第15話 作戦失敗

「しくじった」


 私の計算が正しければこれで海星の心は藤音紫苑から離れるはずだった。

 そして傷心中の海星を落として心も体も手に入れるはずだったのに。

 なかなかうまくいかないね。

 今までさんざん仕込みをしてきたので全部台無しになっちゃった。


「まあ、また違う作戦を考えればいいか。どうせ藤音紫苑はこの一年でいなくなる。あとの一年でじっくり海星を落とせばそれでいい」


 苦労して根回しして海星を悪く言うようにみんなに仕向けたのにな~


「でも、あの様子の海星を見るに揺さぶることはできたのかな?」


 最終的に海星を倒れるまでに追い込むことができた。

 結果的にはよしとしよう。

さすがに可哀想だったけど、まあ泥棒猫に永遠に飼い慣らされるよりマシだよね!?


「でも、きっとあの生徒会長のことだからもうすでに何とかしてそうなのが腹立たしいけど」


 正直無理やり海星を私のものにしようと思えばできないことではない。

 運動神経とか体力は私のほうが高いからできるけど、それだけだと私が満足できない。

 海星の心も体も私のものにしないと。


「いっそあの女を殺してしまえばいいんじゃないかな?」


 私から彼を奪った泥棒猫。

 そんな奴に生きる資格があろうはずもない。

 でも、ただ殺しだけじゃ意味がない。

 あの女にはもっと凄惨な死に方をさせないといけない。


「でも、復讐っていうのもそう簡単にはいかないよね。計画もしっかりしないといけないし、私が関わっていることがばれたら海星はなおさら私のことを遠ざけてしまうし」


 難しいな。

 でも、海星が手に入るなら何をやってもいいと思ってる。


「でも、あの女ならそろそろ気づくのかな?」


 私が昔照れ隠しで海星を罵倒していたこと。

 そのせいで海星の自己肯定感が限りなく低いことに。


「今回は海星の自己肯定感の低さを利用したんだけど多分同じ手は通用しないよね~本当厄介な女に取られたものだよ」


 頭をかきながら私はそう毒を吐く。

 最後に海星を手に入れるのは私。

 そのためなら手段を選ぶ気なんてないし私は何だってする。


「待っててね?海星」


「あはははははははははははははははははははははははははははははは」


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