第25話 そうだ!海に行こう!
「ただいま~」
「おかえり。結構早かったね?何の用事だったの?」
「いや、なんか恋愛相談されてさ」
「え!?恋愛相談されてたの?どんなのどんなの?」
「さすがに言えないよ。それよりも早く仕事終わらせよう」
「む~でも確かにあんまりそういうのは聞くべきじゃないよね。わかった仕事しよっか」
何とかごまかせた。
まあ、特に制服が乱れてるとかもないしそもそも触られてすらいないから気づかれるはずないんだけどね。
「でも、言っちゃあなんだけど海星って恋愛相談されるような仲の友達っていたっけ?」
「友達というかあれだな。紫苑と付き合ってるからどんな感じか相談されただけだよ」
「なんだそういう事か~」
あぶね~さすが紫苑こういう時は鋭いんだから。
「そういえばさ、もうそろそろ夏休みじゃん?」
「そうだね。そういえばそうだった」
そろそろ期末テストがあり、それが終わるとすぐに夏休みだ。
「夏休み予定とかってある?」
「何それって嫌味?」
「いや、そういうわけじゃないけど予定があったら誘えないなと思ってさ」
「誘うってどこに?」
「いや、もしよかったら海にでも行こうかなって思ったんだけどどうかな?」
「海!?行きたい行きたい!」
「そう?ならよかったけど受験勉強とかは大丈夫?」
僕は紫苑と遊びに行きたいけど紫苑はもうそろそろ受験が控えている。
そんな中彼女を連れまわしてもいいものかと思ってたんだけど、
「全然大丈夫!正直どこの大学でも受かる自信があるし。最近はまあまあ勉強してるからね」
「なるほど。さすがは紫苑。言うことが違うね」
「まあね~というわけで夏休みは全然暇だから絶対に一緒に海に行こうね!この前はデート行けなかったし」
「わかった。どこの海に行くかはまた二人で決めよう」
「うん!」
やっぱり紫苑はこの前のデートに行けなかったことを気にしていたみたいでそれはそれは喜んでいた。
これなら残った仕事を早めに終わらせられそうだ。
「じゃあ、早く仕事終わらせて家に帰ろう!家でゆっくりと行き先を決めよう」
「だね!よしっ!やる気でてきた~速攻終わらせちゃうから!」
言ってすぐに紫苑は仕事を終わらせていく。
うちの学校は特殊で夏休みが終わってすぐに体育祭をやる。
つまり、夏のクソ熱い時期に開催するのだ。
勿論チーム分けなども行われるがそれは期末テスト終わりに行われる。
そこから各クラス種目決めをして練習は夏休みに行われるのだ。
「今回の体育祭同じチームになれればいいね」
「だね!というか、もし同じチームになれなかったらやる気が出ないよ~」
「それはそうかも。でも、僕たち学年が違うから競技は一緒にできないんだけどね」
「それは言わないでよ~」
頬を膨らませながら紫苑が僕の肩をポコポコ叩いてくる。
痛くないけど、そのしぐさがとても可愛らしい。
「生徒会選挙もそろそろじゃなかった?」
「そうだね。体育祭が終わってすぐだけど今のところ立候補者が一人もいないんだよね~」
「そうなの?」
うちの学校の生徒会は会長を一人を選挙で決めて他の副会長や会計などといった役職の任命権は全て会長になった人にゆだねられる。
紫苑のように誰も決めないというのも珍しいけどありだそうだ。
「うん。まあ、私は体育祭の運営が終わったら会長職ともおさらばなんだけど私の後の代がどうなるかはちょっと気になるよね~」
「それは確かにそうかも。でも確か立候補期間って終業式までだったよね?」
「そうなの。本当にあと少ししか募集期間が無いんだけど全く集まらなくてね」
「もし、一人も立候補しなかったらどうなるの?」
「さあ?それは私にもわかんないかな。だって今までそんなことなかったらしいし。まあ、誰かしらになるんじゃない?」
「そっか。じゃあ、紫苑の仕事はこれで最後ってことか。絶対に成功させよう!」
「もちろん。あ!仕事終わったから帰ろ!」
「え!?」
紫苑のほうに視線を向けてみると紫苑は目の前にあった書類にすべて目を通しており彼女の分の仕事どころかいつの間にか僕の目の前にあった書類の束もなくなっていた。
本当に早すぎない?
あと一時間はかかると思ったんだけど?
「ほら!早く帰ろ~で、夏休みの行き先を決めよ!」
「あ、うん。わかってるからそんなに引っ張らないでよ」
紫苑はすぐに荷物をもって僕の手を引っ張ってくる。
相当楽しみのようだ。
まあ、それは僕も同じなんだどさ。
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