第9話
あっはっは!
良いわよ!攻めなさい!
燃やしなさい!
こんな国、潰してしまいなさい。
私があの日、子どもを産む能力を犠牲にして得た力は、『Monster manufacturer』という役職だった。
これはモンスターを操る能力で、
最初はゴブリンを一匹程度しか操れなかったけど、ゴブリンを操り、ゴブリンは私を抱く事でコブリンは強化される。
この1年で最初のゴブリンは伝説のゴブリンキングにまで進化した。
そして、皮肉なことに子を産む能力が無くなったのは人との間だけで、魔物とは子を成すことが出来るみたいだった。もっとも人間のように肚が大きくなり、死の覚悟をしてまで産むことはないみたいで、自分が魔物の子を孕んだと思った瞬間、魔物が産まれ落ちて急激に成長するといった感じだった。
私は悟ったのだ!
この力を使えば王国を潰せる軍を作る事ができると!
こうして1年間、悍ましい魔物に抱かれることによって、復讐の軍団を作り上げた。
私は、今夜、愛しいラーレが、あの女に本当に奪われる前に奪い返すのだ!
行け!
悍ましき我が子らよ!
この国を滅ぼせ!
しばらくして王城内に離した偵察用の魔物、デビルアイから城内の映像が届く、どうやら、ラーレはクリスと前線に居て、城内には王族と護衛騎士や近衛兵団しかいないらしい。
私は複数のワイバーンに私とゴブリンウォーリアが乗りに王城内に侵入、私とゴブリンウォーリアを降ろしたらワイバーンは上空で待機させた。
私とゴブリンウォーリアが侵入しても王国兵共はまったく気付いていない。
なんて馬鹿な奴らだ。
私は王城内を魔物とともに無人の野を行くが如く進み、時折、出会った兵をすぐにゴブリンウォーリアが斬り伏せる。
神とやらに与えられた『焔神の申し子』は消えて、無くなっていたけど、代わって『flame demon』の役職も授かっていた。
第2王女と結婚するラーレは危険な任務に出すわけにはいかないので、他の勇者が任務に駆り出されている。
私は地方都市にも、魔物に襲わせておいたから他の勇者もそちらに派遣されており、王都には不在、この王都の戦闘でも、私がワイバーンに乗って空から攻めてくることなんて想定していないから、前線や城門を守るのに駆り出されて、王城には最低限の人数しかいない。
私の大好きなラーレは前線にいるから、ラーレと戦うことはない。
王城内を探すけど、第2王女はいないわね。
見つけたら最も残酷な殺し方で殺してやるのに!
あら!あれは国王じゃないかしら?
あらあらこんなところにいたのね!
私は国王に声をかける。
「殺されに出てきたんですか?おバカさんですね〜。」
私は国王の周りにいる騎士の一人を燃やす。
生きたまま焼かれる騎士を見て、呆然としている他の騎士をゴブリンウォーリアが斬りかかる。ゴブリンウォーリア達の攻撃に対応ができない騎士達は簡単に斬り伏せられる。
騎士が簡単に斬り伏せられているところを見て、国王は腰を抜かしたのか、へたり込んでいる。
私はそんな国王の前に行き、頭を掴んで国王に話しかける。
「お前が余計なことをしなければこんなことにはならなかったのにね。なんて馬鹿な奴、これでお前は国を終わらした。最低の国王としてこれからの歴史書載るかもね!」
国王泣きそうになりながら、
「一体、わしが何をしたんだ。」
私は国王の頭を掴み自分の頭の高さまで持ち上げる。
「お前のせいで、私は惚れた男と結婚できず、悍ましい魔物に身体を許す羽目になったんだよ。」
私はそう告げると掴んだ老人を生きたまま燃やす。
ふん。
コイツが死んだことを知らしめるために全焼は止めておくか。
私はゴミを捨てて、憎いあのアバズレ王女を探して王城内を歩く。
