幽霊は迷探偵。

猫野 尻尾

第1話:紫は幽霊?

お試し投稿。

「彼女は異なもの味なもの」と「お願い!!姫巫女様」のいいとこ取り

したような作品になっております。

ラブコメっぽい匂いプンプンですけど一応立派なミステリーなんです。



城新署じょうしんしょの捜査一課に「千堂 真一郎せんどう しんいちろう」って若い刑事がいる。

歳は25歳。

真一郎には将来結婚を誓い合った彼女がいて幸せの絶頂だったがその彼女を

不慮の事故で亡くしてしまう。


彼女の名前は「水無瀬 紫みなせ むらさき」23歳。


紫は歩道を歩いていた小学生に大型トラックが突っ込んで来たところを

すんでのところで助けたが自分が大型トラックの犠牲になってこの世を去った。


愛していた彼女を突然亡くした真一郎の悲しみは言葉では言い表せないくらい

悲しみのどん底だった。

一応告別式には行ったが火葬場には行かなかった。

彼女の体が火葬場で焼かれてしてしまえば、それが紫との完全な別れだと思ったからだった。


なにもしなくなくても日常は悲しみなど無視して否応なくやってくる。

紫を事故で亡くして意気消沈して仕事もなにも手につかなくなった真一郎は

それでも署にだけは顔を出していた。


紫のいない世界は空虚・・・ただ虚しいだけ・・・。


「俺も紫のところに行きたい・・・」


真一郎は悲しみのあまりマンションへの帰り道、踏切に飛び込んで死のうと思った。


生きてたってしょうがない・・・真一郎はふと魔が差した。

そのくらい紫の死は彼にとってショック意外なにものでもなかったのだ。

踏切の警報音が鳴ってる最中、降りた遮断機を持ち上げて真一郎は線路に右足を

踏み出そうとした。


そしたら誰か真一郎の手を取って踏切の外に引っ張り出した。

誰?と思って振り向くとそこにいたのは・・・なんと、なんとそれは

水無瀬 紫みなせ むらさきその人だった。


「え?・・・・紫?・・・」


真一郎は一瞬目を疑った・・・なんで亡くなったはずの華がここにいるんだ?


「死のうとしたでしょ、真ちゃん」


「紫・・・なんで?待て待て・・・死んだはずじゃ・・・」


「帰ってきちゃったの・・・」


「帰ってきちゃったの?って・・・なんで?もしかして紫・・・幽霊?だった

りする?もしかして・・・」


「そうだよ、もしかしなくても・・・」

「私が帰って来ないと真ちゃんは生きていけないだろうなって思ったから・・・

閻魔様に交渉して現世に未練があるから天国にも地獄にもどっちにも行く気

ありません、だから現世に帰してくださいって言ったらね」

「タダで現世に帰すわけにはいかんって言われたから色仕掛けで落とし

ちゃった」

「現世に帰してくれるなら代わりにセックスさせてあげるからって・・・」


「うそ〜現世に帰るために閻魔とエッチなんかしたのか?」


「してないよ・・・」

「自分の体を犠牲にしてまで現世に帰りたいくらい未練を残してるなら帰して

やるって・・・ひとりくらいここからいなくなっても支障ないからって・・・」

「で、帰してもらえたの、交渉してみるもんね・・・でも私の体は火葬場で焼かれちゃってるから、だからこうして幽霊のままなの」

「真ちゃん、幽霊でも私と会えて嬉しい?」


「そり嬉しいけど・・・大胆なことするな〜」

「もし閻魔さんがスケベなやつで、それならいただこうかってなってたらどう

したんだよ・・・もう無謀なんだから・・・」


「その時はご期待にお応えしてエッチしちゃてたかな・・・」


「おいっ!!・・・」


「冗談だってば・・・閻魔さん私のタイプじゃないもん」

「私、真ちゃん以外には誰にも体許さないから・・・安心して」

「ってことで真ちゃん私が帰ってきて嬉しい?」


「そりゃ帰って来てくれたのは嬉しいけど、幽霊なんて触れられもしない

じゃないかよ」


「大丈夫、私が気合い入れたら5分くらいは実体化するから、その間に

ハグなりチューなりすればいいじゃん・・・エッチはまだ無理かもだけど」


「でも、大丈夫だよ私、少しづつだけど実体化の時間長くなってきてるの」

「そのうち完全実体化に成功したらエッチだってできるようになるからね」

「それまでは我慢してね」


「でさ、話戻るけど・・・真ちゃん、さっき死のうとしたでしょ?」


「紫がいない人生なんて、生きててもってそう思って・・・魔が差した」

「大丈夫だよもう死のうなんて思わないから・・・」


「これからずっと私と一緒にいられるからね、生前と同じようにラブラブして

過ごせるよ」


そんな訳で、紫が幽霊になって真一郎のもとに帰ってきた。

普通ならありえない話かもしれないけど・・・世の中は不思議なこともある。

もしかしたらあなたの大切な家族の誰かが幽霊になって帰って来るってそんな

ことだってあるかもしれない・・・もうお盆だしね。


真一郎にとって紫が幽霊であろうがなかろうがそんなことはどうでもよかった。

紫の姿が見えてしゃべれてコミニュケーションが取れるならそれだけでよかった

のだ。


だけど幽霊になった紫はこれから意外な才能を発揮していくことになるんだな。

幽霊の感・・・本当の意味での霊感ってやつで・・・。


つづく。





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