第38話 事務所の内覧会
「なんだか、ちょっとさみしいかな」
「どうしましたか、直人様」
「今回の移動は僕を入れても3人だけだよね。
機内が広すぎてちょっとさみしいかな」
「そうですね、日本への移動は今までだと一チームを連れていましたから、ほぼ定員一杯でしたわね。
今回の移動はスカスカですし、どうせ個室しか使わないので、もっと寂しく感じるかもしれませんね」
「どうしましたか、直人様」
「こんにちはゴードン機長」
俺に今話しかけてきたのはボルネオ王国空軍から直人マネジメントコーポレーションに出向してもらっているボルネオ空軍のゴードン少佐で、以前この機体が空軍に所属していた時からこの機の機長をしていた人だ。
一緒に出向してもらっているホーリー中尉とペアでパイロットをしてもらっている。
最近特に仲良くしてもらい、コクピットで色々と飛行技術などを教えてもらっている。
「いや、今回の移動は少人数でちょっと寂しく感じたかなと話していただけです」
「そんなものですかね。
あ、そうですね、日本へはいつも一杯でしたね。
しかし、スレイマンに向かう時にはだいたいこんな感じですよ」
「そうなんですか、そういえば私はあれ以来スレイマンには行ってないな。
スレイマンへの飛行は多いのですか」
「そうですね、週に2回は行く感じですかね。
聞いていませんか」
「あれ、僕のところからスレイマンには行く人いましたっけ」
「月に2回くらいはアリアかその代理が行っていたようですね。
ほとんどがエニス王子のところだと思いますよ」
「え。だからなんですか、知らなかったな。
あれ、そうするとほとんど毎日この機体は飛んでいるのですか」
「いや、中1日は空いているかな。
でも、空軍時代の時に比べるとはるかに飛ばしているかな」
ゴードン機長の話では今の間隔での飛行は全く問題にならないらしい。
それに、行き先もほとんど固定で、疲れ方も少ないので、むしろ嬉しいとも言っていた。
空軍時代では良くて月に2回あるか無いかの飛行間隔で、それ以外は地上勤務だったとか。
パイロットの
それでも商業ラインのパイロットと比べるとどうなんだろう。
やはりパイロットの増員は必須かな。
なにせ、ゴードン機長たちは出向の身だ。
まだ、返せとの話は出ていないが、いずれは空軍に返さないといけない。
そんなことを考えているとゴードン機長が話してきた。
「今日はどうしますか、直人様。
今日も離陸の見学をしますかね」
そうだ、機長と仲良くなったおかげで離着陸時にコクピットに入れてもらい、操作を教えてもらっているのだ。
巡航時にはほとんど操作らしいことが少なくなるので、俺はいつものように爛れた生活に入るのだ。
この機体を買った時に既にヤリ部屋として最後尾にベッドのある個室を作ってある。
この個室ではエンジンのそばにある関係でかなり大声で喘いでもコクピットまでは聞こえない。
尤も爛れた生活は機長たちにバレていそうなのだが、今のところ何も言われていないので、改めるつもりもない。
今日もいつものようにコクピットで操縦の見学をした後、巡航飛行に移ったら個室に入る。
個室では、既に準備を済ませた美女が2人も待っている。
かおりさんとイレーヌさんだ。
特に今までイレーヌさんには日本で頑張ってもらっていたので、慰労も兼ねて入念に……
とにかく途中休憩を入れて4時間たっぷりと逢瀬を楽しんだ。
飛行機が大島上空に差し掛かる頃には俺は着衣を整え、機長からの合図を待った。
副操縦士のホーリー中尉が個室の部屋の扉をノックした。
「直人様、大島上空に差し掛かりましたので、これから着陸に向け準備を始めます。
如何がなさいますか」
「毎回すみません。
今回も見学させてください」と言って俺は個室から出て行った。
個室の中にはイレーヌさんとアリアさんが着衣を整えて座っていたが、流石にベッドだけは乱れたあとのままだった。
いつも混雑する羽田だけに、今回も混雑していたので、この機体は木更津上空で旋回待機だ。
「ここはいつも混みますね。
スレイマンやボルネオだったら待たずにすぐに着陸に入れますが、ここだけはどうしても待たされます」
「スレイマンやボルネオでは僕らに配慮してくれているのでは。
流石に日本ではありえないでしょ」
「そんなものですかね。
まあ、着陸する機体の数も段違いに違いますしね、しょうがないのかも」
そんな話をゴードン機長としながら順番を待った。
それほど待たずに羽田に着陸できた。
羽田では自家用機駐機場に飛行機を移動して、そこで降りた。
入管手続きをするためにその施設のあるビルに入り入国したら、外ではネコさんチームが全員で待っていた。
なんで全員で来るかな。
タクシー1台では帰れないでしょ。
正直出迎えてくれて嬉しかったけど、どうするんだ。
今回は彼女たちが気をきかせジャンボタクシーを予約してくれていたので、全員がとはいかなかったが、ほとんどこれに乗り込んで、乗れなかったのが普通タクシーで羽根木に向かった。
午後1時過ぎに羽根木インペリアルヒルズに到着。
そのまま事務棟の38階にある事務所に向かった。
東南の角のスペースを3ブロックも取り、かなり豪勢な事務所となっている。
入口にはランの鉢植えがいくつか飾られており、送り主に名前があった。
里中さんが、なんだか知らない会社名で送ってくれている。
あの人はまともな役人じゃないな。
いわゆる諜報関係者なのだろう。
『バニーガールず』から談合坂32の名前と吉井会長の二つが届いている。
他には海賊興産本社社長名と関係の会社からいくつか届いていた。
受付のところに目立つようにスレイマン王国の国旗と叙爵された時にもらった証書のコピーが額に飾られている。
同様にボルネオ王国の国旗と叙勲の時にもらった証書のコピーも同様に飾られている。
それらがあまりにも立派に飾られているので、目立たないがきちんと財務省から投資を仕事とすることを許された免状が飾ってあった。その横に申し訳ない程度に日の丸も飾ってある。
俺は、俺って日本人のはずなのにと思ったが何も言わない。
入口で固まっていると、直人の後ろからインペリアルヒルズ内にある店からケータリングサービスを運んできた人が入ってきた。
すかさず葵が運んできた人をなかに案内していた。
その様子を見ていたエマが直人に中に入るように勧めてくる。
「直人様、入口で驚いていてはこの後持ちませんよ」
どんだけ豪華に作ればいいんだ。
「ちょっと派手すぎませんか、この事務所」
「どこもこんなものですよ。
特に外資系の金融事務所なんて、ステータスを維持しないといけない関係でかなり工夫して作られていますよ。
ここインペリアルヒルズはそういった意識の高い会社が多いですから」
「確かにネットでもおしゃれスポットとして紹介されていたし、この中に入っている会社の人気も高かったしね。
尤もうちは他所から人はいれないけどね」
「直人様、くだらないこと言ってないで、食事をしましょ。
せっかく届いたばかりなんですから」と言って、俺の手を取り、中のかなり豪華な多目的室に通された。
ここは彼女たちの休憩や全体会議などに利用できるよう設計されている多目的室だ。
広々取ってある窓からは眼下に広がる東京の景色が一望できるオシャレな空間となっている。
一体彼女たちはここで何をしたのだろうかと考えてしまうくらい趣のある部屋となっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます