1の11 狩りテスト



 【ミッドベル村の北出口からほど近い、草原地帯】



 シュウジが草原で狩りをしていると、ミリアが小走りで駆けてきた。困っているような顔である。



「シュウジさん、助けてくださいですー」


「おう、どうした? ミリア」



 ミリアの後ろから弓を持った茶髪の男が着いてきている。シュウジは眉をひそめた。HPバーを見ると、名前はハルオというようだ。



 ……ミリアは新しいメンバーでも見つけたのか?

 ……それにしても、ミリアが来ると人目が集まって困るな。



 ミリアの格好は愛らしいのだが浮いていた。草原で狩りをしている人々はみんな平民服である。彼女に好奇の視線をくれていた。


 ミリアがシュウジに身を寄せて振り返った。眉をぴくぴくとさせてハルオを睨みつける。



「変態に追われているですよ!」


「変態?」とシュウジ。


「ミリアさん、その人がシュウジくんなのかい?」ハルオは畏まった顔つきだ。


「ああ。俺がシュウジだけど、あんたは?」シュウジは至って冷静だった。


「俺は、ミリアさんの新しいお友達でーす!」


「違うから!」ミリアが語気を荒くした。


「ん? よく分からんけど。俺はソロが好きなシュウジだ。『あるりなみーみ』に参加している」


「『あるりなみーみ』って何すか?」


「ギルドの名前だけど。ミリアから聞かなかったのか?」


「ちょっとシュウジさん! 何を勧誘しようとしているですか?」ミリアは彼の腰を叩いた。


「ん? だって、友達なんだろ?」


「ちっがーう」


「シュウジくん! 俺も、『あるりなみーみ』に入れてくださーい」


「それは団長のミリアに言ってくれ」


「お断りです!」ミリアは勢いよく首を振る。


「えー! なんでー!? 何で何で何で?」


「おい、お前ら、落ち着いて話せ。いまいち状況が分からん」



 三人で草原を離れて、村の出口に行った。ミリアが先ほどあったことの説明をくれる。シュウジは苦笑しつつ聞くことになった。



「ハルオさん、そりゃああんたが悪い」とシュウジ。


「変態ですよ」ミリアはハルオを見下している目つきだ。


「だ、だって、死ぬ前に、一度は見たいんです。女の子の裸」ハルオは俯いている。


未遂みすいだったんだろ? だったら許しても良いんじゃないか?」とシュウジ。


「許すのはかまいませんが、ギルドに入れるのはNGです」とミリア。


「お、俺だって、い、生きてるんだよ。死にたくないんだ。だから、仲間が欲しいんだ。ギルドがあるんなら、入りたいんだよ!」とハルオ。


「……そんなこと言われたって、どうすれば良いですか?」ミリアは口をへの字に曲げる。


 シュウジはハルオの肩に手を置いた。「『あるりなみーみ』はミリアのギルドだ。ミリアが入れるって言うのなら歓迎するし、入れないって言うのなら俺は知らない」


「ミリアさん、お、お、お願いしゃーす!」ハルオは拝むように両手のひらを合わせた。


「強いの? 貴方」とミリア。


「俺は、弱いよ」とハルオ。


「じゃあ、強くなる気はあるの?」


「強くなりたいです」


「これからはもう、他人と問題起こしたりしませんか?」


「起こさない、誓うよ」


「ふうーっ」ミリアは大きなため息をついた。


 続けて言う。「ハルオさん、試験的に貴方をギルドに入れても良いです」


「本当かい?」


「はい。ただ今から、そこの草原で三十分間一緒に狩りをして、テストさせてもらうです。ハルオさんがあんまりにも弱い場合、入れる訳にはいかないです。なぜなら、私たちは『勇者』保護団体では無いからです」


「そっか。そりゃあそうだよね。分かった、いいよ!」


「ふぅーっ、シュウジさんも良い?」


「ミリアが良いなら良い」シュウジが首肯する。



 三人はフレンド登録をした。パーティを組んで、草原で狩りを始める。とは言っても敵はスライムやゴブリン、動きの遅いマポリンである。


 ハルオが弓の弦を引くと、魔法の矢が現れた。ゲーム世界の弓矢はそういう仕組みのようだ。


 ハルオの矢の命中力は悪かった。そのため彼はモンスターに大接近しつつ、矢を放つ。


 攻撃力は高いようで、すぐに敵を仕留めた。スキル『ブリリアントレイン』は範囲攻撃であり、空中から光の雨が降った。複数の敵を一瞬で沈めている。


 その様子を見て、ミリアはうんうんとうなっている。



「シュウジさん、どう思うですか?」


「悪くないな。弓って、前世で習ったことでも無い限り、遠くから当てるなんて無理っぽいし。移動の仕方を見た感じ、運動神経は良いみたいだから、慣れれば伸びると思うぞ」


「……分かりましたです」


「ミリア、お前はどう思うんだ?」


「……悪くないです」



 ミリアがハルオに声をかけて狩りのテストを切り上げる。彼女は彼にギルドへの招待を送った。ハルオが『あるりなみーみ』に試験的に加入した。



 ◇◇◇


 名前  シュウジ


 レベル 10


 HP  1000

 攻撃力 35

 防御力 35

 素早さ 30

 魔攻  10

 魔防  35

 運   0

 

 ステータスポイント 90


 アクティブスキル 『ウインドアサルト』『シールドエンチャント』『ダークネスブロー』

 パッシブスキル  無し。

 セットスキル   スロット1『ウインドアサルトLV2』

          スロット2『シールドエンチャント』

          スロット3『ダークネスブロー』


 ユニークスキル  『思考力』


 武器  『ロングソード(攻撃力+5)』

 防具  『皮の帽子』『皮の鎧』『皮のグローブ』『皮のベルト』『皮の靴』(合計 防御力+5 魔防+5)



 スキン 平民服セット


 ◇◇◇


 




 ◆◆◆


 恐れ入ります。作者はこの小説で、本気でプロを目指しております。お手数ですが、以降読み進める際に以下の作業をお願いします。フォロー ☆☆☆ レビュー ♡応援 応援コメント をいただきたいのです。作者のモチベーションUPと維持のため。この小説を幅広い読者に読んでいただくため。プロになるため。よろしくお願いいたします。


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