第2話二人の登校
翌日の登校している私は背後から挨拶をされ、振り返る。
「南雲さん、おはよう。また騙してぇ〜っ、酷くない?皇にあんなこと、しないって言われたよ!どういうことなの、南雲さん!?」
「まあまあ、美央先輩。おはようございます、その……心苦しさはあったんですが、騙さないと見られないから。いいじゃないですか、減るもんじゃないんだから」
私は鼻と鼻が触れ合いそうな距離で顔を近づけられ、心臓が保ちそうになく、彼女の体臭と柑橘系の制汗剤が混ざり合った匂いもあいまい、隠そうとした本音をぽろりと漏らした。
「そ、そうっ?……って、開き直んないでよ、南雲さんっ!何かは減るから、何かはっ!」
「はぁ〜ん、怒った美央ちゃんも可愛いぃ〜いぃぃいいぃぃ!皇先輩は美央ちゃんに悪影響を与えるのでまにうけちゃ駄目ですぅっ!私とだけ、居てください!」
私は隣を歩く紅代の身体に両腕を回し、抱き付いた。
「暑いぃ〜……暑いから密着はやめてぇえぇぇ〜!南雲さん、もう離れてぇぇ〜よぉぉおぉぉっっ!」
彼女が身体から引き剥がそうと私の腕を掴んできた。
私は引き剥がされまいとしがみつき続けた。
「ほぅっ……ほう、放課後に南雲さんの要求をひとつだけ、呑むからぁぁっ……今は、離し……てぇえぇぇ〜お願ぁいぃっっ!」
「えっ!?ホントですかっっ!その言葉、信じて良いんですねっっ!?先輩が後輩を誑かすなんて、ありませんよね?ホント……ですよね?」
私は呼吸を絶え絶えに交換条件を提案した彼女に驚き、咄嗟に彼女の身体から両腕を離し、確認をとる。
「私は南雲さんみたいに騙さないよ。離してくれてありがと。昨日みたいなあーいうのは、遠慮してくれると助かるけど……?」
彼女が精一杯に訴えかけた。
「むぅー、それは応えられそうにないです……あのぅ〜皇先輩とは、あーいうの——」
「無いよ、当然っっ!変態な南雲さんとは、皇は違うって!か、軽めのキスはされたことが……あるくらい」
「キスしてるじゃないですかぁー、美央ちゃん!私は駄目で、皇先輩は許されるって不公平ですっ!?私が美央ちゃんにムラムラしたら駄目って法律はないんですよ!」
「やっと白状したね、南雲さぁんっっ!嫌よ、嫌ってば!私はそういう趣味は持ちえてないのっ!」
「強情ですよ、美央ちゃん!可愛い娘の嬌声でオナりたくなるでしょ?」
「やめなさいよ、そういう発言をこんなとこで叫ぶのは!もうっ、行こ!埒があかないわ」
「ひゃんっ!強引に手をっ——」
「もうぅやだぁぁあああぁぁ!」
「ぐゅぶふふ、ぐふふふ……」
気色の悪い笑い声に、彼女があかの他人を装いたそうに顔を歪め、私の手を繋いだままで駆け出した。
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