第3話

 わたしにはお友達がいなかった。

 だから、作ることにしました。用意するのは鉄などの金属でできた小さな部品達。それを、わたしのなかの才能だとか、技術だとか、そういうものを組み合わせて、お友達にしました。

 寂しくないように、たくさんたくさん作りました。

 数が増えたので、そのうち、他の人に気づかれました。

 わたしの才能や技術は評価されました。わたしに教えを乞う人や、開発及び研究を共にしたいという人が、近づいてきました。

 分かったのは、どうやら人たちはわたしのお友達のことを仲間だとは思っていないぞ、ということでした。でもそれも致し方ないのだろうと、わたしだって思っていました。

 だってわたしのお友達には心がないから。

 親愛なるお友達の皆様へ。

 わたしは、技術者として人々の町へ行ってきます。たぶん、しばらく帰っては来れません。言葉を足してしまえば、もう二度と、あなたたちには会えません。わたしはあなた達と違い、修理ができません。元気でいられる時間の終わりを向こうで迎えます。

 あなた達はよく、私に、大好きだなんて言いました。けれど、それは間違い。あなた方には心がないのです。そう設計されているんです。わたしがあなたたちに設計どうりに愛を囁かせただけなのです。残酷ですか。

 わたしは、いつかあなた達が人々に心からの愛を伝えられる日を信じています。

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ロボットの街とエンジニア 月鮫優花 @tukisame-yuka

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