第14話 使徒との再会
「流石ロー、対処が早いね〜」
青年の声がノクスの心象世界に波打った。
「僕は死んだの?」
死んですぐに心象世界に来させられ、使徒と一緒という不可解な状況であった。しかし、ノクスは妙に納得していた。
――僕には過ぎた日常だったのかな?
「うん。ローに殺されたね。でも君は記憶を引き継いでいるのかな? だとすると証明のし甲斐があるな」
「せっかくちゃんとした転生だったのに、これで終わりなんだね。魂をくれたのは使徒さんのかな? とりあえず、ありがとうございました。楽しい人生でした」
理解のし難い言葉ばっかり吐く使徒に対しても、しっかり辞儀をするノクスであった。
それに対し、使徒は両腕をへの字にして、不敵な笑みを浮かべる。
「ん? 何言っているんだい、ノクス。ボクは『君は救われる』って言ったよね」
――使徒さんは確かにそんなことを言っていたっけ。
「大体ね、こんな結末で本当に君の魂は満足かい? 地獄と煉獄だけの人生なんてあり得てはいけない。少しくらい天獄があっても良いとは思わないかい? どうだい、ノクス」
使徒は笑みを浮かべたかと思ったら、人影の状態のまま興奮しながらノクスに這い寄った。
「それは、ただスイと一緒に生活できるなら良いですけど、死んじゃったんだからもうどうしようもなくないですか?」
「そこで主ということだ。我が救済者はどんな魂だって救った。故に君の魂も同然さ。いずれ救われる。まず聞いてくれよ、ノクス。君は特別なんだ。何より君のリァ……」
使徒が喋れば喋るほどに、魂が、精神が、肉体に引っ張られる感触に襲われる。心象世界は白く眩くなり閉じてゆく。そして、ノクスは現実世界で目を覚ます。
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