第10話 僕は無実です・・(1)

 フェルーナの様子を少し離れた場所から伺ってるところを運悪く?店員のタミーに見つかってしまった僕、タミーに言われるままフェルーナへ連行?された・・・


>>フェルーナ店内

「モ~ニン」

「おはようタミー、ん? 連れの男子は誰? もしかして彼氏~?」

 フロアの奥からタミーの挨拶に反応したのはC美(仮)だった。

 そして更に厨房からB美(仮)までもが・・

「えぇ~タミーの彼氏~、見たい見たい!」

 ドタドタと厨房からフロアへ出てきてタミーと僕のほうを見て・・

「あら~、その子見たことあるわよ、いつも来てくれてる男子君よね」

 まるで晒し物状態の僕は顔を伏せているしかなかった。

「え~とね、この男子は彼氏じゃなくて、よく来てくれてる男子君なんだけど、今、あそこの物陰から店を覗いてたの、それで誰かのストーカーかもって思って連行してきたって訳」

 タミーは面倒臭そうに僕とのいきさつをB美とC美に話した。

「ストーカー?」

「あらら、いつも来てくれて嬉しかったんだけど、ストーカー君だったとはね~、こりゃ警察かしらね~?」

ギクッ!

(け、警察?? マジそれだけは勘弁して~(泣))

「ちょ、ちょっと待って! 僕はストーカーじゃないです!」

 必死に弁明する僕、

「じゃあ、なんで隠れて店を覗いたりしてたのよ?」

まるで取り調べ室で容疑者を問い詰める刑事のようなタミーの気迫!

「そ、それは・・・」

「ほ~ら、何も言い返せないじゃないの、やっぱりストーカーね、有希、警察に電話して」

「そ~ね、何かされてからじゃ遅いわよね」

 B美もタミーに言われて警察へ電話をする気になってしまった。

 絶対絶命状態に立たされた僕は本当のことを話すしかないって思って・・

「夢にタミーちゃんが出てきて、それで心配になって様子をみていたんだッ! それだけなんだッ!!!」

シーン・・・

 警察ってワードにビビっちゃって気が付くと僕は大声でタミーちゃんが夢に出たって叫んでた。

「な、なんでわたしがあんたの夢に出なきゃなんないのよ? 意味わかんないッ!!」

 僕の必死の形相で放った言葉に夢に出てきた当人であるタミーが顔を赤くしながらもムッとした感じで反論!

 しかし、そのタミーの様子を見ていたB美(ユキ)が、

「あら~、タミーちゃ~ん、口ではそう言ってても、お顔が真っ赤っかよ~、なぜかしら~? ウフフ」

 B美(ユキ)はタミーの反応が面白かったのか、ちゃちゃを入れてきた。

「有希、やめなよ、今はこの男の子が変質者かどうかが問題なんだよ」

(へ、変質者?!)

 うわぁ~、まだ高校生だというのに変質者呼ばわり?! 人生終わった~、いや! まだだ! 僕はただタミーちゃんが心配だっただけ! 

(よしッ! 言うべきことは言わなきゃ!)

「あ、あの~」

 僕が弁明しようと口を開いた途端、横にいるタミーちゃんが鬼の形相で僕を睨んできた・・

「あぁ~、何ッ?!」

「いえ、なんでもないです・・」

(こういう状況で痴漢冤罪事件が作られていくのか~、う~、僕も無実の罪で社会から抹殺されてしまうのか~・・・)

 僕は心の中で自らの不運を呪っていた・・・

(なんで夢にタミーちゃんが出てきちゃったんだろう・・あんな夢さえ見なきゃこんなことには・・)

 そんな絶対絶命の大ピンチの僕を救ってくれるかもしれない一言がB美(ユキ)から出てきた。

「でも~、その子そんなに悪人には見えないし、いつも店に来てくれてたときも妙なことしそうな感じは無かったじゃい? ねぇイズミもそう思うわない?」

「えっ?! ま、まぁそうね、いつもは普通の高校生に見えてたけど・・」

 こう言ってB美(ユキ)に返事をしたのはA子だった。

(A子はイズミって名前なのか・・)

続いてB美(ユキ)・・

「だから、もしかして今回は彼の言ってるとおり、夢に出てきたタミーのことが心配で様子を伺ってただけかもしれないわよ、それで警察は可哀そうだわ」

 これを聞いていたタミーがまた顔を赤くして、

「だから、どうして私がコイツの夢に出てくるのよッ!」

「それは、やっぱり彼がタミーのことを・・ってことじゃないかしら? ウフフ」

B美のこの言葉にタミーは顔をさらに真っ赤にして、

「なッ! 何なのよそれっ?! そんなの全然嬉しくないんだけどッ!!」

 と、怒りと恥じらいとがグチャグチャに入り混じった微妙な顔つき・・

「確かに、他人の夢なんかに自分が出てくるって気味悪い気がしなくもないわ、でも、まぁ、いつも来てくれてた彼だったらあり得ることよ・・ねぇ、キミさぁ、タミーのこと嫌いじゃないわよね?」

 A子(イズミ)の冷静な分析のあとにこっちに質問がくるとは思てなかった!

(そんな答えに困る質問しないで~~(泣))

「えッ!? え~と、それは・・え~と、タミーちゃんはカワイイし、好きです、でも、同時に他のみんなも同じように可愛いしいいなぁ~って思ってるのも事実だし・・・」

 こんなメチャハズイことを言わされ、多分僕の顔はタミーちゃんの顔より赤くなっちゃってたかも・・

 

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