第214話 会話文だけです2

【10月31日昼休み ハロウィンの話】


「男子は、もう本当に……でも、八千代くんが話しに乗るのも意外だったかな?」


「望さん、郡さんは結構むっつりスケベなんですよ?」


「あ、でも、そんな感じするかも~!!」


「美海ちゃんもいい加減に恥ずかしがるのを止めて、帰って来て下さい」


「だって……」


「あと、郡さん。昔のことを思い出していないんですよね?」


「……多分。祝ちゃんの様子からしても、まだだと思う」


「それなのに、ピンポイントで『巫女』と言ってしまうあたりが、郡さんらしいですね」


「本当に……無自覚だからこそたちが悪いよっ!」


「ね、今は難しい話よりもさっ。今度は私たちが、男子に似合うコスプレ考えてみない?」


「いいですね」

「楽しそう!」


「じゃあ、決まり! 私たちは小声で話そうね~? 先に関くんは?」


「悪くないのですが、想像するに食指が動きませんね」


「私もよく分かんないかも? 望ちゃんは?」


「もぉ~、2人して~!! でも、そうだなぁ……涼子と合わせて警察官とか?」


「ん~……どう? 莉子ちゃん?」


「美海ちゃん、こっちに振らないで下さい」


「つ……次いってみよ~!! ってことで、幸介くんは?」


「幡様はなんでもお似合いでしょう」


「だね」


「話が広がらないじゃ~ん! ならさ、強いて言えば?」


「そうですね……強いて言えば――」

「幡くんかぁ……強いられるなら――」


「「――ホスト?」」


「へんけ~ん!! でも、ナンバーワン取れそうなのが想像出来ちゃうね。じゃあ、いっちゃう? 2人の本命に~?」


「莉子はメイドと言われたので、ペアで考えるならば、郡さんには執事になってもらいたいですね。それか、ご主人さまですから貴族テイストな服とかですかね?」


「なるほど、なるほど~。すらすら出てくるね~。でも、八千代っちの執事服姿はちょっと見てみたいかも? 美海ちゃんは?」


「八千代くんなら執事服も、スーツも和装も全部見てみたいけど……ペアで考えるなら、やっぱり猫ちゃんかな? 猫耳付けた八千代くん、絶対に萌えると思うの。一緒にニャンニャン言ったりしたら楽しいかも……そして、そして…………」


「ハハハハッ! 美海ちゃんもすらすら出てくるね~、でも……萌える。あ、八千代っちにじゃなくて、美海ちゃんにね? あれ? おーい?」


「望さんは優さんに猫耳付けた姿を想像してみてください。きっと、美海ちゃんと同じように想像の世界に羽ばたけるでしょう。莉子も少しばかり旅立とうと思います…………」


「ダメ~! 美海ちゃんを戻してから旅立って、お願いりこりー! でも……優に猫耳かぁ~…………」


「――ふふっ、可愛いなぁ、もぉ……」

「――へへっ、郡さんたら、もう……いけませんよっ」

「――優……あ、そんな……それは反則だって~」


「皆さん? ボクもいますよ? 空気でいいとは言いましたが、ここまで完全に亀田水色の存在を忘れられると少し寂しいです。それに、乙女が他所で見せてはいけない、緩んだ顔をしておられますよ?」


「「「……………………」」」


「よ~し、今日の放課後は八千代っちのリクエストに応えるため、コングホーテに行こ~!」


「望ちゃん、賛成!」

「いいですね、行きましょう」


「けって~い!!」


「「おぉ~!!」」


「やれやれ……彼は、ボクにはどんなコスプレが似合うと言っただろうか――」


 ▽▲▽


【10月31日放課後ハロウィンの話2】


 ~美愛、鈴、紅葉~


「ごめんね~鈴ちゃん? 付き合ってもらって?」


「いえ、光栄です。それに……私も、その……」


「うん! 鈴ちゃんも一緒にキツネになろう?」


「美愛先輩なら彼も喜ぶでしょう。でも、私のような貧相な体では……だから、美愛先輩だけに――」


「ははっ! やっくん、多分ね、鈴ちゃんのこと結構タイプだと思うよ~? だから、一緒に悩殺写真送ってあげよう?」


「なっ――!?」


「あの、大槻先輩。それと、鈴? 一応、私は監視役……あまり風紀を乱すようなことは、というか鈴。貴女、風紀委員長でしょう?」


「も~み~じ~、あまり煩く言うとお口チャックしちゃうぞ?」


「つ――っッ!?!?!?!?」


「美愛先輩、勘弁してあげてください。過剰なサービスになってます。紅葉は元ファンクラブ幹部なんですから……今のでさえ、萌え尽きちゃいます」


「ははっ! 紅葉がやっくんの味方になってくれるなら、もっと凄いサービスしちゃうよ? どうする、紅葉?」


「私は空気。私は空気。私は空気。私は空気。私は空気。私は空気――」


「よ~し、行こっか。鈴ちゃん?」


「はい……(ご愁傷さま、紅葉)」


 ▽▲▽


「いいの買えたね~! どこで着替えようかなぁ~」


「外は危険です。風紀委員室に戻って、鍵を掛けて着替えましょう――」


「――たっだいまぁ~!!」


「私は空気。私は空気。私は空気。私は空気。私は空気。私は空気――はっ!?」


「紅葉、貴女……ずっと、そこに?」


「……時計の短針が一つ進んでいる?」


「これから着替えるけど、2人とも見てて平気~? 出来れば、あっち向いててほしいな~? 私の中で、在学中は、やっくんにしか下着姿を見せない約束だしさ~」


「いえ、見たいのは山々ですが……(問い詰め案件ですね)」

「む、無理っ! これ以上は耐えられないですッ」


「じゃあ、あっち向いててね?」


「「はい」」


「――鈴ちゃん可愛いぃ~!! よく似合っているよ!!」


「は……恥ずかしい……」


「ふっ……よく似合っていますよ? 鈴」


「じゃあ、紅葉。はい。これで写真撮ってね? あと、紅葉にも買ってきたから、ちゃんと着るんだよ?」


「え? え?? お……お任せあれ――?」


「ん~、何十枚もあるのに、ほとんどブレてる~! あ、でも……これでいいかな。帰ったら、やっくんに送ってあげよっと。じゃあ、帰ろうかな。2人とも、今日は付き合ってくれてありがとっ!」


