第8話 追試を頑張ろう。料理をしよう。その2

 ある日の放課後。

 一緒に帰る帰路にて。

 「またよん、今日も暑いね」

 「そうだな」

 しだいに話題がなくなってきた。

 これではまずい。

 

 「あのさ追試の勉強手伝ってやろうか?」

 「いいの!?」

 「おうよ、図書館で勉強して二人で一緒に弁当を食べよう。弁当は俺が用意する」

 「えぇ~またよん料理できるのぉ~」

 「バカにするな、これでも最近料理にはまっているんだ」

 「ふぅん。そっか、じゃあ明日の土曜日に行こ!」

 「いいぜ、楽しみしてろよ。あと勉強の途中で寝るなよ」

 「ね、寝ないよ」

 「絶対だな?」

 「寝ないってば!」

 そうやってからかいあう。

 今日は約束と取り付けただけなので青春経験値は増えなかった。

 

 翌日。

 俺はあいつのお気に入りのキャラのキャラ弁を作る。

 ついでに自分用の参考書と筆記用具をもって図書館に向かう。

 

 自転車をこいで図書館に向かうとそこには天使がいた。

 いや白いワンピースの舞がいた。

 天子かと思ったわ。

 眩し!

 俺を見つけた後にぱぁとわらって手を振る。

 なんだか幼馴染なのに照れるな。

 そそくさと図書館で小声でささやきあいながら真面目に勉強する。

 近くで勉強する舞のコッペパンのような二の腕がちょいちょい当たる。

 吐息すら感じそうな距離。

 綺麗な脚だし、傷一つない。

 真剣に参考書を見る瞳は大きくて、綺麗で。

 俺は真面目に勉強しながらも幼馴染の存在が俺の心の中で大きくなっているのを感じた。

 勉強を終えて、図書室の中の飲食を許された休憩室のような空間にて俺たちは弁当を食べる。

 「ほらよ」

 「ありがとう……漫画みたいに気を遣うとかできないから正直な感想を言うかも」

 「別にそれでいいよ、変に気を使われてもシャクだしな」

 「そっか、じゃあ……いただきます」

 そういってふたを開ける舞。

 舞の顔は弁当を見たとたん花が咲いたようだった。

 「これ、これ!」

 「おう、好きだろそのキャラクター」

 「うん!だいすき!」

 その言葉が俺に対する告白のようだった。

 「食べちゃうのもったいないなぁ、でも食べちゃう」

 そういってもぐもぐと食べてうまいかと聞いて首を縦に激しく振る舞。

 水筒を渡し、俺は微笑ましく思いながら弁当を食べる。


―――――青春経験値が10増加しました。


 そうして二人の時は過ぎていく。

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