第4話
「ちょっとトイレ行ってくる」
と言って岡田が席を立ったのは、始まってまだ十数分の頃だった。
私のビールのグラスなんて、まだ半分も
とはいえ、部屋全体を見回してみると、飲むのが早い連中は既に追加注文をしていた。二杯目のビールでなく、日本酒とかサワーとかを頼む者も出てきている。
私たちと同じテーブルの反対端にも、かなり騒がしい一団があった。女の子同士で固まっている集団だ。男子が近寄ろうとしないのは、何か女性特有の話題で盛り上がっているのだろうか。
もしもこれが、いわゆる合コンの
少しアルコールの入った頭で、そんなことを考えていると、岡田が戻ってきた。
「ちょうどトイレの出口で、小島さんと会ってさ。ちょっと話してきたんだけど……」
小島さんは同学年の女子の一人で、誰にでも親しげに話しかけるタイプだ。おそらく彼女みたいな人こそが「コミュニケーション能力が高い」と称される典型なのだろう。
そんな小島さんなので、廊下ですれ違えば立ち話くらいするのは当然のはず。それなのに今の岡田は、何やら怪訝そうな表情を浮かべている。
「小島さん……? 小島さんが、どうかしたのか?」
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