第4話 堅実な投資
工場での一日を終えた秋生は、自転車に乗って帰路につく。夕焼けが空を染める中、いつもの道を通り、やがて自分の住むアパートにたどり着く。玄関のドアを開けると、彼を迎えるのは静かな部屋の空気。秋生は靴を脱ぎ、作業着から普段着に着替えると、少しの疲労を感じながらも、次にすべきことを考える。
まずは台所へ向かい、冷蔵庫を開けて今夜の夕食の材料を確認する。冷蔵庫には、彼が週末にまとめて買っておいた野菜や肉が整然と並んでいる。今日はシンプルに、鶏肉の照り焼きと野菜炒めを作ることに決めた。フライパンに油をひき、鶏肉を焼き始める。肉の焼ける香ばしい匂いが部屋に広がり、秋生は一日の疲れが少しずつ癒されていくのを感じる。
夕食が出来上がると、テーブルに一人分の食事を並べ、静かに食べ始める。工場での作業とは違い、料理は自分のペースで進められるため、秋生にとってはリラックスできる時間だ。食事を終え、皿を片付けると、彼はリビングのソファに腰を下ろす。
かつて、秋生は食後に貯金通帳を見るのが習慣だった。毎月少しずつ増えていく残高を見るのが、彼にとってのささやかな楽しみであり、安心感を与えてくれるものだった。そして、最近は通帳を見ることに加え、彼は別の興味を見つけたのだ。
携帯電話を手に取り、秋生はYouTubeを開く。ここ数ヶ月、彼はインデックス投資についての動画をよく見るようになった。ある時、何気なく見た動画がきっかけで、投資の世界に興味を持つようになったのだ。特に、堅実な生活を送りながら、将来のために少しずつ資産を増やす方法として、インデックス投資が自分に合っていると感じた。
今夜も、彼はお気に入りの投資チャンネルを開き、新しい動画をチェックする。若い投資家がインデックス投資のメリットを解説しており、その穏やかな口調が秋生の心を落ち着かせる。動画を見ながら、彼は携帯電話で証券会社のアプリを開き、少しずつインデックスファンドに投資を続けている。毎月の給料の一部を少しずつ貯蓄も投資もやり、将来の自分への備えとして資産を形成していくことに充実感を覚えるようになった。
「コツコツと積み重ねることが大事だな」
と、秋生は自分に言い聞かせるように思う。工場での仕事と同じように、投資もまた、地道に続けていくことが結果につながると信じている。画面越しに流れる投資の話を聞きながら、彼は少しずつ自分の未来に向けて準備を進めている実感を得る。
夜も更け、動画を見終えた秋生は、携帯電話をテーブルに置き、明日のために早めに床につく。静かな夜の中で、彼は新たに見つけた趣味が自分の生活に少しずつ変化をもたらしていることを感じながら、ゆっくりと目を閉じる。確実に、しかし少しずつ、彼の人生は前に進んでいるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます