第36話 新たな拠点と体制


 奴隷である彼女たちは、現在経済戦争の真っ只中。

 アリアさんの指示のもと全員が一丸となってその対応に当たっている。

 食事中に聞いた話だと、忙しさのピークは過ぎ、現在はルーチン作業の繰り返しだと言っていた。

 それでも作業量の多さから忙しいのには変わらないのだが、もうじき、少なくとも高麗民国の方は音を上げると言っており、そこまで来ると、ほとんど仕事は終わるとも聞いた。


 その説明を聞いたあとにネットでニュースを確認すると、どの国のアナリストも先行きが見えないと、各国の市場は下げ止まる気配すら見せていなかった。

 本当に落ち着くのだろうか少々不安になるが仕掛けた側なので、アリアさんの言葉を信じよう。

 それにしても世界中を巻き込んで大事になったな。

 大丈夫かとも思っているが、とりあえず今月だけはここで大人しくしている。


 その後は、3時間かけて、交代してきた彼女たちの要望に応え、優しくお相手をした。

 昼食をはさんで、復活した彼女たちを連れて、かおりさんと日常になっているパイロット訓練に参加した。


 ここに来て、やっと自家用単発機の免許は取得でき、現在飛行時間を稼いで事業用単発の免許の取得中だ。

 自家用ジェットまでの道はまだ遠そうだ。


 しかし、一応自家用の免許取得しているので、彼女たちに飛行機に乗るかと聞いたところ全員が二つ返事で希望してきたので、教官を助手席に乗せた状態で、少し大きめの単発機を借りて飛行訓練をすることになった。

 かおりさんは当たり前のように同乗してくれた。


 午後空軍の基地からボルネオの首都上空を通って付近の海の上を2時間ばかり飛行してのフライトプランだ。

 途中王室プライベートビーチの上空を飛んだ時に、ビーチではあちこちに分かれて彼女たちのお仲間は撮影の仕事をしているのが飛行機の中からでもわかった。

 

 「明日は、私たちもあそこでお仕事なんですよ」

 なんて中田友香が教えてくれた。

 「新曲の発表を前に写真集や、ジャケットの撮影でここに来ていることになっていますからね」

 

 なんて、ぼちぼち仕事のことなども教えてくれるようになってきた。

 なんとなくエッチな行為だけじゃなく、仲良くなれた気がした、会話を続けながらの飛行訓練だ。

天気もよく快適な飛行を楽しんだ2時間だった。


 乗っていた彼女たちは非常に喜んでくれたので、奉仕してくれたことへのお返しにはなったかな。

 いや、処女をありがたく頂いているのでこんなことでは足りそうにない。


 夕方には一旦彼女たちとは別れ、殿下たちとの会食だ。

 ここでも大明共和国との外交戦争についてが話題だ。

 

 世界経済はアリアさんの予測通りに停滞期に入った。

 これは、アリアさんの説明ではこちら側が仕掛けたのが発端だが、真の原因ではないとのことだ。 

 遅かれ早かれ、大明共和国のバブルは弾けていたので、今回の経済の停滞はそれが原因で、大明共和国の収支改善がなされない限り、少なくとも大明共和国の経済は改善しない。

 しかし他国は、特に日本やヨーロッパ、それにコロンビアなどは大明共和国の落ち込みを織り込めればすぐにでも底を打つことが見えるので、それに先駆け、さらなる手を打つとも言っている。

