プランツドール ~下~
起きて一番に見るのが顔に当たる子供サイズの小さな足、それをどけて大の字に寝ているその足に見合った小さな存在を見つめる
(人形なのに寝れるものなのか....)
起き上がった俺に気付いたのか、そいつもパチンと目を覚まし生きよい良く起き上がり何かを言いたそうに見つめる
さて、どうしたものかとしばらく見つめ合いをしていると、玄関の方でがさごそと大きな物音がする
何かと思い扉を開けると目の前には大量の箱が無造作に投げ出されていた
(うわ?!なんだこれは!どこから来たんだいったい?)
不気味に思っていたら部屋の奥に居たはずの小さな存在は興味ありげに小包たちをたたく、こいつは警戒心がないのか
それとも警戒するまでもないのか….どうやら前者の様だ
人形は小包を一生懸命に運び出そうと引きずるもどれもそいつには重いのかびくともしない、しばらくして
諦めたのか不満そうに俺の方を見つめる
小包を一つ拾って宛先を確認するとどれも俺の住所が書かれていた、仕方ないので一つ一つを中に入れていく
中でも一番大きな箱を運ぶのが大変だった、他とは比べられないほど重くいったいこの箱の中には
何が入っているのか
とりあえず一番小さな箱を開けることにする、人形も何が入っているのか気になるようで俺の周りをうろうろする
開いた箱の中には霰の様な物が入った小瓶と手紙が入っていた
『本日は、当店の目玉商品をご購入いただき、誠にありがとうございました。
つきましては、こちらの商品〖プランツドール〗の簡単なご説明と取り扱いにつて
記します。
プランツドールとは観用少女(あなたの場合は少年)生きる人形となります
性格は非常におとなしく、知能は3歳ぐらいの子供と同じものなので簡単な単語であれば理解できます
食事は毎日の3回のミルクと週に一回の角砂糖を与えるとよいでしょう
与えすぎてしまうと「育つ」可能性があるのでご注意を
適正化価格以上でご購入されましたのでおまけとしてプランツドールとの生活で必要なものを
一緒に送りましたのでご確認ください。
ランタンのアトリエ・店長より
PS: 愛情をもって取り扱いをお願いします。』
人形なのに食事をとるのか…ミルク3杯と角砂糖1個とは随分お財布にお優しい事だ
それとは別に気になるのが最後の愛情をもってって所だ、この人形について何もかもが分らないので
到底検討もつかない
が思い悩んでも仕方がないと他の箱も開けることにする、チラっと人形を見ると先程の小瓶をじっくり見ながら
座り込んでいる、中身が欲しいのかと思い瓶を取り上げ蓋を開け一粒取り出すと人形の小さな手に握らせる
まじまじと手の中の小さな粒を見つめ、俺の方に差し出す
首を傾げているので多分これは何かと聞いているんだろう、俺は握りこぶしを口の高さまでに持って行きそのまま
放り込む仕草をする
人形はしばらく俺を見て同じ様な動きをするが、あいにく霰はそいつの小さな口の中には納まってはくれなかった
コロコロと転がるこれを追いかけ掴みまた俺に差し出す、今度な不貞腐れたよな表情をしている。人形なのに
随分と感情が豊の様だ、小さな手から霰をつまんで今度は口を開くよう促す、大きな紫色の目を2回大きく瞬きをしてから口を
開く、つまんでいた霰をその小さな口に放り投げ閉じさせる
人形はしばらくもごもごとしていたら、みるみる内に顔をキラキラさせる
(おいしそうで何よりだ)
そいつの頭を撫でたら他の箱も開封するため立ち上がる、中身は手紙に書いてあった様に必要最低限のものが入っていた
洋服やら靴やら小物、ご親切に人形が飲む用のミルクまでもが入っていた
あらかた箱を開け、あとは一番大きく重たい箱のみが残り眺めていたらふと気づく
静かすぎる…
いや人形だから喋る、騒ぐ等はしないけれど先ほどまで聞こえていた物をあさる様な音もしなくなっていた
子供は静かになると一番危ないと聞く、怪しいと思ったら居ても立っても居られなくなり部屋中を探す
先程までいろんな箱をあさっており物が散乱していた、それが仇となり、かなり探しにくい状況だ
しばらくして一つの箱が少し動いている様な気がし覗いてみると、小さな箱に寝そべるようにハマっていた
呆れるのもつかの間その人形の手元を見ると霰が半分になっていた瓶があった
後悔しても後に絶たず、これは完全に自分のせいだとその人形から瓶を取り上げる、不満そうに瓶を引っ張り取り返そうと
するも人形の力では俺には勝てず、すぐに取られてしまう
悲しそうに手元から去ってしまった瓶を眺めるのを横目に高い位置にある戸棚にそれを置く
(さて掃除を始めるか)
短編集 異人さん @yuu_981
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