第5章:[鋭意制作中]
第5章一話:飛翔/宇宙[塵鉄惑星〜]
「そうか、これが......」
宇宙船にしては小振り、聞けば人が独りで十分な生活スペースと生命維持関係。メインの調査関係の設備や何かあった時の資材類、そして宇宙船自体の設備。
(複数人で航行する予定は無いから、こんなに小さくて良いのか)
大抵は4〜5人のイメージが強いので
「この船は、これから長い付き合いになるんだったか?」
『そうね!他の恒星系と惑星を調査するから、現地で私達の行動を見守ってちょうだい!』
銀河の中心からやって来た[空間に満ちるナニカ]。
壊すモノを形作るナニカ、それの発生源を調査する為に銀河の中心へ向かう先遣隊。まあ、ボッチなので隊ってほど大きくないが。
「入ったら......どっちに向かえば?」
『ついて来て!案内するわ!』
ブンブン飛ぶエディンに着いてけば。人がすれ違えるだけの廊下は直ぐにちょっとした広間へ繋がって、その先にコックピット......の様な機械だらけの部屋。
(狭い、けど安心する)
慣れと言うやつだろう、手動で動かせる様に仕組みと配置を覚えなくてはならないが。航行中に聞けば良いと座席のベルトを締める。
「もう直ぐに出発か?」
『ええ!安全な旅をお届けするわ!でもその前に、今回はディアンも居るわよ!』
『......はい。安全の都合上、返答に遅れが生じますがよろしくお願いします』
『多重の抜本的フィルターによって外部干渉や改竄を防ぐ装置の影響ね!ブラックボックスみたいな物だけど調査や健康関係は頼れるわ』
しかし『緊急時には全く使えなくなってしまうけど』とはエディンの談、何かあったらエディンに頼るか自分で何とかするしかない。
『それじゃあ、出発ね!』
軽い揺れと共に座席へ身体が沈む、眼前に広がる透明な半球は外の様子を直で見せてくれる。宇宙船が飛んでる動力源は何だ?とか技術体系は気になるが、いま問い質すのはナンセンスだろう。
「シートベルトが要らないくらいだ......」
『不測の事態はいつだって起きうるものよ!』
流石に口から出てしまった、全く振動も重力も横揺れも無いのだ。スイーっと上がって行って、いつの間にかベルトを外して良いとかランプが点けばね......
「広間の天井は透明だったな」
『そうね、今ならまだ惑星も見えるわ』
それを聞き、[歩いて]広間へ出る。
「まだまだ地表もよく見える、少しずつ加速してるのか?大気圏、正確には重力圏から既に離れて......ん?」
なぜ歩けている?位置的に慣性も関係無い。
「重力がある......?」
『あら?無重力の方がお好みだったかしら?エンジンの影響で重力が強く出てしまうの、期待には応えられないわ!』
不便ないほどの重力、ならば足元には相応の巨大な質量があるはず。例えばブラックホールとか......もしくは重力子なんて物がある世界かもしれない。
「人体や物体の構造的に重力はあった方が良いから......いや
『
吹き飛んだ腕が自然に生えてきたりしないし、無重力下に居ると骨がスカスカになる可能性はあるか。義手なのに感覚あるとか、そういう話は置いて。
『......無重力での活動は制限が掛けられています。また、本船の仕組み上で重力を排除する事は出来ません』
「ふうむ......」
長椅子へ腰を下ろす。一先ずこの話は置いて、これから行く先に関して詳しく聞こう。
「取り敢えず最初に行く恒星系、の惑星か?どんな場所なんだ?」
『元は造船で栄えた場所ね!今回の旅で一番長い道中になるけど恒星系へ向かって一直線よ!でも......』
『......はい、この周辺から観測できるだけでも大きく様子が変わっています。水の惑星と呼ばれる部類でしょう』
グルグルと塵鉄惑星、いや星系か恒星か。円軌道を描くように加速し続けて回ってる、いつ向かうのだろうか?一直線とはいったい......
「着くまで時間はどのくらい掛かるんだ?」
『ざっと......一時間半ね!』
速くね??さんざん待たされたから、感覚がおかしくなってるだけかもだけど。
『しばらくの間はこの恒星系ともお別れよ』
「そうだな」
既にグルグルと酔いそうな速度で景色が動いてる、コックピットに戻るわ......一時間もあれば手動で操縦するやり方くらいは聞けるだろう。
そしてグンッ、と今まで居た恒星系から離れて一直線に何処かへ進む。
・
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『そろそろ見えて来るはずよ!』
一通りコックピットの操縦方法を教わり。雑談しながら船内をブラブラ歩いて構造を把握して、やる事もなくなってコックピットでダラダラと会話、ウトウトしてたら起こされた。
「ああ、あの恒星か」
速度を表す数字は減っていってるので減速中だろう、たぶん......周りの景色は遠い星々とグングン近付く光くらいなので減速してる様には見えない。
(一定以上の光を防ぐ窓は現実でも欲しくなる、いや既に在ったか?)
つらつらそんな事を考えてると、いつの間にか恒星系へ進入したのかグルグルと吐き気を催しそうな速度で円を描いてるらしい。
「恒星系だけでも広いのによくもまあ......」
十秒に何周してるだろうか?現実ではまだ宇宙開発とか別の恒星系へ行くなんて考えられる段階ではない、有人宇宙航行は月までだったか?
(そう、確かそのはず。そのはず......だよな?)
……後で調べるか。
「あれが目標の水の惑星か」
『そうね!宇宙船の記録も残ってるはずだわ!』
「想像してたより、みずみずしいと言うか。ポツポツと陸地があって......んん?なんか見た事が、貿易惑星......?」
見覚えのある地形。
記憶の整合性を確認すると、アレは確かに(船乗って航海したい)で最初に行った海洋系の惑星。視界に出てたMAPと地形がピッタリ一致する。
「なんだか目が回って、身体が熱い。息苦しい......?」
ハアハアと息が荒くなる......特に頭が痛いというか、熱い。
『......バイタルに異常、発汗発熱の症例を検知。精密検査の結果、精神的な影響または未知の影響と診断。対処療法、安静にしてください』
う〜んこの、やはりどれだけ技術が発展しても安易に薬を使ってはダメなのか。
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「結局、さっきのは何だったんだ......」
『......精神的な不調か、未知の現象と推察します』
「そうか、でも自身の同一化?合一化?見たいな......惑星の方に繋がった様な感覚もあるし、渡り人特有の物だったりするのか?」
『......不明です』
『あ、もう大丈夫?』
「なんとか」
『良かった......』
『......早速で悪いのですが、惑星調査の許可を出せますか』
「良いよ良いよ、えーと?光学式の受信器に放射式の測定器、電波に振動......」
渡された電子機器に書かれた申請をパッパと判断して許可する、人間の方がミスしそうな位に練られた計画は一任したくなるけど[必ずヒトの目を通さなければならない]らしい。
「はい、終わったよ」
『......ありがとうございます、調査が終わるまでお待ちください』
ホッと一息付いた所でエディンから話し掛けられた。
『ねえ、あの惑星に心当たりがあるようだったけど。行けるなら行ってみる?』
「あー......もしかしたらミフユが出現するか......?」
『ミフユ?』
「陽と月の惑星で造った木造快速帆船、進行度報酬なのか貿易惑星へ行ったら出現してな......」
『進行度報酬......?よく分からないけど、あなたの物なら回収しに行きましょう!』
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