 殿下たちはその準備で、今も忙しそうだ。


 夕食後に俺はかおりさんに連れられ、昨日と同じ王宮のある部屋までやってきた。


 今日はかおりさんと2人でステージを堪能することらしい。


 部屋の明かりが消えるとステージがまぶしい位に明るくなり、彼女たちの代表曲を歌いながら出てきた。

 その時の格好がたまげた。


 全員が下着姿なのだ。

 その下着もその場で脱ぎながらのステージだった。


 その後全裸で3曲歌い、今日のステージを終えた。

 彼女たちは、今日はそのまま楽屋に戻ったかと思ったら、着替え終わった5人が直人の前に出てきた。


 「この後は私たちが当番です。

 初めてなので、どこまで直人様を喜ばせることができるかわかりませんがよろしくお願いします。

 あ、私はこの5人のリーダーを努めます星野菜々香です。

 あの~、処女です。

 今夜はよろしくお願いします」と言って、かおりさんに付いて西館に戻っていった。


 その後は昨日のリプレイを見ているかのように彼女たち5人を相手に頑張った。


 こんな生活を1週間続け、彼女たちのここでの仕事を終えたようで、帰国することになった。


 俺は結局全員と関係を持ってしまった。

 そこで知ったのだが、驚いたことに彼女たち30人いる内、経験者はなんと2人だけで後は全員が処女だった。

 その処女も、俺が美味しく頂いた格好になっている。

 また、経験者の2人もデビュー前に1~2回の経験しかなかったようで、快楽を覚えたのは俺によってだけだった。


 振り返ってみると、今回俺によって30人全員が女性としての快感を知ってしまった。

 彼女たち全員がはっきり言って俺の虜となってしまったようだ。


 これには流石にバニーガールずの吉井会長も頭を抱えたが、陛下からの要請もあり、俺たちに対しても今後は枕営業をしていくそうだ。


 また、会長の許可を得て、彼女たち全員と連絡先の交換を行った。

 彼女たちの個人アドレスと、俺側のアドレスの交換だ。

 尤もこの俺側のアドレスはかおりさんのものだ。

 これはかおりさんと俺が連絡が付く環境であり、また、もし万が一彼女たちの携帯から情報の流出があっても文新などのゴシップ週刊誌に暴かれるようなリスクもない。

 それに何より、彼女たちの危険を避ける配慮からだ。

 なにせ今回も大明共和国相手に彼らの意図を挫いてきたのだ。


 いつ何時俺に近い人達に対して彼らが牙を向かないとも限らない。


 そんな彼女たちとも空港で王室関係者とともに見送った。

 彼女たち全員が俺と離れたくないと泣いていたが、かおりさんが4月からは俺が東京で学生生活をすることを教えたら渋々ながら泣き止んで飛行機に乗っていった。


 やれやれという感じとやってしまったかという後悔の念が入り混じりながら、今度は日本からやってくるイレーヌさんを待った。


 イレーヌさんが日本での生活について動きがあったので、緊急でボルネオまで出張してくることになった。


 空港でイレーヌさんを出迎えた直人は、開口一番にイレーヌさんから満面の笑みを浮かべての報告をその場で受けた。


 「直人様、見つけました。

 直人様の新たな住居を決めてきました」


 「お疲れ様、イレーヌさん。

 詳しい報告は後で聞きますから、まずは一度落ち着きましょう」


 イレーヌさんには珍しく慌てていた。

 それだけになかなか決まらなかった日本での住居が決まったことがよほど嬉しかったのだろう。

 大体ハードルが高すぎたのだ。

 下げればすぐにでも解決したのにとは思っていても俺は絶対に口にしない。


 俺のためだけに頑張ってきたイレーヌさんを思いやって、とりあえず、イレーヌさんを連れて西館に戻っていった。

 

 イレーヌさんと日本で残っていたリスさんチームと一緒に西館のラウンジで、ここにいる全員を集めて報告を聞いた。


 「直人様、喜んでください。

 来月からの新居ですが羽根木インペリアルヒルズのペントハウスで決まりました」


 「え?ペントハウス。

 あそこは最初に断られたところじゃなかったっけ」


 「はい、あそこはかなり早い時期に大明共和国の国策会社の日本法人社長を務めている人が抑えておりましたが、ここ最近の不景気で日本法人共々撤退となり、キャンセルされたところで大木戸様よりご紹介を頂いて、すぐに契約を済ませました」


 「それはすごい幸運だったね。

 僕も通学が楽になるから本当に助かるよ。

 ありがとう、イレーヌさん」


 「それと、こちらはアリアの仕事に関わることなのですが、予てから相談しておりました日本での拠点事務所に日本法人を立ち上げました。

 『直人マネジメントコーポレーション』の100%子会社として『NCファンドコーポレーション』を立ち上げ、私が現地代表を努めます。

 日本政府より4月1日付けで、大蔵省の認可も降りておりますから、合法的に色々と日本での投資活動ができるようになります。

 それに合わせて事務所も完成しており、事務所開きを4月3日に予定しております。

 ささやかながら日本での友人を集めてパーティーを開きますのでぜひ参加してください」


 「日本人の友人って何?」


 「海賊興産の方と、それに外務省の里中様、それにお仲間の方くらいです。

 ここからは親会社の社長であるアリアと直人様の秘書であるかおりは当然ですが、エニス王子とハリー殿下には招待状だけは出しておきます」


 その話は既にアリアさんやかおりさんには相談済だったらしく、

「エニス王子は出席されます。

 ハリー殿下の方は正直微妙ですね。

 本人は参加したいようですが、状況がまだ見えないので、一応、インペリアルホテルのスウィートルームは抑えましたが、我々は全員が参加する方向で調整中です」


 「かおりの言うとおりです。

 しかし、私はゆっくりはできませんので、翌日の朝、2チームを連れて帰ります。

 ハリー殿下には専用機をお借りしましたので、全員を一時に運べますので、ギリギリまでハリー殿下の参加を待つ方向で準備をお願いします」


 「当日は午後からホテルのスカイレストランを抑えておりますので、招待客を事務所で出迎え、事務所開きをしたあとスカイレストランにて宴会の予定です。

 ですので、直人様たちは遅くとも3日の午前中には日本にいらしてください」


 完全に日本での拠点の整備が終わり、準備万端といった形だ。

 俺は来月からの新生活に期待を膨らませていた。


 こうなると、どうしても移動手段の弱さに不安が残っているが、俺はできるだけ早い段階でのパイロットの手当てをしようと心に誓った。 

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