8月23日(金)


 どこにも行かなかった。


 ラジオ体そうもしなかった。


 おなかがいたいってウソをついた。


 昨日の夜、恵美おばさん、おじいちゃん、おばあちゃんの話が聞こえた。


 やっぱりぼくの話だった。


「レンが笑ってくれない」


「わたしではダメなのかもしれない」


 恵美おばさんは泣いていた。


「レンくん、ウチであずかろうか?」


「ここで自然とふれあえば、レンも変わるかもしれん」


 おばあちゃんも、おじいちゃんも、心配してくれている。


 全部ぼくのせいだ。


 四年前、お父さんとお母さんが死んだ。


 車に乗っていたら、お酒を飲んだヤツの車がぶつかったんだ。


 ぼくは恵美おばさんに引き取られた。


 学校にも行けるし、ご飯もたくさん食べることができる。


 でも、うまく笑うことができなくなった。


 笑いたいのに、うまく笑えない。


 笑おうとしても、心の歯車がまわってくれない。


 どうしたらいいのか分からない。


 カッパさんに会いたい。


 ぼくはうまく笑えないけど、カッパさんのかわいい笑顔が見たい。


 ふとんをかぶった。


 なみだが出てくる。


 ぼくは、自分の鼻を指でそっとさわった。



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