第15話 学校
御堂さんをメンバーに加えて月曜日。
私達は学校なので、御堂さんはお休みだ。
興味がなく、あまりやる気の起きない学校の授業を受けてお昼休み。
「へぇ〜?その人が私が入るまでの代わりを務めるっすか?」
「その予定だよ。まあ、場合によってはその後もお願いするかもだけど」
「ふぅ〜ん…莉音先輩、取られないように見張っておいてくださいね?」
「言われなくても警戒してるよ。だから詩音はアピールでもしてな」
「はぁ〜い。小春センパ〜イ」
「もう家には泊めないからね?」
「チッ!」
学校の空き部屋で3人集まってご飯を食べる。
私と莉音ともう一人…名前は『
私よりも一つ下の後輩で、莉音と同じくらい私に惚れ込んでる女の子。
身長は私よりも低く、御堂さんよりは高いくらい。
そして、胸は私達と同じくらい大きい。
握りしめる事が出来るくらいの大きさはあるね。
髪は焦げ茶色でショートヘアにしている。
私からすれば妹みたいな子で、莉音とは違う可愛さがある。
「詩音は莉音と同じくらい碌でもないからね。似てるのは名前だけにしてほしいよ、全く」
「酷いっすね。はい、これ私が作った卵焼きです。あ〜ん♡」
「あ〜ん。うん、美味しいよ」
「えへへ〜」
文句を言いながらも笑顔で自分が作ったという卵焼きを食べさせてくれる詩音。
こういうところは癒やしだ。
…まあ、詩音は壊滅的に料理が下手だから、これは詩音のお母さんが作ってくれたやつだろうけど。
「……小春。私のも食べて。あ〜ん♡」
「あ〜ん。ん〜!美味しいよ」
「ふふ〜ん!」
「……小春先輩〜!」
「小春〜!」
「よしよし。ほんと、世話が焼ける…」
両手に華。
美少女を両方から侍らせて、それでいながら困った表情をすると言う暴挙。
ふふっ、人気者は辛いなぁ〜。
「ちょっと!莉音先輩!私のところまで腕伸ばさないでほしいっす!」
「うるさいね。先に伸ばしてきたのはそっちでしょ?」
「い〜や!先輩が先っす!」
「なんだと〜?この生意気なガキが〜!」
「落ち着きなよ2人とも。ほら、ギュッ!」
2人を抱き寄せて喧嘩の仲裁をする。
この2人は私の愛を受ける為によく喧嘩する。
恋のライバル的な感じだ。
まあでも、根は大親友でそこらのカップルよりも仲が良いから、じゃれ合いみたいなもの。
私に構って欲しいから喧嘩ごっこしてる事のほうが多い。
…10回に1回くらいは本気の喧嘩してるけど。
「どうせ私達が卒業したらもう3人で家族になるんだから。くだらない理由で喧嘩しないでよ」
「ハーレムを作れるだけのお金は稼げそうっすか?」
「バイトしてる方が数百倍稼げる」
「う〜ん、下積み冒険者の定め」
私は詩音とも結婚するつもりだ。
この国には重婚を認める制度があるからね。
家系を支えられるだけのお金を冒険者として稼げるようになって、一軒家で3人で暮らす。
そして、子供も作って幸せに生きるんだ。
その為に、私と莉音は冒険者になり、詩音も18歳になれば冒険者になる予定。
「でも、冒険者はまだまだこれからだし。今は学生として青春を謳歌しようよ」
「そうっすよね〜。これぞ青春」
「う〜ん!青春!」
「とか言いながら2人で胸揉まない」
2人は片方の腕を私の腰に回して抱きつき、もう片方の手で私の胸を揉んでくる。
脚は私の片脚に両脚を絡めて逃げられないようにホールドしてるし、私もされるがまま。
何だったら私の方からも抱きしめてるから、むしろ積極的に受け入れてる。
…ここで私も胸を揉んで揉んであげると喜んでくれるんだよね。
「小春も揉んでくるじゃん」
「先輩もなんだかんだエッチっすね〜」
「何をバカなことを…揉まないはずないでしょ?」
2人のマシュマロのような胸を揉みしだく。
下から持ち上げるように揉んだり、くるくる回しながら全体を揉んだり、握りつぶすように強く揉んだり。
それはもう色々な持ち方をしてひたすら昼休みの間イチャつく。
先生に見つかったら即生徒指導室行きだけど、この空き部屋にはめったに人が来ない。
休み時間いっぱいまで3人で過ごし、予鈴でそれぞれの教室に戻った。
ちなみに、私と莉音の教室は別だ。
1年生の時にイチャイチャしすぎて勉強にならないって事で、それ以降クラスを離された。