「いえ……こちらこそ、最高のご褒美でした。ありがとうございました、美愛先輩」


「私は、その……鼻血が止まったら、帰らせてもらいますので、大槻先輩は先にお帰りください」


「まったね~!!」


「「はい」」


「……千代くんの味方になったら、一体どんな――」


「おや? 妬ましくはありますが、今なら紅葉を歓迎しますよ?」


「か……考えておくわ」


「ええ、でも今は……着替えさせてください」


「千代くんから感想が届くといいですね(ご愁傷さま、鈴)」


「紅葉の写真は私から千代くんに送っておきましょう」


「ごめんっ!! 私が悪かった!! 本当に勘弁して!!」


「一つ貸しですよ?」


「くっ……分かったわ(最悪)」


 ▽▲▽


 ~月美、羽雲わく、祝~


「……買ってきた」


「着替えるです。祝もです。羽雲は手伝うです」


「白衣に網タイツとかエンッッロ!! 郡くんの趣味なのコレ?」


「千代くんの趣味は私です。羽雲はおまけです。でも、千代くんはスケベです」


「はいはいは~い。月先輩脱ぎましょうネ~」


「やっぱいいです。私の柔肌は千代くんだけです。許された権利です。1人で着替えるです」


「アレ~? 物ぐさな月先輩を変えるなんて……郡くん凄すぎだネ? って、祝。巫女さん凄く似合ってて…………妬まシ~」


「いいから早く着替えて。終わらせて帰りたい」


「はいハ~イ! まぁ、私はエロエロ網タイツで郡くんを悩殺しちゃうもんネ――」




「――月先輩、エロすぎてヤババ~!! めっちゃイイ身体してますネ?」


「当たり前です?」


「ふぅぅ~……隈あり、谷無し、絶壁……私って………アハハ★」


「なんです? 羽雲は可愛いです? 千代くんなら絶壁でも関係なしです」


「月せんぱ~いっ!! 郡くん、私が頑張ったら頭ナデナデしてくれるカナ?」


「私がそんなことはさせない」


「祝は黙っててほしいナ?」


「いいから撮るです。祝任せたです。羽雲ここ来るです」


「どうですか?」


「ばっちりです。千代くん喜ぶです。間違いないです。羽雲撮るです。祝を撮るです」


「私は――」


「嘘駄目です。見せたいです? なら撮るです」


「はいハ~イ。3、2、1で撮るからネ」


「――――」


「3、2、1のパシャッと。アハハ! 可愛いぞ、祝!」


「この2枚送るです。そうです……夜にするです。寝る前です」


「月先輩、何か理由がアリアリ?」


「私の夢を見させるです」


「な~る、ほどっ! でも……思春期の男の子が見て、寝れます? コレ?」


「私の下着見たです。でも、平常心です。悔しいです。性欲出させたいです。だから眠れないなら万々歳です。夢でも万々歳です」


「おほ~……郡くん難攻不落すぎるナ」


「そこがいいです。それに千代くんだけです。私に色を教えたです」


「そんな姿だから、色って響きがエロく聞こえちゃいますネ」


「貴方達、なんて格好しているの? 早く着替えなさい」


「はい」


「はいハ~イ」


「巴ちゃん帰るです」


「風邪引くと大変だから、着替えてからね」


「はいです」


 ▽▲▽


【11月24日文化祭帰路】時系列は第五章「エピローグ」の後


「ところで、こう君。白岩さんの告白への返事はどうするの?」


「え、告白って?」


「ほら、デモンストレーションの」


「あれは今美海が言ったようにデモンストレーションでしょ? だから返事をするも何もないんじゃない?」


「……あれは結構本気の告白だったと思うよ」


「いや、まさか……え、ほんとに?」


「うん。多分あっていると思う」


「そっか……まあ、もしも、あれが本当の告白だったとしても返事は決まっているかな」


「なんて返事するの?」


「……僕には好きは人がいるから想いに応えられないって」


「……ふ、ふ~ん?」


「でも……今回いろいろと尽力してくれたから、頭を撫でるくらいはしてもいいかなとは……み、美海さん?」


「だからこう君はダメダメなんだよ。それもいい所なんだけどさっ」


「じゃあ……?」


「ダメです」


「そうだよね」


「って言いたいけど……本当はダメって言いたいけれどっ!! 今回だけだよ」


「は、はい……ありがとうって言うのも変だけどありがとう」


「でもデートの日を過ぎたら、もう……ダメだから、ね? 期待……してもいいんだよね?」


「待たせてごめんね。でも……そうだね、期待……しててください」


「うん、分かった。うんっっっっと、期待させてもらいます」


「えっと、過度な期待は――」


「ダメなの? したら?」


「…………全然駄目じゃない、かな」


「八千代郡はすでに尻に敷かれている。おかげで私は、将来にとっても安心できる」


「「あーちゃん変なこと言わないの」」


「とっても安心」


「「…………」」

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