しばらく歩くと豪奢な扉の前に女の護衛騎士が2人立っているのが見えた。
女が護衛についているってことは
女王か王太子妃か第2王女ってことよね。
もしかしたら、王太子が女好きで女を侍らしているだけかもしれないけどね。
私は扉の前に立っている女を2人共燃やして、配下の魔物に命じて扉を蹴破らせる。
「こんばんは。王族のゴミ達、今から燃やしてあげるわね。」
私が部屋に入るとそこには憎き女が座っており、横には侍女と女の護衛騎士が1人いた。
「おやおや。私が殺したくて殺したくてたまらない女を見つけたわ!今日は幸運な日ね!」
王女の侍女が私の顔を見て声を上げる。
「貴女はラミア様ですね!勇者ラーレ様の仲間でありながら何でこんな事を!」
私は侍女を見て、
「あらあら、五月蝿いゴミね!静かにしていれば殺されないかもしれないのに!」
そう言って私はニッコリと微笑む。
「まぁ、良いわ。貴女の言葉は忘れてあげる。だって今日は良い日ですもの!」
私が指を鳴らすと第2王女の横にいる女の護衛騎士が燃える。
「その代わり、そっちの女は殺すわ。良いこと。そこの侍女、次からは言葉に気を付けなさい。」
生きたまま燃える護衛騎士の炎を消そうと第2王女と侍女が駆け寄るが、すぐに護衛騎士は燃え尽きる。
「貴女は何故このようなことをなさるのですか?」
第2王女が私に問いかける。
私はこの問いかけを待っていたのだ!
この女が自分がした愚かさを分からせるために応えてやる!
「お前の罪は私の最愛の人を横から平気で奪ったことよ!」
第2王女と侍女は今更気付いたのかハッとなにかを気付いた顔をした。
「貴女はもしかして・・・、」
私は頷く。
「そう、私はラーレが好きだったのよ!お前が!そしてお前の父親が馬鹿なことを考えなければ!私は今頃!愛する人の横に入れたのに!」
私は指先を第2王女に向ける。
「これでおしまい。お前は死んで私は愛する人を取り戻す。」
私が第2王女を燃やそうとすると、横から何かが私に襲いかかる。
私はその攻撃を避け、相手を見る。
そこにはぼんやりとした影が立っていた。
「あらあら、何かしら?王女か侍女の役職かしら?」
2人の顔を見るけど、2人ともに何が起きたか分からないようだ。
どうやらこの2人の能力ではないようね。
私は影を燃やそうとするが大して効いていないようだ。
さすが影みたいなものね。
魔物に相手をさせるけど、向こうの方が能力が強いみたい。
まぁ、能力が高い魔物は前線でラーレやクリスの相手をさせているからね。
私が影の攻撃を避けていると、脇腹に痛みが走った。
ちっ!
どうやら、影はもう一体いたらしい。
1匹が派手に動いて、もう一匹が静かに致命打を放つなんて、なかなかやるわね。
影だから気配もあまり感じられないからやっかいね。
痛みは腎臓付近かな?
かなりの深手を受けたわ。
こうなったら別の手を打つか。
私は待機しているワイバーンに合図を送り、窓を破らせ室内に侵入させる。
ワイバーンは第2王女を足で掴むと侵入した窓から飛び出した。
「ふふっ!良いわよ。例の場所に連れて行きなさい。」
私は影どもにゴブリンキングですら焼き尽くせる炎を浴びせる。
どうやら影らしく光に弱いらしい。
炎が作り上げた光に躊躇してこちらには向かってこられないみたいね。
私は侍女に告げる。
「第2王女は戴くわ。」
私は配下の魔物に影が、私の後をつけないように足止めを命じると窓から飛び出す。
別のワイバーンが私を受けアジトに向かう。
クソ!
かなりの深手を負ってしまった。
何なんだあの忌々しい影は!
薄れゆく意識の中、私は愛しいラーレの顔を思い出していた。
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