第4章九話:壊滅/機戦惑星
「今日はよろしくね」
『
「ん?ああそうそう、この機体は元々この子が使ってた物だからね。一部の処理を任せられるんだよ」
拾った二足歩行の機体はちょこちょこ弄ったり既に習熟済み。この惑星へ来てやっとの初陣であり、初のお披露目......ここで転けたら大変だ。
『早速だがお前さんの力、見させて貰うぞ』
「了解」
窪地に地雷設置中の一機、向かいの丘裏に潜む二機。こっちは丘から様子を見る私と組まされ一歩離れ通信してた一機、少々立地が悪い気がしなくもない。
「『こちら惑星共栄圏の傭兵から警告』」
銃弾、この口径は砲弾が近いか?名乗りの途中で撃つなんて礼儀も何も無いな、当たりそうな弾を射撃で逸らす。生体パーツ少女が処理の分担をしてくれていつもより楽だ。
「『5秒以内に投降を決断せよ、投降しなかった場合は攻撃の意思ありと判断して抹殺する......殲滅開始』」
ドンッと信管へ一発。完全無視を決め込んでた地雷設置中の恐らく
脚を曲げ、跳ぶ。
水素を燃焼噴出させ緩やかな下降、空中で加速する横滑り。飛んで来る弾を撃ち落とし射撃を無効化、速度そのままコックピットへ左手のナイフを突き刺し持ち上げ......盾にしてもう一機を射撃で破壊する。
「確り止めを刺してと、状況終了」
わざわざナイフを抜いて、射撃で破壊した機体も刺す。文字通りの抹殺だ、油断して背後から撃たれたり見逃した影響で仲間や非戦闘員を殺されたりしたら、たまったものじゃない。
だから甘さはとうの昔に捨てた。
『......お、おう。だいぶ、その、手馴れてるな』
「そりゃ、傭兵が戦えなくてどうするんだ?」
『いきなり警告を外部スピーカーで流し始めたからどうなるかと、そういや相手が投降したらどうするんだ?こっちに引き渡されるのか?』
「ああ、気分次第だよ」
『えっ』
「投降したら助ける、とは一言も言ってないぞ?投降したフリとか散々見てきたし、そういう輩は首を落とすに限る」
次の戦い、そのまた次の戦いでも警告は欠かさない。巡回、防衛、攻撃、徐々に仕事を信用され始め重要な面や兵器として運用され始める。
最低限の動きで、最小限のコストで、最高率の戦闘行動。相手が4機、6機、そして
「本作戦に置いて我々は東方から単独で敵基地へ侵攻する事になった、メインの部隊は他所から侵攻するので我々はいわゆる囮だろう」
『ん』
「一応、行ける所まで行って良いとお墨付きを貰ってるので基地を落とす方法も考えてある」
『......』コクコク
「注意点として。非戦闘員は放って置け、攻撃して来たらそれは処分する。取り敢えず兵器系の大型格納庫が近いので真っ先に潰す、続いて敵本部へ向かいつつ防衛機体を迎撃する」
『......』ジー
「着いてそれでも降伏しなかったら......」
時間の様だ、都市全体へ響き渡る警告を行う。今までこの警告を相手にする人物が全く居ないのは少々問題だ 、調べた限り知れ渡ってる筈なんだが。
「『殲滅開始』」
第一関門、防衛兵器や地雷によるお迎えは軽々突破。防衛に着いてた機体3つも抹殺する、都市では警報が鳴り響き慌ただしい様子だ。
第二関門、格納庫から次々発進する機体も速度を落とさず斬り捨て格納庫へ
第三関門、奥の手を隠していたのか敵の本部が少々変形しそこから何かを噴出して浮き始める。巨大な砲身が露わになり、都市も家々を破壊してせり上ったのは何らかの砲身。
(本部内の生命反応も減少した様な気がする......それで良いのか?)
攻略に掛かった時間。第一関門15秒、第二関門40秒、第三関門15秒、
やること無くて反省会しつつ救助作業、丸々2分ほど掛けてようやくメイン部隊が合流。どうやら攻め易い地形だと思ったら、相手さんも分かっていて色々用意されてたらしい。
(そもそも二足歩行の機体は土木作業用だったらしいからな、転用も出来るといったところ)
以降、戦線に単独で投入される事が増えた。
殺して、殺して、殺す。やる事は変わらない、武器を向けて来た者は女や子供であっても鏖殺する。降伏して来た者は、嘘をついているか?後の統治で危険因子になるか?心変わりしそうか?それらを判断する。
(惑星共栄圏には象徴になって貰う、直接の統治は長続きしない)
今だに残ってる王室、皇室は国の象徴として存在するだけ。政治や軍部を直接動かして来た貴族は、責任を取らされ滅んでいった。
(だからこそ秩序ある戦いでなくては)
傘下に入っても良いだろうか?そう思わせる戦いでなくては民衆の支持を得られない、支持を得られなければ反発が生じて分裂してしまう。
2つ、3つ、4つ。次々と勢力を吸収し、拡大して行く。それに伴い、周囲の反応も変わっていった。
(正しい行動だ、最善は尽くしている)
例えそれが[突出する]意味合いの[悪]であろうと。
『......』ヨシヨシ
最初は[これほどの逸材を!]と好まれた、次に[君もこの陣営へ来ないか?]と誘われた、最後に[どうして来てくれないんだ......]と怯えられた。
中立傭兵、その真の意味は[何処にも属して無い、敵にも味方にも成りうるやつ]だ。
心象的に味方したいのならば、自ら[〇〇寄りの傭兵]と自己紹介文を変えるのだ。名乗りが[中立傭兵]のままならば[いつ敵になってもおかしくない]と公表してる事となんら変わらない。
(不安がって先の契約も取り、ずっと前線へ送り出されるから一石三鳥くらいにはなってる)
こうやって圧を掛け続ければ汚職は抑えられるはず。拡大も順調に進み、惑星共栄圏の運用はショクから
香を焚いて落ち着く、次の仕事らしい。
単独で真正面から基地落とし?劣勢の戦線へ単身突撃?味方の砲撃が降り注ぐ中で敵隊殲滅?今度は何をさせられるんだか、どこからどう見ても信頼じゃなくて殺しに掛かってるよな?私がおかしいのか?
「どうかしてる......」
『ん......』
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