私は別に莉音のアピールに付き合ってただけなんだけど…なんか私が悪いみたいになって怒られたのは今でも許せない思い出だ。
あのゴミ数学教師許さない。
それから2時間、一応授業受けて放課後。
「とりあえずくっつくのやめない?歩きにくい」
「アピールだよアピール」
「そうっすよ!アピールっす」
「何に対するどう言うアピールなのよ…」
「「私達以外全員へのアピール」」
要は私は2人のものだから手を出すなって事だ。
本当、世話の焼ける2人だよ全く。
コレを結構頻繁にやるものだから、私達が恋仲で将来は結婚を考えてる事を知らない生徒のほうが少ない。
廊下ですれ違うと笑われるか揶揄されるから、人前では自重してほしいけど…2人はそんなのお構いなし。
見せつけるようにイチャついて、道行く人達にすごい目で見られることもしばしば…
「……何やってるの?」
「あ、御堂さん」
歩きにくい思いをしながら校門を出ると、私服姿の御堂さんが立っていた。
こんな所に来てるなんて…暇なのかな?この人。
「莉音ちゃんはともかく…そっちの子は?」
「この子は詩音。私の2人目の恋人です」
「…この子とも結婚するの?」
「はい。その為の冒険者です」
胸を張ってそう言うと、詩音が顔を赤くして嬉しそうに私に体を擦り寄せてくる。
……そして、御堂さんの体を頭のてっぺんから足先まで見て鼻で笑った。
「なんか…莉音ちゃんにそっくりね」
「似てるのは名前だけにしてほしいですよ、ホント」
詩音の態度を見て苦笑いを浮かべる御堂さん。
とりあえず後で詩音は〆ておかないとね?
それはそうと…
「話は変わりますけど、御堂さんはこんなところで何を?」
「私?2人が学校に行ってる間暇だからね。私だけ先にダンジョンに行くわけにもいかないし…ちょっと見に来た」
「相当暇なんですね…」
この人は私の想像以上に暇らしい。
わざわざこんなところまで来るあたり…本当にやることないんだろうなぁ。
ちょっと申し訳なく感じていると、御堂さんが私に抱き着く2人を見て羨望の眼差しを向けているの事に気が付いた。
「恋人か…」
「…小春はあげないよ」
「小春先輩は私達のものっす。欲しかったらもっと背が高くて胸が大きくなってから出直す事っすね!先輩は巨乳好きいぃっ!?」
「次そういう事を人前で言ったら殴るからね?」
「もう殴ってるっす…」
余計なことを言う詩音に釘を刺す。
すると、御堂さんが前に出てきた。
そして、私に殴られた脳天を痛そうに撫でる詩音の頭に触れると…
「大丈夫。貧乳はステータスだから」
「負け犬の遠吠えっすか?そう言うのは恋人が出来てから――ぎゃんっ!?」
「詩音。次は本気で殴るから」
「も、もう本気で殴ってるっす…」
涙目になってしゃがみ込む詩音。
これくらい叱っておかないと調子に乗るからね。
…次は莉音かな?
「わ、私は何も言ってないよ!」
「別に私も何もしてないじゃん…」
怯える莉音。
そんな2人の様子を見て、御堂さんはクスクスと楽しそうに静かに笑った。
「来てよかった。小春ちゃんの周りは賑やかだね?」
「そうですね。賑やかで楽しくて…愛おしいですよ」
「幸せな空間……私は何処で間違えたんだか…」
「まだ21歳ですよね?」
「冒険者として成功できないと、補助金家庭まっしぐらだから…」
「……あんまりそういう事言わないほうが良いですよ?私たち全員に刺さるので」
「あっ…」
そうか…御堂さんは親と姉が冒険者で成功してるから、私たちと違ってお金に余裕があるのか…
良いなぁ…余裕のある暮らし。
「私たちは何もに聞こえなかった。莉音と詩音もそれでいいよね?」
「私は別に気にしてないよ。似たような人クラスに居るし」
「同じくっす!」
「ごめんね…気を遣わせて…」
本気で申し訳無さそうにする御堂さんを見て、2人とも空気を読んでくれた。
まあ、仮にも高校生だし、こう言う時の大人な対応ってのはある程度心得てる。
御堂さんに元気を出してもらう為にも、4人で話しながら家に帰った。
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