第10話 スレイマン王国の常識ってなんなんだ

 すぐそばのベッドの上には、今まで俺の相手を務めてくれた3人の女性が自身の身繕いをしていた。

 俺が見とれていると、かおりさんが「直人様、あまり見つめられますと私たちでも少々恥ずかしさを覚えます」と言って顔を赤らめた。


「ごめんなさい。

 あまりにお綺麗だったものだから見とれてしまって。

 でもデリカシーにかける行為でしたよね。

 できる限り気をつけるよ。

 あの~~~、またやってもらえますよね」


「私たち奴隷全員は直人様の希望があれば拒みませんよ。

 でも、できましたら私たちも気持ちよくなるように無体なことはお控え下さればとは思います」


「酷いことは絶対にしないよ。

 それにもし嫌なら俺絶対にしないことを約束する。

 だから」


「大丈夫ですよ。

 直人様には誠意一杯お仕えします。

 ですからエニス王子のお力になってください。

 エニス王子も直人様とご友人になられたことを非常に喜んでおります」


「わかっているよ。

 エニス王子が命を狙われているくらい。

 俺に何ができるかわからないけど、乗りかかった船だし、何より俺の数少ない友達でもあるしね。

 俺の出来る限りのことはするよ。

 だからみんなには俺の知らないことを教えてください。

 かおりさんは日本人なのだから、一般庶民でもある俺の常識のレベルも知っているでしょう。

 ただでさえ孤児である俺には殿下たちのような上流階級には縁のない生活をしていたのだから、正直何もわからない。

 そこのところを助けてください」


 俺が言ったセリフをかおりさんはアリアやイレーヌに分かるようにスレイマン王国の公用語であるアラビア語で訳して伝えていた。

 それを聞いた2人は嬉しそうな顔をしながら俺に抱きついてキスをしてきた。

 本当にこの人達にとってエニス王子は大切な人なのだろう。


 俺には、とにかくまだ時間はある。

 とにかく新たな生活を安定させるのが先決だ。

 とにかく彼女たちの協力なければ俺には何もできないので、俺は彼女たちに向かって「とにかく明日からもよろしくお願いします」と言ってベッドに横になった。

 彼女たちも今日は一緒に添い寝をしてくれるようだ。

 寝ながらいわゆるピロートークっていうやつかアリアさんが俺に言ってきた。


「直人様へのお礼の品を喜んでもらえて良かった」と言ってきた。

 もしかしてあのパリの空港で聞かれたわけのわからない話は女性たちのことだったのかと思い当たった。


「アリアさん。

 お手付きのって、もしかしてアリアさんたちのことですか」

「はいそうですよ」


「アリアさんやイレーヌさんはエニス王子とは長かったのですか」


「はい、私たちは王子にとって最初の奴隷となっております。

 王子が15歳の時に王弟殿下よりエニス王子の元に宛てがわれました」


「宛てがわれた?

 どういう意味ですか」と俺が聞いてみたらかおりさんが日本語で丁寧に教えてくれた。

 彼女たち2人はいわゆる『宛てがい女』と言われる部類の人で、王族や貴族など子孫を残すことに重要な使命のある人たちの間でヨーロッパでも古くからある習慣なのだそうだ。

 王族などの男児に女性の扱い方を教えるために宛てがわれた女性からその名が付いたようで、『宛てがい女』たちは、口が堅く経験がある女性が選ばれると説明された。

 一般的には一族の未亡人などが選ばれていたようではあるが、スレイマン王国では独特な風習があった。

 この宛がい女の欠点は、童貞から優しく女性を教えてもらうために、どうしても男たちは教わった女性に執着心が湧きやすい。

 本来の目的は高貴な姫と結婚しても滞りなく結婚生活を送らせるためにあるのだが、宛がい女に執着を持つ男児が少なからず発生してしまうと、本来の目的の結婚生活が宛がい女のために破綻しかねない。

 それを防ぐためにスレイマン王国では宛がい女には複数(殆どの場合に経験者が1名と処女の女性が1名の2名で当たる)で筆下ろしを行い、ひとりに執着心がわかないようにしており、また、十分に経験が積めたのなら、宛がい女は他に出さなければならない風習がある。

