第6話 名前が分かるのって想像以上にうれしいかも?

>平日の午後、ユウトの部屋・・・

 僕は今日は登校しないと決めて2時まで自室で自習をし、その後お気に入りのフェルーナに行くかどうするか悩んでいる真っ最中・・・


 数分後・・・

「腹も減ってきたし、やっぱ行こうッ!!」

 結局2大本能?(この場合、食欲/性欲?)に負けた僕はフェルーナに行くことを選んで、身支度を始める、汗臭いままじゃ女子に嫌われるのでシャワーを浴びて全身こぎれいにして、一応コロン(安いヤツ)も振りかけ、高校生らしく見えるようなスタイル(制服ではない)でいざ出陣!!

 僕はチャリにまたがりフェルーナに向かう・・・


 フェルーナに着くとすぐに店内へ・・・

「いらっしゃいませ~」

 女の子のカワイイ声で迎えてくれる、この瞬間、僕の中で幸せホルモンが限界まで放出されてるのがわかる!

(う~ん、カワイイ女子の声で迎えてくれるこの幸せ、サイコ~!)

 僕はそんな高揚してる自分を抑え、軽く会釈をする

「お好きな席へどうぞ~」

 僕は言われるまま、いつもの席に着いた。

 このフェルーナはド〇ールのようなセルフの店じゃないので、席に着くとウェイトレスが水を持ってきて・・

「いつもありがとうございます、ご注文が決まりましたら、お知らせください」

「あぁ、はい・・」

(おぉ~! いつもありがとうございますだってよ! これメッチャ嬉しくない??)

 このフェルーナに来るようになってそこそこになる、週に3回くらいは来てるだろう(もっとかも)、その甲斐あって最近は「いつもありがとうございます」と挨拶してもらえるようにもなった、これは推しのアイドルと会話ができるようになったようなモノで、超嬉しいし、テンションもぶち上る!!

 

(そういえば、僕はなんでフェルーナにだけこんなに入れ込んでるんだろう?)

 考えてみれば不思議なもんで、外観からは特に特徴的なモノは感じられない、ちょっとした食事もできる極々普通のコーヒーショップだ。

 元々僕はコーヒーに興味はない、飲むとしたら自販機で缶コーヒーを買うか、ウチのインスタントコーヒーでぜんぜん満足してる、それにまだ高校生だし安いものこそ正義だと思ってる!

 そんな僕だったんだけど、このフェルーナの前を通ったときに感じた、言葉で表現できない不思議な感覚と同時に惹き込まれるような妙な感じがフェルーナからしていたんだ。

(あれは何だったのかな?・・)


そんなことを考えているとA子が席に来て、

「ご注文は決まりましたか?」

「え? あぁ、え~と、アイスコーヒーとAサンドのセットをお願いします」

「アイスコーヒーとAサンドのセットですね、今日はゆでたまごがサービスで付きますけど、いかがですか?」

「ゆでたまごですか?」

「はい! お塩は赤穂産の天然ものです、おいしいですよ、ウフッ」

「じゃあ、それもお願いします」

「はい、ありがとうございます、ではしばらくお待ちください」

 A子は勧めたゆで卵を僕が頼んだことがうれしかったのか、ニコニコして厨房のほうへ戻っていく、そのとき厨房のほうからA子を呼ぶ声がした。

「いずみ~、注文は~?」

(ん!? 今のはA子の名前か? たしかイズミって言ってたな)

 突然のことだったので聞き逃しそうになったけど、期せずしてA子の名前を知ることができた! これはラッキー! 今日フェルーナに来たことが正しかったことのように思えて僕は思わず、

「オッシッ!」

 と言いながら、小さくガッツポーズを決めていた。

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