第4話 襲来
それは黒いフードを被り、顔を隠しながらこちらに近づいて来た。
「離れろ。王子。」
「わかった。」
王子を安全な場所に避難させる。
「お前は誰だ!!」
そうリリアが質問しても返答はなかった。少しの間沈黙が流れた後、突然魔法弾を放って来た。防御魔法でそれを守るとフードの人が話してきた。
「女、そこを退け。我々の目的は王子の抹殺だけだ。引けば見逃す。」
声は男のようだった。
「そうかい。じゃあなおさらここを引く訳に行かないな。」
王子のことは嫌いだが、目の前の存在の方が遥かに危険だとリリアは感じた。
リリアも負けじと魔法弾を放つが全て防がれた。
フードの人が
その魔法に当たるとかなりの距離吹き飛ばされ、壁に体をぶつけてしまった。
「痛っ」
リリアが立ち上がろうとすると体が動かなかった。
「どうだ。体が麻痺して動かないだろう?」
状態異常は魔法を使えば治せるが、今のリリアには使えなかった。
「さて、王子を殺すとするか。」
フードの人は王子に向かっていった。
「待て……よ。」
リリアは渾身の力を使い、立ち上がる。
「見上げた精神力だな。だが、もう楽にしてやる。」
リリアは構える。
(どうするか。)
そう考えていると王子の声が響く。
「リリアさん!!どうしちゃったんですか?あなた戦い方が変ですよ。」
その声で男は思い出した。
小説でもゲームでもこのキャラは物量で相手を圧倒するようなキャラだった。実際、小説ではその物量でアカネを一度ボコボコにしていた。
「ふふっ。ハハッ。」
こんな大事なことを忘れていた自分に思わず笑ってしまった。
「何がおかしい?」
フードの人がキレ気味に聞く。
「いや?自分の迷走っぷりに呆れていただけさ。」
「そうか、死ね。」
そう言ってまた、
「何っ!?」
フードの人は完全に混乱していた。その隙に魔法弾を放つ。しかし、それは完全に防がれた。
「それはもうみた。」
「どうかな?」
間断なく放たれる魔法弾にフードの防御も追いつかなくなる。
「馬鹿なっ。あり得ん。」
「悪いけど私に敵対する人間は容赦なく叩きのめすから。」
その後魔法弾が直撃し、爆発が起こる。
煙が消えると気絶したフードの人がいた。
リリアは疲れて座り込んだ。
「リリアさん!大丈夫ですか。」
王子が近づいて来た。
「私は大丈夫。それよりもこいつを拘束してくれ。」
「大丈夫ですか。」
教師がきて、フードの人が拘束された。リリアはその後、保健室で治療してもらい完全に治った。
フードの人は男で名前はわからなかった。
とりあえず一件落着したので保健室で休んでいると王子がまた来た。
「お疲れ。リリアさん。」
「ありがとう。」
「ところで一つ聞きたいのだけど。」
王子が真剣な表情で話す。
「君本当にリリアさん?」
「え?」
「君とさっきの男との戦い、途中まで君の戦い方は変だった。何よりもさっき君は言葉使いが令嬢のそれではなかった。」
「あっ。」
そんなことリリアは完全に忘れていた。
「教えてくれ。君は誰だ。」
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