第38話 仕込み期間
その日、
スラブ帝国までは、イライザと転移魔法で来ている。
現在イライザは、スラブ帝国の技術部と意見を出し合って技術交換をしている。
城の中も、勝手知ったる何とやらで。
俺の警護と言う形で騎士が1人ついているだけだ。
少し立派な扉の前で立ち止まりドアをノックする。
「マゾダ外務大臣。 イクルです。」
「入ってくれ。」
「失礼します。」
返事を聞いて、ドアを開けて部屋の中を見ると先客がいた。
マゾダ外務大臣に視線で、席に座るように促されたので、彼らの右側に座る。
1人は、亜人族の代表者で
「やぁ、イクルさん。」
地球での妖精を思い浮かべて、小さな人の形に昆虫のような羽を想像するだろうが。
なら、何をもって
10年目の年に、女性から男性へ転生。 いや、この場合は、
この
そして、
恐らく、
因みに、シンさんは男性ね。
「初めましてです。
「シンさん、お元気そうで。 ドンナさん、初めまして。」
獣人族の
彼らの活躍で、他の獣人族が隠れる
その お陰で、元から広かった亜人族大陸の鉱山型の
「
有り難う御座います。」
「いえいえ。 私達こそ、貴方達の お陰で、前もって
「それで、シンさんは、どうして
「はい。 実は……。」
既に、魔人族の大陸での、兵達の隠れ場所の着手にも当たっている事。
正直、各大陸から魔人族の大陸に渡るのが、一番の難課題だ。
人族の大陸から、亜人族、獣人族の大陸へは危険も少なく、渡航距離も2~3日と短いのに対して。
各大陸から、中央に位置する魔人族の大陸へは5日も掛かってしまう。
しかも、魔人族の大陸に近づくと、上空から魔人族が油の壺を落として、その後から火矢で火攻めにしてくる。
ニセカンダル連合が、魔人族に早期に敗れたのも、最初の海戦時に海で魔人族の艦隊と交戦になり。
空中から油を撒かれて、火矢で火攻めにされて、大打撃を受けたからだ。
因みに、魔人族が飛行できるのは、背中の羽で直接飛行するのではなくて。
身体と羽に魔力を
魔力によっての飛行なので、空中でのホバリングも可能。
飛行高度は、500メートル前後が普通で。 飛行速度は40キロ前後で、飛行時間も1時間前後と短い。
飛行すると魔力の消費が激しくなり。 個体差にもよるが、高度と飛行速度&時間にも差が出るとの事。
魔王だけは特別で、飛行速度は60キロ以上、飛行時間は6時間くらいは可能だと思った方が良いと言われた。
上空の敵に対して有効なのは、弓と魔法と思われがちだが。
弓の平均的な射程距離は150メートル前後と考えればいいだろう。
ただ遠くに飛ばすだけなら、200~300メートルも可能だが。
上空に向かって動き回る的に当てるには相当の技術と予測能力が必要に為る。
まして、重力に逆らって射ているのだから、飛距離なども極端に落ちてくる。
せいぜい、120~180メートルで、矢の殺傷能力は無くなっていると考えた方が妥当だろう。
魔法にしても似たようなもので。
しかも、ホーミング性能は無いに
「魔人族の大陸に、隠れる場所を作るのに。 3ヶ月でどれくらい作れそうですか?」
「作る場所と規模にもよるが。」
俺の言葉に聞き返すドンナさん。
「そうですねぇ。 できれば魔王城に比較的近い所に、百人単位で潜ませる事が理想なんですが。」
「魔王城の100キロ圏内に作るのは無理だぞ。 百人単位の規模だと、1つ作るのに10人がかりで3日くらいはかかる。
ただし、内装とかに気を配らない事を条件にだが。」
「内装には気を配らなくて良いです。 せいぜい5日。長くても10日の期間を隠れて過ごすだけですので。
立って歩けて、身体を横に出来て、快適に眠れる空間を確保できていれば。」
「食糧事情は、前回と同じように優遇しれくれるのか?」
「もちろんです。 基本給金以外に、危険手当付き。
1つの潜伏先を作り終えて、2日の休暇。
食事は1日3食でデザート付き。 お酒も仕事に影響の出ない範囲でなら。」
「高位貴族並みだな。」
そう言ったのは、マゾダ外務大臣。
「敵地に先行しての潜伏作業なのですよ。 これでも足りないくらいです。」
勿論、護衛は着けるが。 それでも、敵の真っただ中。 しかも、魔王城の近くでの作業。
更に、敵は魔人族だけでなく、魔物と言った物まで襲ってくる可能性も高い。
今迄も、日に何人かは大怪我を負って転移陣で転移されて来る。
まぁ、こっちには、死亡して居なければ例え重症でも即座に治せる、
1日に、20~30人くらいは大怪我をしても大丈夫だ。
と、思った自分に対して。
俺の思考も、相当だな。っと、自分で突っ込みをした。
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