第43話 災難は突然に:4

 * * * 視点:ビル * * *



キュプロスの右側に回り込みながら、右手に持つ剣でキュプロスの足を切り付ける。


「グガッ!」


足を切られて、ビルに向かって棍棒モドキを振り下ろす。


大きく右側に飛んで、棍棒モドキを躱すと同時に、キュプロスの懐に入り込む。


キュプロスの真下に入った所で、「穿て土アース・ランス!」


予め、力ある言葉を唱えて、詠唱状態で止めていた魔法を放つ。


地面が円錐えんすい状の形をとり、キュプロスの身体を貫こうとするが。


キュプロスは、身体を強引に傾けてビルの魔法の直撃だけは回避した。


「ガッ!アアアアァ!」


直撃は回避したが、ビルの放った魔法はキュプロスの左足を貫いていて、片膝を突きながら痛みでキュプロスが吠える。


そして、ビルの目に、見たくは無い物が視界に入ってしまう。


「げぇっ! メスかよ!」


何せ、このメスのキュプロス。


胸の脂肪と言うよりも、胸筋と言っても良いほどに引き締まっている。


遠目から見た時には判別が出来なかったのも無理はない。


だが、片膝を突いた時に、足の隙間から見えたのは、像ではなくて男性器巨大なアワビ女性器だった。


余りにも巨大な、アワビ女性器


それは、直視して照れるとか言う次元ではなくて。


ハッキリ言えば、グロイいっ!


ビルとて、女性経験が無い訳ではないし。見慣れていると言うほど見慣れている訳ではないが。


普段なら、女性の裸を見たとて、軽く流せる胆力は備えている。

が。

余りにも非常識異様な、巨大アワビ女性器を目てしまい。 数瞬、ビルの思考が飛んでしまった。


「埋まるんだからねっ!」


その時、アキトの叫び声が聞こえた。


アキトの声に、ビルが無意識化で、「何がっ!?」っと思ったが。


アキトの声で、ビルの思考が呼び戻された。


「グルギャアアァア!」


膝を突いた状態で、キュプロスが、ビルに向かって棍棒モドキを薙ぎ払う。


だが、流石は近衛騎士団 部隊長と言う肩書は伊達ではなかった。


剣を両手で持つと、迫りくる棍棒モドキの前にかざして、キュプロスの攻撃を受け止める。


身体強化魔法フィジカル・マジックをフルに発動させて、物質硬化魔法マテリアル・マジックで地面と剣の硬度を上げる。


「オオオオオオオオオオオオッ!!」


気合の声と共に、ビルがキュプロスの棍棒モドキを弾き上げる。


棍棒モドキを全力で薙ぎ払っていたキュプロスは、棍棒モドキが弾き上げられた事で、振り払っていた勢いを殺し切れずに体勢が流されてしまう。


気斬オーラ切り!」


ビルのスキル気斬オーラ切り


魔力ではなく、闘気を剣に纏わせて敵を切る剣技。


剣先からは、目に見えない闘気が伸びており。


キュプロスの身体を上下に切り分けた。


上下に断たれたキュプロスの身体は黒い霧となって霧散していく。


「うぷ・・・。」


キュプロスを倒して、巨大なアワビ女性器を思い出してしまい、軽く吐き気をもよおすビル。


「やべ・・・。 当分、見たくねぇ・・・。」


ビルの切実な気持ちが口を割って出てきた。


そして、ビルの持ち帰った、この情報のせいで。


長年、魔物を研究していた学者たちに、混乱をもたらしたのは,

また別の話。

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