第1章四話:生活/陽月惑星
悲しくなって来るよ......お金を貰えたのは良いのだけど[全て寄付金扱い]で、[教会で設定弄ったり引き出さないと自分で使えない]要するに[今はこのお金で食料が買えない]。
30億貯まるまで自分で何とか生活しないといけないらしい。寄付金扱いだけど数万〜数十万を恵んでくれたので案外早く教会解放出来るかも?
ガサゴソ、ガサゴソ。
はい、と言う訳でゴミ箱漁り中です。てか警察の人曰く「皆が通る道」だそうで、やり方や注意点を教わりました。拳銃捨ててあっても取らないとかね。
「お腹減ったな......」
神職の人がゴミ漁りとか世も末だ〜、何て嘆かれましたけど背に腹は変えられないですし......分別して資源だけ持ってけば小金くれる場所もあるらしいので何とかなりましょう。てかゴミ収集車が間に合ってないからお目溢しされてるだけであって本来はイケナイコトでしょうね。
「残飯......まだいける、たぶん」
ある種の幸運なのだろう。1食分買うならお店で数千幾らか、食糧はともかく飲み物の値段が大変な事になっていてペットボトル1本7〜8万はする。
資源回収は丸1日分別し続けて1食分になるかどうか、残飯を漁るしか無いのよ。水も捨てられた空のペットボトルから何とか捻り出す形で回復......聞き及ぶに飲料に適する水が郊外にあるらしい。
「番地は......4千番台か」
目指す場所は2万3千番辺にある山中の湧き水、都市保有の山で勝手に使って良いと警察のお墨付き。北寄りの北東を目指せば着くらしい。
ちょくちょく目に付いたゴミ箱を漁りながら移動し続けると、気付けば何やら治安が悪そうな地域。あちこちに落書きがされて居て少々気味が悪い。
「何やってんだ?」
「お前ここがどこの島か分かってんのか!」
「勝手に漁るとは良い度胸だな、ほら上前金出せよ」
妙な3人組に絡まれた、鉄砲を突き付けられるとは厄介が過ぎる。ゆっくりと手を挙げたまま振り返れば3人纏まったまま短銃を向けている......ふむ。
「島?ええと、誰かの所有地だったのでしょうか?なにぶんこの街には来たばかりで、ルールには疎いものでして......」
「あ〜ここ周辺にアレ、同じグラフィティが描かれてるだろ?この辺りはウチの領分なんだよ」
「そうだそうだ!商売だの何だのやるなら俺らを通して貰わないとね!」
「利益出る物はぜーんぶウチに話し通さなきゃ、ゴミ漁りでも勝手にやるなら全財産の8割りを出して貰う決まりなんだよ」
グラフィティ......言わば落書きか、明らかに正道では無い。ヤクザ?ギャング?はたまたマフィア?どれも違うだろう、言うなれば半グレの集まりか?
「そう仰られても困ってしまいま
呼吸のタイミングを合わせる、引き金に力が入った奴へ合わせて交差した足に力を入れ弾丸の射出と同時に飛び退く。
1歩、前へ。
心臓へ肘で全体重を掛けた打ち付け。速度×重さ=パワー、特に神経が重要な役割りを果たしている心臓へ堅く重く途方も無いパワーが激突すれば、火を見るより明らかな状態になる。
心臓は痙攣し意識が飛ぶか、激痛によって行動不能。続いて襟を掴み2人の内一方へ投げ付け盾にしながら飛び込みグルリと身体を回転させ硬めた拳の甲側で盾を避けながら頭を横からブン殴る。
ボクシングでは禁止にされる程の技、それだけ危険な物であり効果的とも言える。脳震盪かはたまた......最後の一人は今だ立っている2人の内1人を蹴飛ばし懐へ飛び込む。
シンプルなのが1番強い。形は崩れているし地を這う様な不格好さだが地面に確りと足を着き、身体をギュッと縮めた全力の正拳突き。胃の下、大体腸辺りへ刺さる......本来なら内臓が破裂する威力だろう。
「これで最後っと」
落とした短銃をガチャっと動かしてバラバラにして置く、既に他の奴は投げる時に取り上げてバラバラにしてたのでこれだけだ。後は周りに誰か居る気配は無いし、いきなり攻撃される事は無いだろう、たぶん。
「早く移動した方が良さそうですね......」
この星では倒れた後に救急救命士へ救難信号を出せたり、発砲音によって警察へ連絡が行くらしい。要するに倒された後でも何度でも起き上がってくるのだ、怖い。
いや待て、このまま逃げても正当防衛の証明が難しいな......ちょっとお身体触りますね。
ゴソゴソ、ガサゴソ。
携帯持ってるとか何様ですかね?警察の番号は......
