第13話 時は流れて

俺が、この星に来てから1年が経った。


最初の半年は、この星。と、言うか、大陸間で使用される、共通語とゆうのを覚えさせられた。


セリアの教えの元。 2カ月ほどで基礎の基礎を覚えた。


多分、勉強と言う単語で、ここまで必死になって覚えた事はなかっただろう。


50年の人生の中で、初めての経験では無いだろうか。


これに関しては、この星の文字が、日本語のひらがなと同じように、文字と文字の組み合わせであったのが幸いだった。


ほとんど、丸暗記で、文字を覚えるのに苦労したが。


文字を覚えさすれば、地球で一番難しいと言われている日本語を使っている日本人だ。


単語の意味自体が理解できなくて、いまでも誰かに聞く事はあるが。


この世界の書物も、一応は読めるようになった。


まぁ、これに関しては。 ひとえに、俺の教育係として、セリアが教えてくれたので。


俺が、少しでも良い所を彼女に見せたいと頑張ったに過ぎないと思う。


好意を抱いている人に教えて貰っているのだから、少しでも相手の気を引きたいと思ってしまうのは男のさがだろう。


それが、例え片思いの一方通行だと解かってはいても。


その甲斐あって、2カ月を過ぎた所で、基礎の基礎は覚える事が出来た。


基礎の基礎を覚えたら、今度は学舎に通う事に為った。


要は、現代日本で言う所の学校だと思ってくれ。


しかも、俺が通うのは日本で言う所の【小学校】だ。


50にも為って、まさか子供と 一緒に学舎に通うとは夢にも思わなかったが。


これが、思ってた以上に楽しかった。


元々、子供は好きな上に。 子供に懐かれるのが、俺の特技と言っても良い。


なので、子供たちの方が、俺に色々と教えてくれるので、俺も楽しみながら覚える事が出来た。


基礎の基礎から、基礎さへ覚えてしまえば。 あとは、トントン拍子で言葉を覚える事が出来た。


その甲斐あって、半年も経つ頃には、普通に話す分には不自由なく話せるようにはなった。


時々詰まったり、変な喋り方に為るのは勘弁してくれ。 発音にしても、未だに未熟な部分も在るので完璧とは言えない。



話す事に、不自由さを感じるのが少なくなった頃。


セリアが、俺の教育係から外れて、勇者探しの為に、亜人族の大陸に向かった。


俺? ついて行く訳が無いでしょうに。


確かに、気持ち的には、セリアに着いて行きたかったけど。


身体能力は、この地の住人に劣っている。


武芸に秀でている訳でもない。


魔力も無くて、魔法も使えない。


ましてや、神様に呼ばれて、この地に降り立った分けでも無いので、特殊能力ギフトも無い。


こんな、無い無い尽くしの役立たずが着いて行って、足は引っ張っても役に立てるはずが無い。


そして、本を読み漁っている内に色々な知識を覚えていった。


この星の宗教は、1神教でカルドラ教。 各大陸に教会があり活動している。


どこかのラノベみたいに、大陸各地での主張をする権力とかはなく。


普通に、教会としての機能と、孤児院としての施設を持っているだけ。


ただ、巫女的な存在が居て。 神からの信託を年に数回受けると言う。


その為に、この星では、昔から神が存在するのは確立されているとか。


その信託内容も、今年は天気が崩れて不作になるとか。 大陸の何処かで疫病が流行るとか。


魔獣や魔物が暴れる可能性が有るので、早めの対策を立てるのが良いとか。


その大陸に住む人達にとっての、不都合な事を伝えてくれるのだとか。


神が直接関与して、魔物や魔獣を減らしてくれたり。


どこかの大陸の種族だけに肩入れして、その種族に有利に為る様な事柄はしないとの事。


助言はするけど、直接の手助けはしないと神自信が宣言してるので。


この星の住人たちの殆どは、カルドラと言う神が存在する事を疑ってはいないらしい。


この話を聞いた時に、訳の分からない信託とやらをする神よりも、余ほど神らしいと思って苦笑した。



あと、魔獣と魔物の違い。


魔獣は倒した時に死体が残って。 魔物は倒した時に霧となって消えて、魔石と言うのを残すらしい。


俺が獣人族の大陸で襲われた草原猪ブランボアは、魔獣の類に為るそうだ。


倒した魔獣の血肉は、各大陸に在る【大陸間商業組合プラント】と言う所で、倒した魔獣の使用できる部分を買い取ってくれると言う事。


なんせ、各大陸ごとに住んでいる魔獣の生態系も違うので。


この大陸間商業組合プラントと言う所が、各大陸間での欲しがる部位を交換し合っている。


大陸間での交換は、どうやってしてるのだと思うだろう?


俺も、そこは真っ先に尋ねてみたよ。


何でも、生きてさえ居なければ、大陸間商業組合プラントに設置されている転移魔法陣で、各大陸間同士に送る事が出来るらしい。


なので、生きたままの人や動物などは送れないし。


この転移魔法陣を使用した際に、使用した大陸間商業組合プラントから、他の大陸間商業組合プラントに、何が送られたのか記録が残るので、密輸とかの心配もないとの事。



魔獣と魔物以外にも、幻獣と言うのが居るらしい。


幻獣とは、地球で言う所の、竜や龍。 巨人や精霊を示すらしい。


幻獣が、居ることは確認されてはいるのだが。


殆どの人は見たことが無いらしい。


まぁ、滅多に遭遇出来ないからこそ、幻獣と呼ばれているのだろうけどね。

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