第4章十一話:悪善/機戦惑星
倒して倒して、また倒して。一息つくにも色々な場所がある、機体のコックピットもそうだがあちこち飛び回る環境なので見知らぬ基地へ慣れたいところ。
「争いはなかなか終わらないな......」
『......』ジー
残党狩りの様相を呈しているが、その実もはや意地を張って内側でテロ活動に勤しんでる者達に過ぎない。
ここで確り纏めあげて秩序を示せば、今だに抵抗したり様子見する外部の陣営を取り込む事が叶うだろう。
「焦りは禁物だな」
『......』フムフム
戦いは心を摩耗させる、精神を疲弊させる。上手く自分や仲間を
「先ずは拭こうか」
『......』ホヤホヤ
風呂、へ入れるには部品だの何だのが錆びたり外れそうで不安だ。人肌程度の濡らしたタオルとボディソープで確り汚れを落とし綺麗に
髪も大事にしなされと洗い、
「買い出しに行くから待っててね、機体とは繋げとくから何かあればそれで」
『......』ポヤポヤ、コクリ。
スッと二足歩行の機体から出て、ちゃんと閉めて行く。二足歩行機体は背が高くて、登り降りが地味に大変だ。
(必要なものは......)
大量の物資や道具を詰め込みたくなるが、あまり重量を増やしては咄嗟に動けない。戦闘で不利にならない程度の量と必要な物品......
(使わない物は、こまめに降ろさないと)
食事なんかにもお金を使った方が良いだろうが、独りで食べる食事ほど寂しいものはない。食べるなら結局名前を聞いてない生体パーツ少女の神経弄って味覚治したり胃袋とかも必要で......
(その前に声帯の役割をする部分がなきゃ誤飲、肺も無かったな)
以前に車椅子や重心で勝手に動く無電動脚とか作ったけど、背負われる方が好みらしくお蔵入りでな......聞いてから考えたほうが良いか。
「こんなものかな?」
買い物を済ませ帰る途中、直感が働いた。何かこっちの方から今後を左右しそうな、それでいて今の状況を解決出来そうな気配。半開きのドアを開けて見る。
「なかなか口を割らない......!」
「なんだ?って拷問か」
「ヒッ、ポ、ポッシ、さん。今ここは捉えた兵に話を伺ってる所でして......」
色々試した様だが口を割らなかったらしい、訓練されてると言うか何と言うか。この惑星では保護される様な条約は結ばれてないので、さもありなん。
しかし道具や状況を見る限り、拷問官は教本通りにやってる真面目なやつ。拷問官の方が疲れてるとは、これ如何に?
「あー......代わろうか?」
「で、ですが私の仕事なので」
「それで口割るの?」
「ここまで割らない人は......」
とりあえず連絡を入れる。
「もしもし」
『ん』
「なんだか帰り遅くなりそうだから」
『ん......』
「そっちはそっちで」
『ん!』
「あいよー、じゃあ」
多少遅くなってもこれで大丈夫だろう、教育と言うのも烏滸がましいが。
「そういう事で、何を聞き出すんだ?」
「ええ......聞ける事は、全部......」
「分かった、全部だな。ちゃんと見てなされ」
レッスンその1、基本中の基本である相手の思考力を奪うには......
「やあ、とりあえずお前さんの知りうる限りを話してもらうぞ」
「プッ」
唾を飛ばして来た虜囚の顔面を、靴底でザックリと蹴り斬る。
「1番手っ取り早い方法は出血させる事だよ」
・
・このまま描写しますと、
・エグイシーンが長時間続くのと、
・グロい事になりますので、
・大幅なカットをさせて頂きます。
・
・さすがに自重せざるを得ない。
・
「......この仕事やめようかな...」
ゲロ吐いてゲッソリした顔の拷問官君。大体こう言うのは慣れだよ、馴れ。天井まで血痕が飛び散った血塗れの部屋を掃除しながら、取り出せた情報を纏めると......
名前、年齢、産まれ、住所、所属、経歴、交友関係、友人等仲間の情報、知りうる限りの基地や所在地、所属先の文化的な情報、知識量の情報、基地の構造、合言葉、パスワード、作戦日時、今までやって来た事を自他含め、これから行うと計画されてる事、噂話や事実として広まってる話、
(一番興味深かったのは......)
産まれ。どうやら培養されるらしく、機械からある程度成長した姿で排出されるらしい。その機械を詳しく聞くと、どうにも中立地区で使われてる食品関係の培養装置を古い時代に
(出来なくは無い。出来なくは無いが、それで良いのか人類......)
何処もかしこも少子化は変わらない、それが知れただけでも良しとしよう......ゲリラ基地の情報はついでだ。
(......あれ?生体パーツ少女(仮称)って培養では無いのか?成長した姿ならもっと大きくてもおかしくない気が)
こんがらがってくるな。虚ろな目で、こっちを見ると怯える虜囚の手当てもして......着替えるか、ズボンが血塗れで服も臭うだろうから風呂へ行く。
風呂へ入り、後日に基地攻略が決まり、いつも通り戦いへ向かう。そんな中で何やら下手な事を言ったら蹴り殺されるとか、妙な噂が広まったらしく人に避けられる事態が加速した。
(戦闘行動に支障が無ければ良いさ、無ければ......)
ある様なので単機投入される。シールドを張る機体に動くコロニー、行く先々で様々な相手を取った。
そんな事が繰り返され惑星共栄圏は躍進して、勢力名は地名へと変わる。
「結局は手の平の上だったな」
『......』
最後の最後まで惑星共栄圏は踊ってくれそうだ、ちゃんと結束した後は半ば引退出来るだろうが......共栄圏は共栄圏らしくなってしまった。
象徴の役割は中立地区が担う様で、共栄圏は結局ちまち手を出してしまってる。
どれだけ先になるか分からないが、いずれ共栄圏も腐敗したり責任を取る事になるかも知れない。
「......どうなるんだか」
『ん......』
しかし、一時の平和は手に入っただろう?恒久的な平和を考える役割は本来この惑星の人々、ダメな時はダメだろう。
(期待せずに待つさね)
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