第8話
1年後
僕は明日にサイサリス様との結婚式を控えて緊張している。
王女との婚約者として、教育を受ける中で、国王陛下や女王陛下とも王太子や王太子妃とも仲が良くなり、僕が孤児だと知っても僕を受け入れてくれている王族の方々には頭が上がらない。
もちろん、サイサリス様も僕を受け入れてくれている。
サイサリス様は甘えん坊のところがあり、ふとした瞬間、僕に甘えてくれるところが非常に可愛いなと思う。
最近に婚約者教育が忙しくて、クリス様やラミアに会えていないけど、2人は元気にしているかな?
僕、勇者ラーレは第2王女殿下との婚姻が控えているため、緊急かつ大規模被害が及ぶ事案でなければ呼び出されることがないため、この1年間は何の任務にも出ていなかった。
クリス様は腕が鈍らないようにと演習や近場の任務に出ていたみたいだし、ラミアも研究テーマである魔物の生態を調べるために任務に参加していたみたいだった。
僕は昼間は、明日の式典での動きを復習するために、サイサリス様と一緒に式典の練習をしたあと夜は一緒にお茶を飲んでいた。
「いよいよ明日ですね。」
サイサリス様が僕に笑いかける。
「そうですね。僕は緊張していますが、楽しみです。」
そうやってしばらく話をしていると、城内が少し騒がしくなってきた。
「何事でしょうか?」
サイサリス様が、護衛騎士に声をかけ、騒動を調べるように命ずる。
部屋の中にいる護衛騎士が扉の前にいる部下に調べに行くように指示し、しばらくすると、部下の護衛騎士が戻り、
「先ほどから城下町に魔物の集団が侵入しているとのことです。」
護衛騎士の報告を聞くと僕は立ち上がり、護衛騎士に尋ねる。
「被害はどれだけ出ていますか?」
僕の問いかけに護衛騎士は気まずそうに応える。
「夜間ですので被害状況は分かっていません。ですが、魔物はもう街には侵入しているので国民には被害が出ているとのことです。」
僕はサイサリス様に向かい、
「サイサリス様、僕は勇者としてこの魔物災害に立ち向かいます。サイサリス様は城内に控えていて下さい。」
サイサリス様は頷き、
「はい!分かりました。勇者ラーレ様、必ず生きて帰ってきて下さい。」
僕はサイサリス様の言葉に頷き、護衛騎士にサイサリス様を守るように頼むと、城内にある僕の部屋に戻り装備を整える。
装備を整えた僕は王国軍が駐屯している兵舎に向かう。
すると、丁度、クリス様が軍団兵に指示をしているところだった。
「クリス様!勇者ラーレ様が参りました。」
従者の言葉にクリス様はニヤリと笑い、
「勇者であり、第2王女殿下の婚約者が来てくれて助かったよ。これで兵の士気もあがるだろう。」
クリス様とは約1年会っていないけど、何処となく落ち着いたのか前よりは暗くなった印象を受けた。
「さて、勇者ラーレ、君はこれまでどおり、俺と一緒に前線に出てもらっても良いか?」
クリス様が僕に尋ねてくる。
「はい!問題ありません!」
僕とクリス様、そして配下の騎士と混戦に備えて、神殿に依頼をした神官が揃ったので僕達は前線に向かって移動した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます