第3話 決意
大聖堂から出るとリリアはアカネに声をかける。
「大丈夫か。」
「はい。リリアさんが守ってくれたので大丈夫でした。」
リリアは心の底から安心した。それと同時にアカネが心配になった。
アカネのことは良く知っていたが、こうやって虐めを体験すると想像以上に辛かった。こんな生活リリアには到底耐えられない。そこである決意をした。
「ねえ。アカネ。どうか、私にあなたを守らせて欲しいの。あなたのことが心配で仕方ないんだ。だから…」
そう言うとアカネはクスッと笑ってくれた。
「ありがとうございます。リリアさんは本当にお優しい方ですね。平民の身で一人ぼっちの私のことを気にかけてくれて凄く嬉しいです。」
リリアはアカネが自分を頼ってくれたことが凄く嬉しかった。
「何か困ったことがあったら教えて欲しい。私があなたを助けるから。」
「はい。では行きましょう。学生寮へ。」
「ええ。……え?」
学生寮。そこはミディエ魔法学校の学生の住む場所である。それすなわち、純度100%の女子の楽園である。が、リリアの前世の男は女性との交流経験が乏しい為、学校内からずっと続いていた緊張がずっと続くことに頭が痛くなった。
とりあえず一旦自分の部屋に入る。その部屋は前世で男が住んでいた部屋よりも遥かに大きかった。部屋を探索すると、着替えやベッドなどの生活品が既に置かれていた。荷物の類を纏めた後、普段着に着替え、これからどうするか考えた。
とりあえずアカネを守ること。それが最優先事項である。その為にはまず、魔法をもっと使えるようになると思ったリリアは練習をしようと寮を出て練習場に行った。
魔法の使い方は本能的にはわかっているが、それでも本物のリリアの魔法の技術には遠く及ばなかった。
だからまず基礎的な魔法を使えるように練習した。その結果、5日ほどである程度の威力の魔法を使えるようになった。
学校の授業もあり、慣れない環境ということもあり、リリアはへとへとだった。
(流石に疲れたな。ちょいと休むか。)
ベンチで休んでいると王子が来た。
「大丈夫かい?リリアさん。」
「何ですか。王子。」
「君が窶れているように見えてね。」
そう言って水をくれた。
「ありがとうございます。」
水を飲み干すと王子が
「アカネさんのことかい?」
そう言われ、ドキッとすると
「彼女のことは心配し過ぎない方がいい。彼女は君が思っているよりも強い。」
リリアはそのことを聞くと少し安心した。と同時にある違和感を覚えた。
「誰か来ている。」
「え?」
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