第85話 三人の愛人たち
東京に戻ってからの俺は、かなり忙しかった。
季節はまだ夏の気配が濃厚に残る9月に入り、当然のように俺も学校が始まる。
流石に入学から3か月も過ぎれば大学生活の要領を覚え、細かな時間は取れるようになっていた。
幸い大学と俺の事務所は歩いていける距離なので、その細かな時間を使って事務所に戻り、急に湧いてきた仕事を片付けていく。
今の仕事の大半がコロンビア対策と、新たに作る運輸関連の会社の設立に関してだ。
それに何より俺の都合でグアムから連れて来た大村母娘の生活の安定もある。
娘の幸子さんの方は今日から新しい高校に通うことになるので、今朝から母親の聡子さんと一緒に登校していった。
こちらの方は藤村さんの顔の広さに感謝だ。
俺がグアムから一旦ボルネオに移動していた時に電話で頼んだだけだったのだが、早速、それもかなり有名な高校の入学まで決めてきた。
実際どうやったのか不思議でならないが、そこは国家権力とだけ思っておけばいいそうだ。
母娘の生活の安定で一番のネックだったのが幸子さんの転校だったので、これで一安心だ。
なにせ聡子さんの方は既に俺らのパイロットとして働いてもらうことを了承してもらっている。
しかし、俺は聡子さんを只のパイロットだけに縛り付けておくつもりはない。
例の新人10名の上司になってもらうつもりだ。
彼女たちはまだ単発自家用機の免許すら持っていないが、いずれ取得させる方向ですでに動いている。
その上で、ごくごく近い将来に彼女たちには、聡子さんに機長をしてもらう飛行機で、副操縦士として経験を積んでもらう。
また、聡子さんには新たに作る会社の経営にも参加してもらえないかとも考えている。
その辺りについては新会社の詳細を決めてからの相談になるが、エリカさんの部下としてできれば副社長の職についてもらいたい。
なにせうちは人材が常に不足しているが、その人材をどこからでも引っ張ってこれるわけじゃない。
あまりに縛りの多い会社経営になる宿命を持っている。
常に各国の謀略を警戒しながらなので、世間から簡単に人を募集できない。
なので、今までよく使う自家用機のパイロットすら確保できていなかったのだ。
ここに来てパイロットの自家養成に切り替えることで打開を図ることになるが、それでも時間は容赦なくかかってしまう。
今いる人材がどこをとっても非常に優秀なのが救いで、この少ない人員で大きな仕事を回せているのが幸いだ。
ああ、俺の学生生活の方でも忙しいのは変わらない。
大学のサークルの方も秋に近づくにつれ忙しくなる。
多くの人には大学生活最大のイベントとなる学祭の準備が始まる。
俺は自分の勘違いで夏の合宿に参加していなかったので詳細は不明なのだが、学祭に向け研究を加速するそうだ。
今まで研究なんかしていたかって……俺もそう思うが、流石に学祭に向けての研究はするそうだ。
それで、できた成果を発表するのがこのサークルの習わしなのだそうだ。
今年のテーマは『コロンビア政府の経済政策とその暗躍について』だそうだ。
何でこのサークルの研究テーマはディープなものばかりなのかと言いたい気持ちもあるが、そのディープな発表にひかれて参加した経緯もある。
しかし、今回の研究テーマは、正直俺は近づいてはいけないような気がする。
俺は今までの経験から、かなりやばい情報に近づいているが、それをさらけ出せるわけがない。
なので、今回の研究については先輩諸氏に言われたことだけ調べる方向で協力していく。
幸いと言っていいのかわからないが、このサークルは幽霊が多いので手伝わなくとも何ら問題なさそうなのだが、まあ、顔つなぎもあるのでできる限り参加していく。
今まで週一回の活動も学祭までは週三回まで活動が増えたが、流石に全部の参加は無理そうなので、できるだけ参加とする方向で、先輩たちに相談してある。
合宿も参加していなかった俺なのだからか、こちらが肩透かしにでもあったかのようにあっさりと了解してくれた。
『無理しないで良いから』と優しい言葉までもらったくらいだ。
これから頻繁に接触のあるあのコロンビア政府の役人に問題ない範囲で話題の提供でも頼もうかなとは考えている。
こちらは只でさえ忙しいのに、政府を動かして直接の投資を可能とさせるのだ。
それも目立たせないように旧財閥系の資本参加も促すといっためんどくさい仕事までしてだ。
それくらいのサービスがあっても良いだろう。
なので、今も大学の講義が休講になった時間を利用して里中さんと大下さんを交えての会議中だ。
