第3章二話:相反/陽月惑星?
「さて、そろそろですかね?」
運用の最終チェックを終わらせる、自身の携帯でアプリケーションが動作すれば大抵の電子機器で動く。だからこそ数日間掛けて最終チェックをしていたのだ。
「チートもバグも難しいでしょうし労力に見合わない、サーバーへの負荷も必要最低限で早々エラーが起こる様な構造では無いですし」
携帯機器向けのアプリケーションを配信開始する、とは言えただのゲームでしかない。それ以上の機能を持たせるには、あまりにも制約が多過ぎる。
「救急の様子は......」
新人さんが精力的に活動してる様で何とか回ってる、時々連絡が入って泣き付いて来るものの愉快な道中を歩んでる様で仲間?友達?が増えてるらしい。
そのうち救急隊員が増えるだろうか?
(とりあえず良さそうですね)
アプリケーションでの再現は苦労した、特にドット絵とマップ構成。ドット絵は思い出しながら打ち込むのもあったが、削ったり併用したりして何とか容量を詰めた。
そもそも使用出来る容量が少な過ぎて、まともなアプリを見掛けない。一番流行ってるのだって育成ゲームっぽい何かで数値を上げて殴るだけの対人ゲーム。
(絵をそのまま使用してる影響で種類もシステムも未成熟、努力してるのは分からないでも無いですが......)
そんな中で颯爽と投下したのは放置ゲーム、Idleゲーム?とでも言うか。元々他にもそう言うのはあるけどコレは大きく違う、世界観重視のテキストだとも。
一つずつ確認して行こう。
漫画的表現......を入れたかったが流石に容量が厳しいのでテキストだけで何とかする、アプリを開いたらEASYだけ選択出来る状態で先ずはそこから。
研究所っぽい横スクロールのちょっとした空間が本拠地。ここで操作するアバターことアンドロイドを弄れる、座ったり寝転んだりだののモーションは諦めた。
(立て札ならぬ本、目立つ
注意事項や部屋で出来ることが端的に説明されてる。ちょっとしたステータスの操作、部品の固定化(リスポン時の部品性能)、オマケ要素(トロフィー、テキスト、図鑑等)。
(いわゆる、よくあるホームですかね)
そして右へ向かえば直ぐに外へ繋がり。まだ小さなマップが表示されながら裏でロード、自動的に縦スクロールで勝手に動き出す。
シューティングの要素があり、自分でも操作しようと思えば操作出来る。敵からの攻撃を避けて攻撃を当てる、本領はこの時の動作。
結構ヌルヌル動いてると思う、そして自動的な状態だとヒットポイントが減少したら自己保存的に拠点へ撤退する。これは必ず成功して道中もカットするので、操作で戦い続ける事は出来るがおすすめしない。
(破壊されたら道中で入手したアイテムは全て喪失、これ常識)
救済措置として、リスポーン時の部品性能を維持出来る施設があるのでご愛嬌。
アイテムは勝手に漁るので問題無し、自分と同型機からパーツやら武器を剥ぎ取るローグ的な雰囲気。性能の良いCPUや機構へ取り替えれば賢くなって被弾も減る、道中自由に付け替えだって出来る。
(街並みの再現に苦労した......)
パネル上にして併用出来る所は全て併用、プログラムだって詰めに詰めて再利用や併用だってする。
(ゲーム開発の黎明期を思い出しますね)
そして空いたスペースに何を入れたのか、文字である。時々ひらがな、なのはその方が容量節約になるから。最も軽い形でつめつめである。
初期装備のCPU一つ取っても、最もシンプルな形式の最終スロット。やら、道中の、N社とT社が協力して製造した躯体の前腕。とか、そんな感じの形。
まあ誰かの日記とか拾う事もあるけど、EASYでは情報開示が少ない代わりクリアまで早い。
(クリアはあの装置を動かす事、その後に色々アンロックしましたよ〜って表記が出るから導線は大丈夫な......はず)
〇〇地区を解放しました!とか、NPCが出現する様になりました!やら、色々と。
NORMALへパーツを引き継いで始まるけどマップが一回り広がる形、どちらにせよ一本道ではあるが目的は変わらず。あの装置の前にボス戦がある。エンディングはパネルを利用した漫画調で何の変哲もない街の景色。
HARDでは道中の敵も強くマップは更に広くなる。テキストもほぼ全て解放され、確り考えれば世界に何が起きたのか分かるはずだ。エンディングは誰かさんが目覚めて窓の外を見て街の景色を映す形、NORMALエンディングの再利用ではある。
HARDクリア後に現れる難易度REALでは短縮されてるが実際の距離として大陸一つ横断するマップ。道中パーツの入手は不可で、HARDで記録したパーツをそのまま使い続ける。救済措置としてREALの進行とHARDを同時に進められるが、REALではクリア時のタイムによってエンディングが変わる。
(おまけ要素的なものでしかない、ですからね)
一番遅いと街を映したあと隕石が降ってくる、次はゾンビが蔓延、その次が明らかな戦争勃発、もっと早ければ街中を消毒する人々のシーン、理論上最速付近が
「全部合わせてクリアするだけなら2週間位ですかね......?」
24時間ずっとプレイできるならですけど。基本ちょちょいとパーツ弄って放置すれば、パーツを集めて行ける所まで進んでくれるので拘束時間は少ないですが。
(設定の整合性は......)
……恐らく大丈夫でしょう。記憶を呼び覚ませば酷く非現実的で突拍子も無く呆れ返る、あまりにもあんまりな話し。あの世界の流れを思い出せば、こうだ。
機械工学が発達し、人体の再現も容易になって人々が最初に行ったこと。
『人件費かかるし、人間いらなくない?』
加速する低コスト、低価格の競争は足踏みする企業を後押しした。
不健全な社会構造を放置する政府から民衆の心が離れるのは当然として、困った事に民衆の心は企業へと関心が向いて行った。
『政府は毎月国民にお金を配りましょう!働かなくても自由に生きれる社会にしましょう!』
企業が口にするのは耳障りの良い甘言、その
(資本主義だから利益を求めるのが当然ではある、しかし......)
その性質上、資本主義は競争社会。途中までは健全に発展するが、結局は蹴落とし合って限られた需要を奪い合うのだ。
一方、古くは共産主義で対抗しようとしたが......そもそも一番偉い人が全部を奪ってから分配するので、資本主義の先へ位置するとも言う。
(資本主義を極めたら共産主義になる、どちらも[奪う]事で社会を回す)
誰かが笑ってる中で、誰かが泣く事になるのが資本主義や共産主義。
そうだね、事実上大企業が国を回す形で政府組織は形骸化したね。
自衛だとか警備だとか言い訳をつけ、半分軍事的武力へ足を突っ込んだ様なロボットだの部署だの好き放題やるのに、責任は取りたくないと形骸化した政治に口を出す。
(あれは時間の問題だった)
衝突。ちょくちょくテロだの何だの起きてたけど企業同士の衝突、難癖つけての武力的制裁。
そこから転がり落ちる様に荒廃した。大規模な企業の衝突、企業はなくなってるのに工場だけ動いて暴走した警備ドローンが放流され民間人を攻撃、対抗する為の自衛組織、終わりのない戦い、etc……etc……
で。最終的にアンドロイドが終止符を打つ為に、あれを起動しに向かうと言うのがストーリー。
(アレ、そう言えば正式名称を決めてなかったですね......)
元々あった施設を改良してブラックホールを利用した大規模な装置ですけど、まあ今更名付けた所でアプリケーションへ名前を登場させる予定も無いですし。
「気にしなくて良い、ですかね」
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