第33話 垣間見える狂気
「ただいま~」
「おかえり!遅かったね」
「そうでもないよ。これでもなるべく早く帰ってきたつもりだよ」
「ふ~ん星乃さんとのデートは楽しかった?」
「なんか棘のある言い方だね」
紫苑はジト目を向けながら僕の脇腹をつねってきた。
ちょっと痛い。
「少しくらい棘も出るよ。私以外の女の人とデートなんてしてきたんだから」
「ごめんって。紫苑って意外とさみしがりだよね」
「わかってるなら一人にしないでよ」
「ごめんごめん。今度からはこんなことが無いようにするけど、それを言うなら紫苑もあんまり変な勝負を受けないでよ?」
「うっ、ごめんなさい」
紫苑は少し苦い顔をしながら謝ってくる。
そんな紫苑を可愛いと思う。
「なんで撫でるの?」
「可愛かったから」
「なんか、最近そういえばいいと思ってない?」
「そんなことは無いよ。本当に紫苑が可愛いと思ったから」
サラサラとした髪を撫でる。
いつ触ってもとてもサラサラしていて触り心地がいい。
ずっと撫でていたくなるけど少し撫でていると紫苑が逃げ出してしまった。
「なんで逃げるのさ」
「恥ずかしいからだよ!?海星は何ずっと頭を撫でてくるのよ」
「触り心地いいし紫苑が可愛いから」
「可愛い可愛い言うなぁ!」
「言わなくていいの?」
「、、、、、、、たまには言ってよね」
目を伏せながらそういう紫苑がとてもいじらしくて可愛らしい。
本当に僕にはもったいなさすぎるほど可愛い彼女だと思う。
「もちろん。そんでどうする?今から海に行く計画でも立てるか?もうそろそろ夏休みだし」
「だね!すっごく楽しみになってきた~」
夏休みまで残り二週間弱。
夏休みが開けると紫苑はすぐに受験なのできっと夏休みのうちにいっぱい遊んでおきたいのだろう。
とはいっても、夏休みが始まるまでの二週間に生徒会の仕事を爆速で終わらせないといけない。
「だね。じゃあ、場所からぱっぱと決めちゃおっか」
「うん!決めるぞ~」
こうして僕たちは二人してパンフレットに目を落とすのだった。
❤
「ふふっ。や~っぱり海星は優しいんだから。ふふふふふ」
久しぶりに海星と話せてとっても嬉しい。
最後に会ったときは酷いことを言われたけど海星はそれを訂正して幼馴染として話しかけてもいいと言ってくれた。
「ああ。本当に大好き。絶対に私のものにする。私だけの、私だけが海星にふさわしいの。そのためにもまた頑張らないと。仕込みは大体終わったし。海星からの印象もほんの少しは回復できた」
順調にいけば今年中に海星を私のものにできる。
そしたら、
「ふふふふ。あははははははははははは」
笑いが止まらない。
ああ、海星が愛おしすぎる。
早く海星を私のものにしたい。
私に依存させて私無しじゃ生きられない体にして身も心も全部私だけ物にしたい。
うまくいけば近いうちにそうなる。
あんな泥棒猫なんかじゃなく私を見てくれるはずだ。
「待っててね?海星❤」
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