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「せっかく僕が悪者になって君たちを引き裂こうとしてやったのに、全然懲りてないんだな」
その日の夜遅く、カイル家の二階の角部屋の窓から宵闇に紛れて忍び出てきたスフィンクスを捕まえて、アヴァロンが不機嫌そうに言った。
アルファトスはこうして、クロエが実家に帰る週末を狙って、彼女の部屋に入り浸っているわけだ。
スフィンクスにもまた翼がある。アルファトスは普段人間の姿をしているが、本来のスフィンクスの姿は上半身が人間、下半身は獣で、その背には翼があるとされている。
「クロエにいらぬことを吹き込んだのは、やっぱりお前だったんだな……。そうだろうとは思ったが。随分酷いことをするよな!」
ランサーの旧市街を歩きながら半神族の二人は話し続けた。
アルファトスはお節介すぎる友人に腹を立てていた。
年若い自分を案じてくれているのは理解できるが、さすがにお節介が過ぎる。
「俺がどこで何をしようが、貴方には関係のないことだろう……?」
「まあいいよ。君がそこまで人間の少女に執着すると言うのなら、とことんやってみるといい。ククク……正直に言えば、その方が面白いゲームになるかもしれないしな……。人間は可哀想で愚かな生き物だからな。愚かな女に付き合った末の結末がどんなものか、身を持って知るがいいさ」
アヴァロンは意地悪く笑って言った。
「君がその気ならね、僕はユーシス・クローディアをアバターにするとしよう。ランサー帝国皇帝の血を引く聖術士……。なかなか見込みがありそうだ。面白いゲームになるぞ……。君もせいぜい恋敵に負けないように、気を付けることだ」
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