第2話 努力ができる完全無欠?
「今日の晩御飯は何にしようかな」
いつも何を作っても紫苑はおいしいといって食べてくれる。
本当においしそうに食べてくれているから作っていて本当に楽しい。
だから紫苑にはもっと喜んでほしいから紫苑が喜びそうなものを作ろう。
「そうだな。ポトフにしようかな」
ポトフならあまり時間を使わずに作ることができるし、疲労回復にもいいからな。
疲れていそうな紫苑にぴったりだ。
「それにしても今日の陰口?が言っていたことはまあ事実だからな。紫苑の彼氏として紫苑がバカにされないように自分磨きをしないとだな」
ポトフを作りながら今日あった出来事を振り返る。
僕がバカにされるのは構わないけど僕のせいで紫苑まで馬鹿にされるのは耐えられない。
「とはいっても自分磨きってどうすればいいんだ?」
勉強のほうはできてるほうだと思うし、スポーツも特段苦手というわけではない。
体形も太ってるわけではないし。
まあ、ムキムキってわけでもないんだけど。
「とりあえずは体を鍛えるところから始めるか」
今後の方針が定まったところでちょうどポトフができた。
規則的に気持ちよさそうな寝息を立てている紫苑には悪いけどそろそろ起きてもらおうか。
「紫苑。紫苑起きて。晩御飯出来たよ」
紫苑の体を揺すりながら起こしているけどなかなか起きない。
相当疲れがたまっているのか熟睡してるのか。
「ほら紫苑?」
先ほどよりも強く体を揺らす。
「う、う~ん?」
「おはよ」
「あれ?海星?」
「晩御飯出来たよ。眠いだろうけど頑張って起きて」
「今日のご飯なに?」
「ポトフにした。苦手じゃないよね?」
「それはもちろん!海星の作る料理なら何でも好きだから」
嬉しいことを言ってくれる。
だが、寝起きに少し幼児退行するのはやめてほしいけど。
「じゃあ、座って。もう準備はできてるからさ」
「うん!」
紫苑を促して二人でポトフを食べ始める。
なかなかいい出来だと自分でも思う。
「おいしい!」
「だね。久しぶりに作ったけど結構いい出来だったかな」
「ほんとに海星は料理がうまいよね。今度教えてもらおうかな?」
「それは全然良いけど、紫苑が料理覚えちゃうと僕のやることなくならない?」
「そんなことないよ。私は料理ができるから海星と付き合ってるわけじゃないから」
「そっか。わかった。今度の休みにでも教えるよ。何か作りたい料理とかある?」
「う~ん。考えとくね」
「了解」
紫苑が何を作りたいかによるけど次の休日の予定は決まった。
結構楽しみかもしれない。
◇
「今日は私が食器洗うよ!」
「いいの?」
「うん!たまには私も家事やらないと。海星ばっかりにやらせたら申し訳ないし」
「じゃあ、お願いしようかな」
茜と違って紫苑は積極的に家事をしてくれようとするからとてもありがたい。
「任せてよ!」
「うん。お願いね」
少し前の紫苑は食器を洗おうとすると皿を割っていたけど最近はそんなこともなくなった。
紫苑は少しづつやってできるようになっていった。
努力しているのだ。
紫苑が食器を洗ってくれているうちにお風呂にお湯を張っておこう。
「でも、なんかおかしいよな」
今日の紫苑はなんだかおかしいと思う。
もちろん僕の気のせいかもしれないけどなんだか暗い気がする。
今日の休み時間にあったようなことは今までなかったし、あそこまで疲れている紫苑は初めて見る。
「何かあったのかな?でも紫苑が言いたくないなら無理に聞き出すのもなぁ~」
悩むけど、いったんは聞かないことにする。
もし、こんな状況が続くようであれば聞いてみることにしよう。
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