第12話 イライザの 1日

ほんと、この日は。 まさか、こんな事に為るなんて思ってもみなかった。


勇者を探す旅に出て、獣人族の集落に交じり。


獣人の大陸を渡り歩き、既に5カ月が経とうとしていた。


私達を、この世界に転生させた神様の話では。 1年~3年以内には、勇者が転移すると言ってたので各大陸に別れて探している。


獣人の大陸が、一番広い面積なので。 私とアレスが担当している。


亜人族の大陸には、エルフのセリア。


魔人族の大陸には、同じ魔人族のスタン。


人族の大陸では、城に留まりながらも人族の大陸で1番大きな国。ホーデン王国のソニアが情報を集めている。


大体にしてさ。 神様もいい加減なのよ。


手違いで私たちを死亡させるとか。


勇者が現れる日を、大まかにしか教えてくれなかったり。


もし会えるのだったら、文句の10や20は言ってやりたい!


まぁ、その話はさておいて。


獣人族の集落の長、ランゼから急に呼び出しがあった。


何だろうと思って、長の所に向かうと。 1人の人族の男性が軽く拘束された状態で居た。


そりゃもう、ビックリしたよ。


何でかって? 着ているのが明らかに、この世界の服装ではなくて。


近代日本人の服装だったからね! 肌の色は黄色人種系で、髪も黒髪で黒の瞳。


まぁ、中国系の人も黒目黒髪なんだけどね! 肌の色も黄色人種系だし!


長に尋ねると、何でも人族であるに関わらず。共通語が話せないらしい。


だよねぇ~。 どう見ても日本人か中国人だもんね、その人。


長との会話を終えて、その人に話しかけてみる。


「Am I making sense?(私の言ってる事は分かる?)」


男性は、物凄く驚いた顔している。


あれ? 発音違ったかな?


長らく英語なんて話してなかったし、私自身も英語は得意な方じゃなかったし。



Do you understand what you are saying?(私の言ってる事は理解できる?) でも合ってたと思うけど。


確か、こっちの方は上から目線での言い方って聞いた気がするし。



「Am I making sense?(私の言ってる事は分かる?)」


これでダメなら、Do you understand what you are saying?(私の言ってる事は理解できる?)で聞いてみよう。


あ、男性が返事した。


どうやら、通じたみたいね。 良かった。


それじゃ、次はっと。



「Are you Japanese?(あなた、日本人?)」


返事をしながら、大きく頭を上下に振っている。


やっぱり日本人だ! だったら日本で話せる!


そう思って、彼に日本語で話しかけると。 面白いくらいに変な顔に為って私を見ていた。


取り合えず、長に話して、私の家に連れて行くことに。


別に日本語で話してたら、獣人族の人たちには分からないだろうけど。


まぁ、色々と話しにくい事もあるだろうし。 お互いに。




私の家で話して、彼。イクルさんの荷物を見せてもらう。


私の特殊能力ギフト。 って、私たちが勝手に呼んでいるだけだけどね。


私の特殊能力ギフトは技工士。 無機物と植物限定だけど、手に取って魔力を流せば、それが機械であれ、鉱物であれ、植物だろうと。


その物体の仕組みに必要な素材の成分などの、明確な詳細を理解して同じ物を造る事が出来る。


ただし、同じ物を造るのに。 その作る物と同じ材料を揃えないといけない。


ハッキリ言って、今の今まで、プラスチックの原成分とか、スマホの仕組み何て理解できていなかったけど。


うん、城に戻ったら。早速、試してみよう。


プラスチックその物を製造するのは無理でも、代用に出来る素材はコッチの世界でも在る。


電気式のバッテリーも、魔力を代用した物にすれば、何とか代用可能だ。


あ、ロールパン食べてる! 美味しそう・・・。


に見てたら、イクルさんがパンを分けてくれた。


感謝。 久しぶりの日本の食材。 ウマァァ!



その後は、獣人族の方と一緒に食事して。


私の家に泊める事に為ったけど。


この人、襲ってこなかったよ。


いや! 襲われるのを期待してわけじゃないよ!


あれ? 私って、女性としての魅力ないのかな?


じゃなくて!


お孫さん居るって言ってたよね! 奥さん要るんだから当然か!?


あれ? それって、私が女性に見られてないって事?

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