8月22日(木)


 今日も恵美おばさんとラジオ体そう。


 大きなあくびをしている。


 昨日の夜もおじいちゃんとおばあちゃんと三人で夜おそくまでお話しをしていたみたい。


 多分ぼくのことを話していたのだと思う。


 心がくもる。


 早くカッパさんに会いたくて、ぼくはかわらへ急いで行った。


「おはよっ!」


 カッパさんの笑顔を見ると、スゴく元気が出る。


 心のくもりが晴れていった。


「どうしたの?」


「ううん、今日もカッパさんと遊べてうれしいなって」


 うれしそうに笑うカッパさん。


 令和のカッパはかわいい。


「今日は川で泳ごう!」


 ぼくはびっくり。


 川って泳げるの?


 カッパさんと川の近くまで行く。


 すごくとうめいできれいな水。


「水の流れになれるまで浅いところで遊ぼう」


 岸にぬいだ服やくつ下を置いて、短パンすがたに。


 水が冷たい。


 流れる水が足のはだをやさしくなでていく。


 ちょっとくすぐったかった。


「それ!」


 水をかけてくるカッパさん。


 ぼくも負けじとかけかえす。


 気がついたら、ふたりともびちゃびちゃになっていた。


「少し深めのところで泳ごう!」


 流れが急で、すごく深いところをカッパさんに教えてもらった。


 そこには近づかないように泳いだ。


 スゴく気持ちいい。


 カッパさんはTシャツにショートパンツのままで泳いでいる。


 泳ぎがスゴく上手だ。


 さすがカッパだな。


 川の流れの中でもスイスイ泳いでる。


「レンも泳ぐのうまいね!」


 ぼくはカッパさんについていくのでやっとだ。


 でも、カッパに泳ぎをほめられるって、けっこうスゴいことかも?


 川遊び、スゴく楽しかった!


 川から上がって、だがし屋さんへ行くことに。


「カッパさん、待った!」


 カッパだけにびちゃびちゃでも気にならないみたい。


 でも、カッパさんも女の子。


 ぼくはぬいでいたTシャツをわたした。


「これ上から着て。ぼくは男だから上が裸でもだいじょうぶ」


 最初はきょとんとしていたカッパさん。


 うれしそうにぼくのTシャツを上から着た。


「ありがとう!」


 だがし屋さんのベンチでサイダーを飲みながらおしゃべり。


「川遊び、楽しかった?」


「うん」


 カッパさんはぼくの顔を覗き込んだ。


「レン、いつもつらそう。だいじょうぶ?」


 心配そうなカッパさんの顔が目の前に。


 ぼくはなにも答えられない。


 気がつくと、びちゃびちゃだった服はかわいていた。


 カッパさんからTシャツを返してもらい、それを着る。


 あたたかい。


 カッパさんのあたたかさ。


 なんだかドキドキした。


「また明日ね!」


 いつものようにぼくの鼻を指でちょんとさわって、カッパさんは走っていってしまった。


 カッパさんのあたたかさを着て、ぼくは帰った。






 やっぱり笑えていなかった。


 カッパさんに心配された。


 恵美おばさんもきっとこまっている。


 おじいちゃんも、おばあちゃんも、きっとこまっている。


 心の歯車はさびている。


 ぼくにはもうどうすればいいのか分からない。



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