことを告げてしまった。
まぁ水町さんが他の男子を見て
「見て!──君すごい泳ぐの上手いよ」なんて言うんだから対抗もしたくなる。
そんな調子で二人の時間を過ごし終えた。
「涼!俺の筋肉を目にやきつけたか?」
水泳の授業が終わった僕達は3人で話している。
「あー、うん凄い筋肉だったよ」
「それよりも加納さん凄かったね」
「あぁ加納の肉体は完成されてたな」
「確かにいつもと違って髪も下ろしてたから新鮮だったね」
「そうなんだよ!いつもとは違った色気があるっていうか……とにかく凄かったんだよ。
あと泳ぎも上手かったし」
「そうなの?」
「涼、もしかして身体と顔しか見てなかったの?」
「つまり涼も筋肉にしか興味がないってことだな!」
「いや、あの色々あったんだよ色々」
「ふーん」
優太が疑っているが嘘はついてない。
実際色々あったし。
まぁでも明日以降は泳ぎも見ておこう。
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