第3話 3人組勝負
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僕たちに突きつけられたのは挑戦状だった。推薦枠の人は必ず先生たちに自分の特殊能力をプレゼンする。でも、一般受験者にはそれをする必要はない。一応特殊能力の有無と詳細を記した資料は提出するが、実態は見るまで誰にも分からない。また水を扱う能力でも手段は様々で、基本的に○○ができる”など”の能力と記されることが殆どだ。たった1つの力と手段で生きている人はそうそういない話だ。
「Hey,Ollie」
「(オーリー?)」
『お呼びでしょうカ。水島先生』
水島先生が誰かを英語で呼ぶと、どこからともなく暖色に輝く機械のホログラムが登場した。この学園にある最新AI技術の結晶かもしれない。名前がオーリーと外国の女性っぽい名前だけど。
「前の時と同じこと頼む」
『了解しましタ。これよリ、【能力お披露目試験】のプログラムを実行いたしまス。教師権限によリ、一時的な箱庭の独占を許可。試験後の他クラスの使用も予約が入っていることも確認』
「んじゃ、それまでにランダムで3人組決めるぞ」
先生は先生でオーリーさんが何かをしている間に、僕たちをひとまとめにして別のAIでくじ引きをする。18人を6組わけて能力お披露目を行うようだ。
「最初は、2番の
「ふわあ~眠いな」
「面白い面子ね。能力楽しみだんね」
「…」
続々と先生はチーム分けをしていく。その間にオーリーさんは巨大な会場をこの箱庭に生み出した。あの中でお披露目試験を行うようで、最初に呼ばれた3人はあの赤いカーテンの向こう側に消えていった。中で説明があるのだろうか。
「最後6チーム目は、9番の
先生もカーテンの向こう側に行ってしまった。残された5チームは仲間と話し合いつつ、数人は自分の能力の準備運動をしている。僕は嬉しかった。知っている2人がチームになってくれたのだ。残り物には福があるとはまさにこのことだ!
「えっと、ワタシ小神雷子よろしく!」
「俺は釣瓶燈爾。よろしくな小神」
「よろしくねー燈爾君。それに心冶君も!」
「うん。よろしくね」
僕たちは挨拶を交わす。正直能力のお披露目があるとは思わなかったけど、一応ルナを持ってきて本当に良かった。この学校は昔ながらの学ランに学生帽だったし、ルナは伸縮自在。すっぽりと帽子の中に今収まっている。いないと困るわけではないけど、前の時みたいに無意識に何かができるのかもしれない。
「ワタシは雷を使う系なんだ!2人はどんな感じ?」
「俺は炎系の能力。で、…えっと心冶は…」
「…思考系かな。2人みたいな攻撃できるものではないね」
「
僕は自分の能力の詳細をはぐらかした。燈爾君も僕のことを気遣いしてくれてる。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。でも、小神さんは勘が良いのか鋭いのか、僕が思考系と言っただけで覚やテレパシー系だと二択を出してきた。一瞬、気づかれたのかと思って僕はビビった。
小神さんは詳細不明の僕の能力をカッコいいとも言ってくれた。世の中にはやっぱり優しい人はいるんだ。
「いよっし、それじゃあ準備運動して気合注入だね」
「今の俺達制服姿だけどな」
「は!確かに、準備運動なんてしたら最悪破けちゃうかも」
小神さんはちょっとうっかりな所があるみたいだ。それくらい緩い人がチームで良かったのかもしれない。僕は今嫌な思いをせずにここにいられるんだ。
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さて、私が相手する生徒達の特殊能力か。推薦者ではない一般受験者は己の過去が影響して大っぴらに明かしたくない人が多くこちらで受験している。私だってそうだった。
私は一番に決まったチームに遠隔で説明をする。今、私はオーリーが創り出したジオラマの空間にいる。控室のように小さい部屋から、大きい部屋にいるチームを映したモニターを眺めている。
「これから一匹の対戦用ロボを出す。自分の力で破壊して見せろ」
『でも先生、ウチ達制服だんね。能力によったら破損しちゃうよ』
「それは分かっている。オーリー」
『了解しましタ』
オーリーに命令すれば、3人は制服から体操着に切り替わる。私が在学していた当時はもっと古い芋臭いジャージだったが、新しい時代になってからは随分とセンスも素材も良いものになった。それにしても、このAIは私の時代からいるが本当に優れたやつだな。
『変わったねー』
『すごい最新技術なんね。それに体操着もかっこいんね』
『…』
初々しい反応だな。これから行うものに対しての余裕さえも感じる。私はまたオーリーに命じて、対戦用ロボを空から登場させる。普通の人間よりも何倍もでかい図体だが、全員怯えている様子はない。
「一応平等に頼むぞ。一人が破壊しては見れないし、つまらないからな」
どれほどのものを見せてくれるだろうか。この優秀能力主義が跋扈するのが普通とかいうクソみたいな世の中で、どれほどの自信があるのだろうか。
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