 アリアとイレーヌはその宛がい女だったために王子の下から出ていかなければならなかったのだそうだ。


 俺がこれからエニス王子の協力者となってくれるのなら、2人の移籍先としては申し分ないところになるらしい。


 なので、今回の奴隷の件は国王やエニスにとっては非常にありがたいことだとも聞いた。


 俺にとっては馴染みのない話で、いまいち割り切れない部分もあるが、もっと大事なことにも気が付いてしまった。


 『俺とエニスとは穴兄弟になってしまった』ということだ。

 そこに気がついたら無性に恥ずかしくなって話を変えた。

 後からかおりさんたちと一緒に来た女性のことに話を振った。


「あの人たち全員。

 みんなすごい美人だし俺としても申し分ないよ。

 でも全員が俺の相手をしてくれるかな」


「大丈夫ですよ、ご主人様。

 でも、ひとつだけお知らせしないといけないことがありますので聞いてください。

 私の他3人は確かに前のご主人様であった故王弟殿下のお情けを頂きましたが、残りの6人はまだなのです。

 日本で普通に言われているところの処女です」


「その人たちが以前アリアさんが言っていた処女なのですね」

 するとアリアさんがすぐに否定をしてきた。

 その後かおりさんがわかりやすく説明をしてくれた。


 彼女の説明によると、今回集まった10人全員はスレイマン王国の基準では処女に当たらないとのことだった。

 詳しく説明を聞くと、故王弟殿下の奴隷として買われ、王弟殿下の湯殿でのお世話や複数で寝室でのお世話にも参加しているので、処女の扱いにはならないとか。

 そもそもからして、かおりさんでも数回しか王弟殿下に相手をされなかったとか。

 王弟殿下のお年もあるだろうし、何より長くお使いしている愛妾たちも数多く居たために相手をされなかったとか。

 アリアさんが言っていた処女については、現在国王陛下の方で準備しているそうで準備が整いしだいこちらに来るとも聞いた。


「ちょっと待ってください。

 だって10人と言ってたよね。

 常識的な数字とも。

 尤も女性が10人で、どこが常識かとは言いたいが、男としてはかなり嬉しいので構わないが、でも、この他に処女が10人って」


「ですから10人ずつですね。

 あの時回答頂いたとおりですよ」


 経験者が10人と処女が10人というわけか。

 これって大丈夫なのか。


「エニス殿下には直人様に譲渡される前までは40人の女性がおられました。

 今回の件で10名が移りましたので、まだ30名はおりますよ。

 直人様はそれよりも少ないのですから十分に常識的かと」


 イレーヌさんまでもがとんでもない事を言ってきた。


 最後にかおりさんが俺にお願いしてきた。

「ですから、私たちで十分に女性の扱いを覚えてもらい、出来ましたら残りの6人には優しくしてあげてください。

 彼女たちは既に幾度もそういった場面は見ておりますので、処女といっても十分に経験者とも言えます。

 彼女たちで処女の扱いを覚えられれば後からくる正真正銘の処女の子たちには自信を持って当たれるでしょう。

 直人様にはすべての女性たちには優しくしてあげて欲しいですから、お願いします」


「お、俺にできることならとにかく優しくするよ。

 俺のいたらないところがあれば、遠慮なく教えて欲しい」

 俺の答えに3人が嬉しそうに頷いていた。


 その後は4人で抱き合って寝てしまった。


 翌朝、俺は起きているのに夢心地の中にいた。

 男なら誰でも一度は憧れるような状況…

 自分よりも早く起き出す自分の息子を口の中のような暖かな感覚が俺の脳を刺激する。

 また俺の両脇からとても柔らかく心地よい感触があり、耳元でとても優しい声で起こされるのだ。

「直人様、朝です。

 起きてください」


 ぴちゃぴちゃ…モグモグ…


「ご主人様。

 おはようございます」


 うっ…で、出る~~。

 ドバ~~。

 ウググ…ごくん。


 俺のを飲んでもらったような。

 本当にここは天国かな。

 も、もしかして俺はあの時に死んでいたのかもしれない………


「直人様、そろそろ起きませんとエニス王子や殿下との会食に間に合わなくなりますよ。

 私たちがこれからお風呂にご案内しますから、こちら来てください」


 俺はかおりさんとアリアさんに両腕を掴まれて風呂場まで連れて行かれた。

 浴室に入ると、ここでも俺の期待を裏切らない。


 なんと広い浴室の洗い場中央にこれも柔らかそうなマットが置いてあり、その傍らでイレーヌさんが待機していた。


 直ぐに俺はそのマットに寝かされ、女性陣3人はイレーヌさんが用意していたヌルヌルの液体を自身の体に塗たぐり、その体を俺にこすりつけてくる。

 俺はただマットに寝かされた状態で両脇と体の上にまで乗り上げて体を上下左右にこすりつけてくる。

 直ぐに俺の息子は全開になると、もう誰のだかわからないのだが3人の誰かの蜜壷に俺の息子を導かれて行かれた。

 数回に上下する刺激を与えられると一回出していたはずなのだが、非常に気持ちよく、やりたいさかりで元気が有り余っている現役高校生の息子はまた自身の物を吐き出した。

 一体昨日から何回出しているのか分からないのだが、俺は本能の赴くままに遠慮なく吐き出している。

 この快感が落ち着いてから3人に丁寧に体を綺麗に流してもらい準備を整えた。

 カジュアルな洋服だが、かなりセンスの良いものを着せられた。

 この服は俺の物じゃない。

 いつ準備されたのかわからないのだが、サイズもぴったりでスタイリストにでもコーディネートされたようなものだった。

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