第44話 災難は突然に:5
* * * 視点:レイラ * * *
くっそ。 戦う前から気分は最悪だ。
戦闘開始をする前に、キュプロスの
キュプロスに向かって行く途中で強風が吹き、キュプロスの腰巻が盛大に
お陰で、ウチの部隊の士気はダダ下がりだ!
取り合えず、副部隊長のハンナには
同じ女性としては、アレを見てしまうと萎えるのは仕方がない。
「おらぁああ! 逝っとけっ!」
イラついてたので、キュプロスの足に向かい力任せに薙ぎ払う。
生意気にも、キュプロスは足を引いてよける。
力任せに薙いでいたので、体制が流されて隙が出来てしまう。
「ガッアアア!」
キュプロスが上段から棍棒モドキを振り下ろす。
私は素早く背中の盾に手を伸ばして、キュプロスの攻撃を盾で受け止めた。
ガインっ!っと音が響き、棍棒モドキと盾が ぶつかり合う。
以前、イクルと一緒に行動した時の
さすがに、大型魔物のキュプロス相手には
それこそ、誰かさんみたいに埋まってしまうからな。
「集え!光。」
力ある言葉を唱えて、詠唱待機状態にする。
その間にも、キュプロスの攻撃を盾で受け止めながら耐える。
キュプロスが、棍棒モドキを大きく振りかぶった。
「
詠唱待機から、キュプロスの隙を突いて、魔法の光の鎖がキュプロスの両手足を拘束する。
キュプロスが、光の鎖を引きちぎろうと暴れるが。
光の鎖は、キュプロスの両手足から外れることはない。
その時に、アキトの声が聞こえた。
「埋まるんだからねっ!」
「誰がっ!?」
思わず、アキトの声に反応して声を出してしまう。
アキトの声で、一瞬だけど気が反れたが、光の鎖はキュプロスの動きを止めたままだ。
「
盾を背中に戻して、両手で剣を握りしめながら、スキルを発動させる。
キュプロスの真下から、そのまま上空に向かってジャンプしながら、キュプロスの
「ギャッ!」
キュプロスは、最後の声を出し切る事無く黒い霧となって消える。
ダンッ! っと、音を立てながら地面に着地するレイラ。
「うああああああ! 最悪だっ!!」
地面に着地するなり、両手と膝を地面に着けて、四つん這い状態になり叫ぶレイラ。
スキルを使ってキュプロスを倒したは良いのだが。
その際に、盛大にキュプロスの巨大な男根に身体を擦り付けてしまったのだ。
家に帰って身体を洗いたい。
切実に、そう思うレイラだった。
* * * 視点:副部隊長と兵士たち * * *
「なぁ、ハンナ。」
「なに。ダン。」
「普通さぁ。 大型魔物とかって、遠距離で魔法で倒すのが定石だよな?」
「そうね。
「だよな。」
「うん。 それに普通は、キュプロスサイズの攻撃を正面から武器で受け止めたりしないからね?」
「うん。 俺には無理。」
そう言って、ハンナに視線を向けるダン。
「うん。 私も無理だからね。」
ニッコリと、微笑みを向けて言うハンナ。
「部隊長クラスって、人間を辞めてるよな?」
「うん。 そう思うわ。」
「良かったな。俺たち、まだ人間を辞めてなくて。」
苦笑いで言うダン。
「うん。切実に、そう思うわ。」
笑顔で返すハンナ。
そして、それを聞いていた、他の騎士たちは内心で突っ込む。
(
そして、葛藤する。
大切な者を守りたい為に強さは手に入れたいが、人間を半分辞める域に足を突っ込むかどうかに。
まぁ、半分人間を辞める領域に突っ込む気が有るかはどうかとして。
そこまで行けないから、騎士だと言う事を後で思い出す騎士たちだった。
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