第27話 彼女VS従妹 レディファイト

「お疲れ様紫苑」


「うん。海星もお疲れ様。やっと今日でテスト終わったね~」


「本当にこれであとは夏休みを待つだけだよ」


「海楽しみだな~」


 テスト終わりにいつも通り家でまったり過ごしていたある日。


 ピンポーン


「誰だ?」


「わかんない。お父さんたちが来るなんて聞いてないし」


 紫電さんたちはそう簡単には帰ってこれないだろうしその線は低いように思える。

 でも、だとしたらいったい誰だ?

 この家のことを知ってる人なんてあんまりいないはず。

 ストーカー?

 それとも前に絡んできた男か?


「とりあえずドアスコープ覗いてくるから紫苑は隠れててくれ。大丈夫そうなら声をあげるよ。何かあったら警察に電話してくれ」


「わかった。気を付けてね海星」


「もちろん」


 紫苑が部屋の奥に隠れたのを見送ってから玄関に向かう。

 不安は拭えないけど家がばれてしまった以上は相手がだれかを確認する必要がある。

 最悪の場合は一条さんに相談することも視野に入れないといけない。


「ふぅぅ」


 玄関前に立って息を吐く。

 そして僕はドアスコープを覗き込んだ。


「え?」


 そこには僕と同い年か少し年下に見える女の子が立っていた。

 鮮やかな金髪に整った顔立ち。

 きれいな青い瞳の女の子だった。


「、、、」


 見覚えがある。

 結構前に見たことがあるし何よりもその日本人離れした容姿を簡単に忘れるわけがなかった。


「海ちゃん?」


 少し安心したけどなんで海ちゃんがここに?

 まあ、不審者じゃないってわかったからいいけどさ。

 とりあえず紫苑に知らせるために大きめに声を上げる。


「これでよし」


 紫苑が隠れていた場所から出てくるのを確認してから玄関を開ける。


「なんの御用で?」


「ひっど~い!未来のお嫁さんが来たっていうのにその対応はひどくない!?」


「そもそも海ちゃんはどうやってこの場所を知ったの?僕は言ってなかったと思うけど?」


「いや、今日テスト終わりだったから久しぶりに海くんに会いたくなって家に行ったらおばさんがこの場所を教えてくれたの~一人暮らしなんてしてたんだね?しかもこんな立派な一軒家!」


(なわけあるかい!どんな豪華な一人暮らしだよ。これ冗談で言ってるのか本気で言ってるのかわからないし)


「ということは母さんから何も聞いてない感じ?」


「何もって?」


 うん。何も言ってないなあのババア!?

 同棲するときに僕と紫苑の関係性は言ったはずだし何かあった時のためにも住所は教えてたけど、これって修羅場になる予感しかしないんだけど。

 まあ、今まで海ちゃんに言わなかった僕が悪いんだけどさ。

 今ってテスト終わりじゃん、何事からも解放されている最高の時間帯じゃん?

 なのになんで、、、


「海星?結局誰だった、の?」


 修羅場が始まるゴングが聞こえた気がした。

 これは幻聴じゃない気がする。


「、、、海君。その女の人だあれ?」


 2人から確かな圧を感じる。

 これは、覚悟をしておいたほうがいいのかもしれない。

 勿論死ぬ覚悟を、、、


「海星?とりあえず中でお話ししよっか?」


「さんせ~い。そこの女の人の言う通りだね?とりあえずお邪魔させてもらおうかな?三人でゆっくりお話合いしよ?」



「、、、、、、はい」


 あはは。

 これからどうしよう。

 はぁ。


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