今日の議題は、とにかく打ち合わせがしにくいので、政府の出先機関を近くに作りたいというのだ。
政府側というより里中さんの方からの提案だったが、これには俺も大賛成なので、直ぐに榊さんを呼んで便宜を図ってもらう。
この件も幸いに、城南島開発の新会社用に確保してあるフロアスペースの一部を充てることで簡単に話が付いた。
事務所の家賃は俺たちが持つようにしてある。
もし万が一マスコミなどに嗅ぎつけられても政府の出先機関はここにはないといえるようにあらかじめ対策だけはしておくそうだ。
当然の措置だと思う。
俺も今では立派な納税者だが、その俺から見ても異常な関係を続けている。
それが、普通の納税者から見たら今の俺らと政府との関係はずぶずぶに見えるだろう。
週刊誌なんか格好の取材ネタだ。
無事に政府のお役人との会議も終え、コロンビア対策のことについての雑談になる。
里中さんもコロンビア政府による日本政府への圧力には来るものがあるらしく不満も相当たまっているようだが、経産省役人の大下さんとは認識に大きな違いがある。
この辺りについて酒でも入れようものなら簡単に口論になるくらい熱い会話が続く。
う~~む、セクト主義とは言わないが組織の壁は厚いのだろう。
むしろ俺の処でのお二人の共同作業は奇跡に近いとか。
まあ、担当の若い役人は二人共が学生時代からの友人同士だと言うし、その辺りについては民間の海賊興産でも見られるようで、会議に出席していた榊さんなんかも頷きながら両者の言い分を聞いていた。
いい勉強になると言わんばかりに、かおりさんは俺にこんな愚痴交じりの会話もしっかり聞いてほしいと言ってくるし、レポートにでもまとめて発表でもしてやろうかと思った位だ。
大人たちの愚痴の吐き出しも終わり、解散となったころに幸子さんの新たに通う高校に行っていた大村さん母娘が帰ってきた。
学校帰りの格好なので、聡子さんはきれいにドレスアップしており、また、幸子さんは学生服だ。
それも幸子さんは、都内ではお嬢様学校で有名は女子高の制服を着ている。
そのためか、二人とも清楚な雰囲気をたらりと漂わせている。
良くここまで無事に帰れたもんだと感心した。
今の二人がそのまま原宿など歩けば5分と掛からずに芸能関係者からのスカウトが寄ってきそうだというものだ。
そこに京子さんもテレビ局から収録を終え帰ってきた。
図らずも愛人の三人が集まった格好だ。
場所は俺のやり部屋の事務所だ。
しかも俺にはこの後の予定は……この際いいか。
そのまま部屋のカーテンを閉め、鍵をかけて始まった。
やりたい盛りの若い男が、それもやってもいいよと言ってくる美人、それも相当にドレスアップしているので、俺の息子は反乱するばかりの勢いで暴れまわろうとしていたのだ。
我慢なんかできそうにない。
「直人様。
私たち三人でお相手しましょうか」
「こういったのは初めてでうまくできるかわかりませんがお相手させていただきます」
「はずかしいよ~~。
でも直人様が望むのなら頑張ります」
結局、我慢しききれずに始まった。
久ぶりに着衣での行為だ。
しかも相手は三人の美女の4Pだ。
俺も頑張ったが、何故だか相手を務めてくれた三人も異様に張り切っていた。
危うく全部搾り取られるかという処でイレーヌさんが部屋に来てお開きになった。
俺にはまだ新会社設立についての仕事が残っているのだ。
イレーヌさんのご厚意により、2時間ばかりの時間を頂いただけだった。
俺は重い体を引きずりシャワーを浴びて、そのまま自分の机で仕事に掛かった。
直ぐ傍のベッドでは乱れた姿の美女たちが軽く寝息を立てて横になっている。
行為後の匂いこそ空気清浄機が頑張っているので、そこまで気にはならないくらいだが、直ぐ傍で見た目がその、あれなのに俺だけが仕事をしているのには何故だか納得がいかないが、いや、俺の横でしきりに書類をさばいているかおりさんやイレーヌさんもいる。
しかも、時折花村さんまでもが書類を沢山持ってやってくる。
うん、仕事している。
俺は遅れた分を取り返すように頑張って仕事をした。
やっと仕事を終え、みんなで夕食を食べたら解散となる。
俺も部屋に引き上げようかと思ったら、イレーヌさん達に拉致られた。
彼女たちも俺らの行為で性欲が高まったとのことだ。
今度はイレーヌさんやかおりさん、それに花村さんを交えての4P第二ラウンド。
俺って無事に明日を迎えられるのかな。
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