第18話 フィナーレ

秋生と鵜飼は、久しぶりに二人で居酒屋に集まった。新潟でのライブ以来、二人の交流はさらに深まり、秋生は鵜飼と会うたびに前向きな気持ちを取り戻していった。今日は、秋生が新しいボランティア活動を始めたことを祝うために、二人でささやかに飲もうという話になっていた。

居酒屋に入ると、鵜飼はいつものようにアイドルの話で盛り上がり始めた。

「最近な、また新しい推しができてさ、もう最高なんだよ。ライブで見た瞬間に惚れちゃったよ。田中も一緒に行こうぜ、次のイベント!絶対楽しいからさ!」

秋生は鵜飼の話に笑いながら頷いた。

「相変わらずだな、航。お前の情熱には本当に感心するよ。俺ももう少し何かに熱中できるようになりたいもんだ。」

鵜飼はニヤリと笑い、

「まあ、無理に見つける必要はないさ。自分が楽しめることをやってりゃ、それで十分だろ?」

と返す。秋生はビールを一口飲み、少し照れくさそうに視線を下げながら、ふと真面目な話を持ち出した。

「実はさ…最近、少し婚活を始めようかと思ってるんだ。」

鵜飼は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに大きな笑顔を浮かべて、

「おいおい、それは大ニュースじゃないか!田中、ついに本気出すのか?なんでまた突然?」

秋生は苦笑しながら、

「いや、もう俺もいい歳だしさ。これまでの人生、仕事や投資にばかり集中してきたけど、やっぱり誰かと一緒に生きていくのも悪くないかなって思ったんだ。まあ、少しずつ始めてみようと思ってるんだけど、正直なところ、どうやって進めればいいか全然分かってなくてな。」

鵜飼は秋生の肩を叩き、

「お前が本気出せば、すぐに素敵な相手が見つかるさ。田中はちゃんとした男だし、安心して頼れる存在だからな。俺も応援してるよ。でも、婚活もいいけど、たまには俺とアイドルのイベントにも付き合えよな?」

と、軽くからかうように言った。

秋生は顔を赤くしながらも笑って、

「もちろんだよ。お前のおかげで、俺も少しずつ前向きになれたんだから、感謝してるんだ。これからも変わらず、頼むよ。」

と答えた。

二人はその後も楽しく会話を続け、いつものように笑い合った。鵜飼はこれまで通りの情熱を持ち続け、秋生は新たな目標を胸に、少しずつ新しい人生のステップを踏み出していくことを決意していた。酒の勢いも手伝って、二人の会話はいつまでも尽きることなく続いていった。


終わり

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平穏と嵐 @jiro-ro

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