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取り敢えず何とかなったな。引き渡しと言う形で3人組を渡して、現場の状況だの何があっただのの話しは軽く会話をしただけでその場で解放。
「......そんなに初心者マークが珍しいのかね?」
やたら吃驚された。なんか犯罪に手を染めたら初心者マークが付けられなくなるとかで「まあ大丈夫でしょ?」とか言われた、初心者マークって事実上の市民パスだったりしない......?
「9千番台か、遠いな」
日も落ちてきた。治安が悪そうな地区は抜けたけど草臥れたコンクリート街って感じだ、相も変わらずゴミ箱漁りをしつつ歩いて行く。
走るとやたらお腹が減るし喉も乾く、そもそも既に腹が減り過ぎて走れないのだ。妙に時間の流れが早い様な気もするし歳か?今日は丁度良さそうな隙間で寝よう、野宿は慣れてる。
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1万1千番台、街の端っこ。ここから先は荒野らしい、遠くに見える山が例の目的地だろうか?
「遠いな......」
歩く、歩く、荒野を歩く。ひび割れた大地を歩む、建物も何も無い土地を歩く、あるとすれば何となくある道に枯れ木や赤錆色の岩程度だ。
何km歩いただろうか、ゴミ箱も何も無い強行軍。少しづつ増えてく緑、一面が短い芝生の場所を見掛け始めるのも直ぐだった。
「山......ちょっと小高い丘では......?」
そんな疑問もありつつ、チョロチョロと湧き水が出てる場所を見付ける。結構整備されてる様だ、看板を見ても目的地なのが示されてる。
「ここか......」
ふと気付けば先客が水を汲んでる、いやまて。虚空に手をグルグルやってどうして水が汲めようか?ジッと観察していたら終わったのかバイクへ乗って去って行った。
「近付けば......良いのか?」
なるほどなるほど、よく分からんが水を汲めるらしい。こう手をウニョウニョと......何が何だか分からないけどペットボトルに詰められた水が錬成された......
「えぇ......」
何処から来たんだペットボトル......ペットボトルは懐へ、待て待て待て。スッと何処かへ入れたんだが?何本持てるんだ?そもそも何処に入ったんだ?
「.........」
これもそれも全て大神のお陰だろう、たぶん。
持てるだけ持って喉を潤して警察署へ向かう、端的に言えばこの水売れるんじゃね?だ。水分もお腹も満たされた事だし走って行く。
駆ける駆ける、規則正しく駆ける。水場へ行く時よりも圧倒的に早く、既に荒野は抜け、もう落書きだらけの場所を通って、街はこれほど小さかったのかと驚きながら警察署へ着く。
「先ずは......」
適当に暇そうな警察を捕まえて聞いてみる。この水は売れるのか?そもそも売っていいのか?お墨付きを貰ったりして最終的な判断は......
「(パ〜、プー!)水〜、水は〜要らんかね〜?」
水売りに落ち着いた。
・・・・・
絶対的な数で言えば視聴者は少ない。何かに引っ掛かって視聴を続ける層と、前回の映像でソレに惚れ込んだファンだけだ。
そして気付く[あまりにもゴミ漁りへ躊躇が無い]、正しくゴミの山。黒い袋がぶち込まれ、放置され蛆や蠅が湧いて黒い悪魔さえも居る巣窟へ腕を突っ込むのだ。
(え、こわ)
惑星の性質上危険かどうか不明ではある物の、アレに腕を突っ込む選択肢を選べる人間と言える。
極め付けに戦闘シーン、[明らかに戦い慣れている者の動き]である事は一般人でも分かる。しかし(あの動きは惑星攻略を進めた報酬かな?)と思考を停止する者も多い。
一部の武術を嗜んで居る人々は分かる。あの足捌きは何らかの心得を持っている、あの動きは戦術も嗜んでいるのでは無いか?一朝一夕で出来るものでは無い。
更に言えば[容赦が無い]、多少武術を嗜んでいたとしても[鍛錬と人に対する命のやり取りは違うものだ]。[あんなに容赦無く打撃出来るのは現実で何人かヤッてる]と。
その考察は鋭く、陽月惑星において彼は何一つ戦闘系の報酬は得られていない。
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