第64話 家族
「翔子さん・・・」
妻の姿を見て、思わず呟く様に声を出す
いま、
妻の
それと、
「
俺の姿を見て、翔子さんが驚きの声を上げる。
「え!? 親父!?」
「父さん!?」
因みに、俺と翔子さんは、夫婦だけど。
お互いを呼ぶ時には名前で呼び合っている。
相手を敬遠してる訳では無い。
お互いが好きだからこそ、名前で呼び合っているのだ。
いつまでも、お互いの愛情を忘れないために。
「お久しぶりです。 翔子さん。」
「いっくん・・・いっくん!!」
翔子さんが、
俺と翔子さんの抱き合う姿を見て、
それに、
仕方がないでしょう。 俺も翔子さんも、還暦近いけど、お互いが好きなんだからっ!」
「うぅ・・・いっくん・・・・いっくん・・・。」
ただ、ひたすらに。 俺の名前を連呼しながら俺を抱きしめる翔子さん。
俺は、翔子さんを優しく抱きしめながらも、翔子さんの頭を何度も撫でる。
「親父。1つ良いか?」
「1つで良いのか?」
内心で、もっと夫婦の愛情を確かめさせろよと毒つきながらも、
「なんで、若返ってるんだ?」
「実はな・・・。」
帰宅中の電車の中で、うたた寝してたら違う次元の星の草原に放り出されていたこと。
獣人族の人たちに助けて貰い、地球からの転生者達に出会った事。
魔人族の王。 魔王が死んで、新しい魔王が他の種族を根絶やしにしようとしている事。
転移者として、
そして、何故か。 魔王に興味を持たれて、魔王に殺された事。
こっちの星で死んで、
その影響で、若返ってしまった事。
俺は、
「
俺の説明に、翔子さんが言う。
「ズルいって言われてもなぁ~。」
苦笑しながら、翔子さんにキスする俺。
「ん・・・・」
「父さん・・・」
「
「あっ!そうだ!
そう言って、横で黙り込んで、俺たちを眺めていた2人を指さして伝える。
「はぁあっ!?」
「はっ!? え!? 父さん? 母さん? え? マジで!?」
髪と瞳の色こそ違えど。 そこには、
「おぅ! 元気してたか!?」
「
2人の言葉に、
「父さん・・・。 母さん・・・。」
俯いて、絞り出す様に声を震わせる
強く両手を握りしめて震わせる。
「実はな。
「ふっざけんなよぉ~~っ!!」
何の前触れも無く、渾身の右ストレートで武彦を打ち抜いた。
「ぐぼぉおお!」
顔面にパンチを貰い
「なにっ! 親父まで若返ってるんだよぉ~~! 俺も混ぜろやっ!」
* * * * * * *
閑話休題。
* * * * * * *
「えっと。ゴメン・・・。 取り乱した・・・。」
目下。 正座して頭を下げている
うん・・・。そう言えば、ファンタジー物が大好物だったな。
それと翔子さん・・・。
若返った、俺と武彦叔父さんを目を血走らせながら交互に見て。
「生×武か? いや、この場合は武×生か?」
等と小声でハァハァと息も荒く言わないでくれ。 全部聞こえてるからねっ!
いや・・・。 無理だな。 ああ為った翔子さんは誰にも止められない・・・。
伊達に、町内会での【
* * * * * * *
閑話休題。
* * * * * * *
俺たちは、結構な時間を、その場所で会話しながら楽しんだ。
お互いの、今までの状況を混ぜながら。
「さて。 そろそろ行かないと。」
そう言って、立ち上がった俺を、翔子さんが悲しいそうな目で俺を見詰める。
「ゴメンね翔子さん。 そろそろ、行ってやらないと、
「うん・・・。判ってるから。」
俺の手を支えにしながら、翔子さんも立ち上がる。
「
「
そう言って、目に涙を溜め込む翔子。
俺も、そう思うよ。 見た目は良いけど、
まぁ、それでも。 見つからないでは無くて。 見つけ難い。と言う辺りは翔子さんらしい。
最後に、翔子さんを抱き寄せてキスをしようとした時だった。
翔子さんの顔つきが、若返っていた。
「今生の別れだ。 ささやかな
(有り難う。
そのまま、若かりし頃の翔子さんと、舌を絡め合っての長めのキスをする。
「さよなら・・・。」
「さよなら・・・。」
俺と、翔子さん。 どちらから。 と言う訳でもなく言い出した言葉。
「
「おう。」
「父さんも元気でね?」
と
「来年から
「そっか。 あんまり舞ちゃんを困らせる・・・・。」
なよ。と、言いかけて言葉を詰まらせる。
「ふっふふ。 どっちかと言えば、困らされているのは俺の方だけど。」
「だったな。」
「母さんの事は任せてて。」
「ああ。約束だぞ。」
「うん。約束する。」
「じゃ。元気でな。」
「うん。」
涙を流しながら答える
多分。俺が姿を消して、一番苦労したのは
ここ迄の、苦労やら何やらがゴッチャになって涙くらい出るわな。そりゃ、
次に、
「お世話になりましたっ! 今まで、有難うございましたっ!」
腰を深く折って、感謝の言葉を。
「おう。元気でな。」
「元気でね。」
最後に、
「俺の家族を宜しく お願いしますっ!」
腰を折り、深く頭を下げて言う。
「おうっ! 俺の分まで異世界満喫してこいやっ!」
気合充填完了っ!
そして、
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