忌み子の巫は天を照らす
神山れい
序章
はじまり
古より、
生きていられるのは、神々がおわすから。ただ、自分達の目に見えないだけで、我々は神々と共存しているのだと。
それを確固たるものにしていたのは、神々の血を継ぐ
八十神家は、神々の血を継ぐために神力と呼ばれる力を扱える一族。肉体強化はもちろん、邪悪な力などを祓うことができ、人々を護る役割を持つ。
その中でも、色を持って生まれた者は特別視されていた。
色は「神々の力をも継ぐ者」の証とされ、権能が与えられている。扱える神力も非常に強力で、帝として今日にいたるまで日本を護ってきた。
巫覡の者は
稀に、首の後ろに紋様を持って生まれた者はかんなぎと呼ばれ、女なら「巫」男なら「覡」と表記された。神を依り憑かせその力を借りることができるため、帝と八十神家の者達とともに前線に立つ。
では、帝と八十神家、巫覡の者達は何から日本を、人々を護ろうとしているのか。
それは、八百万の神と同じく古より存在する
夜な夜なあらゆる命を脅かし、神々に助けを求めながら死に逝く者を下卑た笑みを浮かべながら喰らう存在。救う神などいないと言わんばかりに次々と人々を襲い、見る見るうちに疫病のように恐怖を日本中に蔓延させた。
帝と八十神家、巫覡の者達はそんな魑魅魍魎と戦い続けていた。
魑魅魍魎が
あまりにも長い年月。巫覡の者達は魑魅魍魎に喰われ神森家のみとなり、また「巫」も「覡」も生まれなくなった。時代の変遷とともに劣勢になっていく様に、人々の心は陰っていく。
彼らは命を賭して護ってくれている。戦ってくれている。誰もがそうわかっていても、いつまで怯えて暮らせばいいのかと不安は募るばかり。
やがて、人々の心をあらわすかのように、厚い灰色の雲が太陽を、月を遮るようになった。
曇り空は人々から笑顔を奪い、夜は怯えて過ごす日々。
魑魅魍魎が退治されない限り、このままなのかもしれない。喰い殺されるときを、待つしかないのかもしれない。絶望が、すぐそこまで迫っていた。
そんなとき、百年ぶりに生まれた一人の巫。天を照らし、日本に、人々の心に光を与えた。
これは、その巫の物語。
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