第25話 ルフ視点

 この地点で受験者の各隊の動きは大きく三つに分かれていた。普通に試験をこなす隊。危険を察知して外周部へと動く隊。そして、ローとノクスの方向に行く隊。

 ローとノクスが通った後は蹂躙されて、モノリスの直線が敷かれるため、その光景を見た多くの隊は二つ目の案に辿り着く。そうしてロボへの戦闘が行われると、隊と隊が接触する。そして、隊同士の戦闘は許可されていないため、当然得点が取りにくくなる。

 ダブルツインテールの少女の思考はそこまで達していた。

「私たちはここで籠城戦をしまぁす」

 ルフは隊員に自身の結論を告げた。スイと一緒にいる時と違ってその声色は異常に冷たい。

「……なんでですか?」と少し凛々しい『リアニマ:銃』の少女は反感を伝える。

「ロー少佐がなんかぁ、こっちくる気がするのでぇす」

「逃げればいいんじゃないですか?」と少し能天気な『リアニマ:弓』の少女は反論を述べる。

「よく考えてくださぁい。相手は少佐ですよぉ。絶対追いつかれるに決まっているじゃないですかぁ」

「試験のことを考えると、来るまでにロボを倒しておいた方がいいと思います」と少し冷淡な『リアニマ:爆弾』の少女は物申す。

「私もそう思ったんですけどぉ、ノクスだけなら多少成長したところで倒せるんですよねぇ。ロー少佐の目的がノクスの成長なら、戦闘にそこまで介入してこないですしぃ、勝てる可能性がグッと上がるんでぇす」

「わかりました隊長!」

 能天気な『弓』の少女の声によって隊員はまとまる。

「皆さぁん、罠を設置するときに殺気は放たないでくださいね。気付かれかねないので。あと、スイ先輩のためにも、死んだら殺しますよぉ」

 ルフの水色の眼が海水のように広く冷たく光った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る