第4話 あいつとの帰り道 きっかけ
それにしても好感度99か。
100じゃないと体重が分からないというのがなんとももどかしい。
俺は早めに部活を終わらせてしばらくジュースでも飲みながらのんびりする。
そしてあいつが女子と別れて一人とぼとぼ歩いているところ。
俺は舞の首元にオレンジジュースの缶を当てる。
キンキンに冷えたそれを当てられた舞は変な声をあげた。
「わひゃあ!?なにまたよん!?な、なんなのさ!」
「いや、これやるよ」
「あ、ありがとう」
「一緒に帰るか?久しぶりに」
「あ…………えと」
「いやならいいんだ、別に無理にとは言わない」
「そんなことないっす!一緒に帰りたいっす!」
変な敬語に俺は失笑しながら、ゆっくりと俺は舞に歩幅を合わせる。
「どうしたのさ、急にまたよん」
「いや飯縄……舞が追試で困っているんじゃないかと思って励ましてやろうかと」
「そうなのよ!聞いてよまたよん!」
「おう!?」
オレンジジュースを一気に飲み干してそれを近くのごみ箱に投げ入れて見事にストライクさせた彼女は俺にぐいぐいっと下から覗き込むように顔を近づける。
桜色の唇がきゅっと一文字にむすばれて俺はたじろぐ。
顎のラインも綺麗でまつ毛は長く、頬は夕方だからかほんのりと赤い。
「数学の松下先生ったらひどいんだよ!解き方が分からないならせめてこのプリントの答え丸暗記しろっていって100枚暗記させられてんだよ!100枚!」
「おう、それは大変だったな」
「英語の杉山先生だってさ、おすすめの参考書とか聞いたらニコニコ笑顔で教えてくれて次からは参考書があるから頑張れるよなとかプレッシャーかけてきてさー」
「理科と社会は?」
「なぜ、理科と社会も補修があることをお主は知っておるのだ!?」
「いやなんとなく」
「そこはかとなくバカにしてない?」
「正直、ちょっとバカにしてる」
「むっかー!」
顔文字に出てきそうな顔で怒りをあらわにする彼女の愚痴を聞き流すこと数十分。
スッキリした顔で家の前に着いた舞は俺のことを振り返る。
「じゃあ、またね、またよん」
「また明日、元気出せ」
「うん明日もお互いに部活だね」
「まぁたまには休んで一緒に遊ぶか?」
「うん、そのうち……ね」
アンニュイな笑顔でごまかす彼女の微笑みはどこか怪しげで心臓がドキリとする。
—————青春経験値が1増加しました。
頭の中で声が響く。
そして一日が終わる。
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